「ウィリアム・ブレイク版画展」 国立西洋美術館 版画素描展示室

国立西洋美術館 版画素描展示室
「ウィリアム・ブレイク版画展」
2011/10/22~2012/1/29

イギリスを代表する詩人、ウィリアム・ブレイクの銅版画作品を展観します。国立西洋美術館常設展版画素描展示室で開催中の「ウィリアム・ブレイク版画展」へ行ってきました。



ともかく話題のマハが出品されたこともあり、出だしから非常に好調なスタートを切ったゴヤ展ですが、何も西美の魅力はそうした特別展だけにあるわけではありません。



常設における西洋絵画の名品と並び、毎度見逃せない展示を繰り広げているのが、この常設展内版画素描展示室の企画です。

今回はイギリスロマン主義の先駆けとも言えるブレイクの版画を一同に紹介しています。その数は30~40点ほどでしたが、なかなか見応えがありました。(出品リスト

「ヨブ記」や「神曲」の挿絵の並ぶ中、一際目立つのが、「チョーサーのカンタベリーへの巡礼」です。


ウィリアム・ブレイク 「チョーサーのカンタベリーへの巡礼」1810/20年頃

これはブレイクが1809年、個展に出品したテンペラ画を版画化したものですが、ブレイクの版画中、最大の大きさを誇っています。

チョーサーの原作にもとづき、巡礼者一同がカンタベリー大聖堂へと向かう場面が描かれていますが、ともかく面白いのは巧みな人物描写です。


ウィリアム・ブレイク 「チョーサーのカンタベリーへの巡礼」(拡大)1810/20年頃

計30人ほどの人物には騎士から僧、そして医者に農夫、はたまたチョーサー自身までが登場していますが、5度の結婚経験を持ち、恋の治療法に通じていたという夫人など、その人となりが伝わってくるかのような生き生きとした表現には目を奪われます。

ここは人物の解説パネルとあわせながらじっくりと見入ってしまいました。


ウィリアム・ブレイク 「ダンテ『神曲』のための挿絵より」1826-27年

また「神曲」においてもブレイクならではの表現を楽しむことが出来ます。


ウィリアム・ブレイク 「ダンテ『神曲』のための挿絵より」(拡大)1826-27年

「神曲」シリーズは1824年より制作が着手された、ブレイクの晩年の作品ですが、魑魅魍魎的なモチーフと幻想性を融合させたイメージは、後の象徴派をも予感させるほどに強烈でした。

なお展示は常設展ということで作品の撮影も可能です。



ゴヤ展へお越しの際は是非ともお見のがしなきようご注意下さい。(ゴヤ展の半券で入場出来ます。)

「ブレイク詩集/平凡社ライブラリー」

来年1月29日まで開催されています。

「ウィリアム・ブレイク版画展」 国立西洋美術館 版画素描展示室
会期:2011年10月22日(土)~2012年1月29日(日)
休館:月曜日。但し1月2日、9日は開館。年末年始(12月28日-1月1日)、1月10日(火)。
時間:9:30~17:30 *毎週金曜日は20時まで開館。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成電鉄京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
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