「光琳を慕う 中村芳中」展が開催されます

時に「和みの琳派」などとも称される江戸時代後期の絵師、中村芳中(?~1819)。



主に大阪を中心に活動した芳中は、次第に光琳に傾倒し、1802年には「光琳画譜」を出版。光琳画に倣いながら、たらしこみを多用したおおらかでユーモラスな画風を確立しました。

[関連エントリ]
「光琳を慕う 中村芳中」 千葉市美術館(芳中展を見て来ました。)


また芳中の「光琳画譜」は抱一の「光琳百図」に先行して出版されたもの。もちろん光琳百回忌に記念の法要や展観まで行い、印譜の研究もつとめた抱一の業績と比べるのは議論あるかもしれませんが、江戸における光琳顕彰の先駆けといって良いかもしれません。


中村芳中「草花図色紙」 細見美術館

その芳中、楽し気な人物画やのびやかな花鳥図など、作品を一目見るだけでも惹かれるものですが、これまで展覧会で単独で取り上げられたことは殆どありませんでした。

2014年は芳中復権元年。いよいよ回顧展が開催されます。

「光琳を慕う 中村芳中」展
千葉市美術館 2014/4/8(火)~5/11(日)
細見美術館 2014/5/24~6/29(日)
岡山県立美術館 2014/9/26~11/3(月・祝)


巡回展です。先行は千葉市美術館から。以下、細見美術館、岡山県立美術館へと巡回。なお岡山会場に関しては現在、開催に向けて調整中だそうです。(各会期とも予定。)

もちろん芳中、決して珍しい絵師というわけではなく、いわゆる江戸絵画、とりわけ琳派関連の展示ではほぼ常連メンバー。近年は首都圏でも「三都画家くらべ」(府中市美術館、2012年)、「諸国畸人伝」(板橋区立美術館、2010年)、「日本の美と出会う」(日本橋高島屋、2009年)に出品があった他、東博常設の琳派絡みの展示などで見かけることがあります。


中村芳中「白梅小禽図屏風」 細見美術館

しかしながら光悦に宗達、また光琳や抱一、其一(単独の回顧展も待たれるところですが。)に比べれば、出品頻度が低いのは事実。私も最近は琳派関連の展示を追っかけているつもりですが、いつも芳中に関しては「もっと見たい!」と思うことばかりでした。

「すぐわかる琳派の美術/仲町啓子/東京美術」

「ユニークな表現方法と、その結果画面にもたらされるほのぼのとした気分。大阪で活躍した芳中の人自身の性格を反映しているのだろうか。(略)芳中の作品は、琳派の中でも抜群の癒し効果をもっており、見る人は微笑まずにはいられない。」 *「すぐわかる琳派の芸術」(東京美術)監修:仲町啓子より

まさに琳派ファン待望の芳中展。また「芳中の世界に多角的に迫る展示を目指す。」(チラシより)とのこと。単に可愛らしい云々を超えた芳中の新たな魅力も見えてくるやも知れません。


中村芳中「光琳画譜」より

開催は来年春と少し先ですが、ともかくは芳中展、大いに期待出来るのではないでしょうか。

ちなみに現在、千葉市美術館で開催中の「所蔵作品展 琳派・若冲と花鳥風月」(facebookページ)で芳中の「光琳画譜」(一部)が展示中です。私も先日見てきました。展覧会の感想も別途まとめたいと思います。



「所蔵作品展 琳派・若冲と花鳥風月」 千葉市美術館
会期:8月27日(火) ~ 9月23日(月・祝)
休館:第1月曜日。(9月2日)
時間:10:00~18:00。金・土曜日は20時まで開館。
料金:一般200(160)円、大学生150(120)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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