「タワー展 - 内藤多仲と三塔物語 - 」 INAXギャラリー1

INAXギャラリー1中央区京橋3-6-18 INAX銀座ショールーム9階)
「タワー展 - 内藤多仲と三塔物語 - 」
9/1-11/18

東名阪にそびえ立つ三つのタワーが、全て同じ人物の設計によるものだったということをご存知でしょうか。名古屋テレビ塔(1954)と大阪通天閣(1956)、それに東京タワー(1958)の構造設計を担当した、内藤多仲(1886-1970)の業績を辿るミニ展覧会です。



日本の耐震構造理論を躍進させた(公式HPから。)という内藤多仲は、別名「塔博士」と呼ばれるほど鉄塔を多く手がけた設計士なのだそうです。今回の展示で紹介されている三タワーの他にも、さっぽろテレビ塔(1957)や博多ポートタワー(1964)なども設計したと聞けば、その業績の大きさが実感出来るかと思います。展示はパネルが中心です。それぞれのタワーの解説に始まり、外観の写真(組み立て時の写真なども含みます。)や眺望の紹介、それに各タワーの土産物までが並んでいました。また他にも、タワーの図面などが一部紹介されています。かなりコンパクトではありますが、よくまとまった展示でした。

関東に住む私にとって、一番馴染みがあるのはやはり東京タワーです。建造当初のシルエットが今よりも美しいのには驚かされました。特に上の部分がスラッとしていてスリムです。もしかしたらその後付けられたパラボラアンテナが、タワーをゴツゴツと不格好にしてしまったのかもしれません。333メートルの高さは、自立鉄塔としては依然として世界一を誇ります。(これをまず超えるのは、墨田区に建設が決まった「すみだ・タワー」でしょうか。その高さは何と610メートルです。)低層から高層ビルがジャングルのように絡み合う東京の景色の中で、殆ど唯一ランドマークになっているのはこの東京タワーくらいでしょう。蛍光色ばかり目立つ東京の夜景の中から、いつも赤く燃えて浮き出ています。その存在感は他のタワーを寄せ付けません。

通天閣は、新世界界隈の散策とセットで楽しみたい名所です。展望台の高さが、名古屋テレビ塔のそれよりも1メートル高い(通天閣91メートル、テレビ塔90メートル。)のは、先発の名古屋には負けるなという、いかにも大阪らしい(?)発想から生まれた結果なのだそうです。また通天閣と言えばビリケン様ですが、設置されたのは大分後の1980年だとは初めて知りました。ここはタワー自体よりも、某大手電機メーカーの広告の方がはるかに目立っています。高層ビルの林立する現在の大阪に、高さ103メートルでは力がやや足りません。人型のような愛嬌のある形や、地域に深く溶け込んでいるその風情を楽しみたいところです。

名古屋のテレビ塔には一度も昇ったことがありませんが、これこそが日本初の電波鉄塔だそうです。頭頂部へ後に設置されたアンテナ群が、随分と近未来的なデザインに感じられました。下層部の重厚な構えとはアンバランスではありますが、アンテナだけとれば東京タワーよりもはるかに洗練しているのではないでしょうか。最近でこそ駅前のセントラルタワーズに押され気味ですが、久屋大通と一体となったテレビ塔は、まさに名古屋の都市計画の核として生き続けていきそうです。

三タワーの他にも、多仲が構造設計を担当した建物などが至極簡単に紹介されていました。(旧根津美術館など。)タワーや高層建築の好きな方には、おすすめしたい展覧会です。11月18日までの開催です。(10/22鑑賞)

  

*会場にて配布されていた三タワーのパンフレットです。通天閣のパンフには「通天閣フィギュアペーパークラフト」も付いていました。(早速作ってみました。完成したものが下の写真です。)ちょっと曲がってしまいましたが、雰囲気は良く出ています。こういう嬉しいオマケはたまりません。


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