都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「和紙に魅せられた画家たち」(前期) 明治神宮文化館宝物展示室
明治神宮文化館宝物展示室
「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」(前期)
10/1-11/27(前期:10/1-10/26、後期:10/28-11/27)
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明治神宮宝物殿、及び聖徳記念絵画館の重文指定を記念し、「えりすぐり」(チラシより引用)の近代日本画を展観します。明治神宮文化館宝物展示室で開催中の「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」へ行ってきました。
そもそも聖徳記念絵画館の開館当時に、壁画制作のための専用の紙、つまりは「神宮紙」がつくられ、近代日本画の発展に大きな貢献をしたそうですが、今回はそれに因んで、紙そのものも味わい深い、近代日本画の佳作が約70点(前後期あわせて。)ほど展示されています。
しかも聖徳記念絵画館絡みということで神宮の所蔵品のみかと思いきや、国内の様々な美術館、及び個人蔵の作品が殆どです。
明治神宮での日本画展は滅多に見られない作品が出ることも少なくありませんが、今回も同様ではないでしょうか。特に京都市美、愛知県美、日光の放庵記念館などの所蔵品が目立っていました。
冒頭の芋銭がまた佳作です。「因指見月」(茨城県近代美術館)には、河童の芋銭の名の通りの河童がモチーフとして描かれています。墨の濃淡を活かした表現も巧みですが、ここで注目したいのがやはり紙そのものです。
芋銭は紙にかなり拘りを持っていたそうで、ここでは本紙だけでなく表具も紙でつくられていました。
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小杉放庵「緑陰対局」 昭和27年頃 小杉放庵記念日光美術館
展示で充実しているのは小杉放庵です。上でも触れましたが、日光の放庵記念館より6点ほどが出品されています。まさに木陰でのんびりと碁を打つ老人を捉えた「緑陰対局」(小杉放庵記念日光美術館)など、繊細なタッチで軽妙に情景を写し出す放庵の魅力を味わうことが出来ました。
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横山大観「或る日の太平洋」 昭和27年 横山大観記念館
前期のハイライトは大観の「或る日の太平洋」(横山大観記念館)かもしれません。このイメージ、見覚えのある方も多いかもしれませんが、実は東近美所蔵の同名の作品とほぼ同じ主題を扱っています。
まずは金に輝く富士、そして胡粉の舞う力強い波などに目が奪われるところですが、ここでも紙に注目です。キャプションにもありましたが、波の下部は実は何も描かれていない、つまりは紙そのものの地だけが表現されています。
紙を意識することで開けてくる表現というのも、この展覧会を楽しむ一つのポイントといえるかもしれません。
資料、パネルによる紙にまつわる展示も見どころの一つです。越前和紙の職人、岩野平三郎の開発した雲肌麻紙は大観らの注目も受け、それまでの中国紙に変わり、近代日本画を描く上での欠かせない紙として扱われるようになりました。
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岸田劉生「秋閑小彩」(部分) 昭和4年 愛知県美術館
また大正天皇の皇后である貞明皇后の色紙や、手漉き和紙のスケッチ帖なども並んでいます。小冊子の図録もありました。
なお手狭な展示室です。会期の前後期で出品作が全て入れ替わります。(前期36点、後期30点。書簡等数点含む。)
前期:10月1日(土)~10月26日(水)
後期:10月28日(金)~11月27日(日)
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前田青邨「罌粟」(部分) 昭和5年 光記念館 *後期展示
ちなみにチラシ表紙を飾る注目の前田青邨の「罌粟」(光記念館蔵)は後期に登場します。こちらも是非見に行きたいと思います。
前期展示は10月26日まで開催されています。
「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」 明治神宮文化館宝物展示室
会期:10月1日(土)~11月27日(日) 前期:10月1日(土)~10月26日(水)、後期:10月28日(金)~11月27日(日)
休館:10月27日(水)
時間:9:00~16:30
住所:渋谷区代々木神園町1-1
交通:JR線原宿駅、東京メトロ千代田線・ 副都心線明治神宮前駅より徒歩5分。
「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」(前期)
10/1-11/27(前期:10/1-10/26、後期:10/28-11/27)
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明治神宮宝物殿、及び聖徳記念絵画館の重文指定を記念し、「えりすぐり」(チラシより引用)の近代日本画を展観します。明治神宮文化館宝物展示室で開催中の「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」へ行ってきました。
そもそも聖徳記念絵画館の開館当時に、壁画制作のための専用の紙、つまりは「神宮紙」がつくられ、近代日本画の発展に大きな貢献をしたそうですが、今回はそれに因んで、紙そのものも味わい深い、近代日本画の佳作が約70点(前後期あわせて。)ほど展示されています。
しかも聖徳記念絵画館絡みということで神宮の所蔵品のみかと思いきや、国内の様々な美術館、及び個人蔵の作品が殆どです。
明治神宮での日本画展は滅多に見られない作品が出ることも少なくありませんが、今回も同様ではないでしょうか。特に京都市美、愛知県美、日光の放庵記念館などの所蔵品が目立っていました。
冒頭の芋銭がまた佳作です。「因指見月」(茨城県近代美術館)には、河童の芋銭の名の通りの河童がモチーフとして描かれています。墨の濃淡を活かした表現も巧みですが、ここで注目したいのがやはり紙そのものです。
芋銭は紙にかなり拘りを持っていたそうで、ここでは本紙だけでなく表具も紙でつくられていました。
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小杉放庵「緑陰対局」 昭和27年頃 小杉放庵記念日光美術館
展示で充実しているのは小杉放庵です。上でも触れましたが、日光の放庵記念館より6点ほどが出品されています。まさに木陰でのんびりと碁を打つ老人を捉えた「緑陰対局」(小杉放庵記念日光美術館)など、繊細なタッチで軽妙に情景を写し出す放庵の魅力を味わうことが出来ました。
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横山大観「或る日の太平洋」 昭和27年 横山大観記念館
前期のハイライトは大観の「或る日の太平洋」(横山大観記念館)かもしれません。このイメージ、見覚えのある方も多いかもしれませんが、実は東近美所蔵の同名の作品とほぼ同じ主題を扱っています。
まずは金に輝く富士、そして胡粉の舞う力強い波などに目が奪われるところですが、ここでも紙に注目です。キャプションにもありましたが、波の下部は実は何も描かれていない、つまりは紙そのものの地だけが表現されています。
紙を意識することで開けてくる表現というのも、この展覧会を楽しむ一つのポイントといえるかもしれません。
資料、パネルによる紙にまつわる展示も見どころの一つです。越前和紙の職人、岩野平三郎の開発した雲肌麻紙は大観らの注目も受け、それまでの中国紙に変わり、近代日本画を描く上での欠かせない紙として扱われるようになりました。
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岸田劉生「秋閑小彩」(部分) 昭和4年 愛知県美術館
また大正天皇の皇后である貞明皇后の色紙や、手漉き和紙のスケッチ帖なども並んでいます。小冊子の図録もありました。
なお手狭な展示室です。会期の前後期で出品作が全て入れ替わります。(前期36点、後期30点。書簡等数点含む。)
前期:10月1日(土)~10月26日(水)
後期:10月28日(金)~11月27日(日)
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前田青邨「罌粟」(部分) 昭和5年 光記念館 *後期展示
ちなみにチラシ表紙を飾る注目の前田青邨の「罌粟」(光記念館蔵)は後期に登場します。こちらも是非見に行きたいと思います。
前期展示は10月26日まで開催されています。
「和紙に魅せられた画家たち - 近代日本画の挑戦」 明治神宮文化館宝物展示室
会期:10月1日(土)~11月27日(日) 前期:10月1日(土)~10月26日(水)、後期:10月28日(金)~11月27日(日)
休館:10月27日(水)
時間:9:00~16:30
住所:渋谷区代々木神園町1-1
交通:JR線原宿駅、東京メトロ千代田線・ 副都心線明治神宮前駅より徒歩5分。
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