「水戸岡鋭治の大鉄道時代展」 アクシスギャラリー

アクシスギャラリー
「水戸岡鋭治の大鉄道時代展 駅弁から新幹線まで」
10/8-10/23



アクシスギャラリーで開催中の「水戸岡鋭治の大鉄道時代展 駅弁から新幹線まで」へ行ってきました。

昨年、全通した九州新幹線「つばめ」をはじめ、特急「ソニック」など、個性的な電車を走らせることで有名なJR九州ですが、その主要な車両デザインを手がけるのが水戸岡鋭治です。

水戸岡は元々、建築やイラストレーションで仕事をしていましたが、1988年より鉄道デザインの分野に進出し、主にJR九州の車両に次々と傑作を生み出しました。



今回はそのような水戸岡の制作を、単に鉄道デザインだけではなく、これまでの系譜と今後の活動にも視野を広げて紹介しています。

先行開催した福岡展の来場者が延べ3万名を数えたという人気ぶりですが、それがここ東京・六本木のアクシスギャラリーへと巡回してきました。



さて会場は2フロア、4階のAXISギャラリーとB1のシンポジアに分かれていますが、順路としてまず先なのは4階のギャラリーです。

いきなり目に飛び込んでくる特急列車のシートに思わず感嘆の声を上げた方も多いのではないでしょうか。



これは言うまでもなく水戸岡がデザインした車両の座席で、黒光りする先頭のシートは九州新幹線「つばめ」です。会場には計6つの座席の実物が展示されていますが、その全てに座ることが可能でした。



車内を大きく写した写真を見ながら腰掛けていると、それこそ九州の旅気分を味わえるのではないでしょうか。



またシートと言えば忘れてはならないのが、観光特急「あそぼーい!」の親子用シート、「白いくろちゃんシート」です。これは以前、NHKのプロフェッショナルでも特集放映されたのでご記憶の方も多いかもしれませんが、特急電車として様々な制約がある中、あえて転換クロスシートを用いたという、水戸岡の野心的な作品です。その可愛らしく、また機能的なシートをまさかここで楽しめるとは思いませんでした。

さて展示は何もシートばかりが目立っているわけではありません。鉄道だけにとどまらない水戸岡の仕事は、会場内のパネルや映像でも多数紹介されています。



そのイラストパネルの数は何と全部で200点です。中には初期の貴重なスケッチも登場します。

水戸岡はデザインに極彩色を多様していますが、そこからも生み出される華やいだ雰囲気は会場全体からも感じられるのではないでしょうか。こうした関連資料を追っていくだけでも十分に楽しめました。



そして展示の一つのハイライトとなっているのが、彼が構想するクルーズトレインの車両プランです。これは水戸岡が世界一の寝台特急を目指して開発しているという車両ですが、うち3つの室内プランが再現されています。



この空間が列車の中に出来るかもしれないと考えるだけでも興奮ものです。しかしながらまさか茶室までが構想されているとは思いもよりません。鉄道や車両という枠を超え、斬新なプランを打ち出していく水戸岡の発想力には心底うらなされました。

また和歌山電鉄の「たま電車」など、九州以外での仕事についての展示もあります。

かつてINAXで「九州列車の旅」と題した展示があり、その際も水戸岡のデザインが紹介されていましたが、今回の方がより彼の制作に突っ込んだ内容であるのは間違いありません。

そしてその幅広い水戸岡の制作に突っ込んでいるのが、B1のシンポジア会場での展示です。建築プランやイラストレーションなど、鉄道以外での幅広い活動もパネル等で紹介していました。



またこのフロアでは先にも触れたNHKのプロフェッショナルの映像が流れています。私もこの番組をリアルタイムで見て、より強く水戸岡に惹かれましたが、改めてその時の感動を思いおこしました。

鉄道ファンだけでなく、デザインに関心のある方、そして親子でも楽しめるような展示ではないでしょうか。水戸岡のデザインした車両に乗った時のワクワク感は会場からも強く感じられました。



人気の展示ということで多少混雑しているようです。また会場は「風景」としてであれば撮影が可能(パネルの接写は不可。)でした。これもまた嬉しいポイントです。



次の土日、23日までの開催です。是非ともおすすめします。なお入場は無料でした。

「水戸岡鋭治の大鉄道時代展 駅弁から新幹線まで」 アクシスギャラリー
会期:10月8日(土) ~ 23日(日)
休館:無休
時間:11:00~19:00
住所:港区六本木5-17-1 AXISビル4F、B1F
交通:東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅3番出口、東京メトロ南北線六本木1丁目駅1番出口、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅7番出口よりいずれも徒歩約8分。
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