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「千田泰広―イメージからの解放」 武蔵野市立吉祥寺美術館

武蔵野市立吉祥寺美術館
「千田泰広―イメージからの解放」 
2020/1/11~2/23



武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「千田泰広―イメージからの解放」へ行ってきました。

1977年に生まれ、光を素材に「空間の知覚」(解説より)を主題としたインスタレーションを制作する千田泰広は、種子島宇宙芸術祭などの芸術祭に参加した他、舞台美術やワークショップでも幅広く活動してきました。

その千田の美術館での個展が「イメージからの解放」で、新作のインスタレーションをはじめ、これまでの制作過程で生まれた立体物やドローイング、それに作品の記録映像(30分)などを公開していました。

ほぼ一点勝負の展覧会と言っても良いかもしれません。新作の「Analemma」は、同館で唯一の企画展示室の全てを用いて設営されていて、中はほぼ完全なる暗室ゆえ、事前に荷物をロッカーに預け入れる必要がありました。

入口のカーテンを潜って中に入ると、一面に暗がりが広がっていて、初めは目の前で何が起きているのか分からないほどでした。そして懐中電灯を持ったスタッフの方の誘導のもと、壁沿いを伝っては、僅かに視界で確認出来たベンチに座りました。

しばらく目を慣らすように前を見据えていると、上下と左右に行き来する光の筋が浮かび上がってきました。いずれも室内へ張り巡らされたポリエステルの糸へプロジェクターで光を当てたもので、あたかもて宇宙空間の中に投げ込まれては、瞬く星々を眺めるかのような錯覚に囚われるほどでした。

また壁際の通路からは、4本の通路が内側へと伸びていて、中央部にはクッションが置かれていました。そして歩いて中心へ向かい、クッションに腰掛けつつ、時に寝転んでは、光の織りなすショーを見ることができました。

さらにクッションから上の天井などを眺めていると、宇宙空間というよりも、深き海の底へと投げ込まれたかのような印象も与えられました。タイトルに「イメージの解放」とありますが、確かに身体が浮かび上がりつつ、沈み込むような体験を得ることが出来るかもしれません。



光の移ろいは実に美しく繊細ながらも、動く方向や構造そのものシンプルでした。私の出かけた時はたまたま他に観客がいなかったため、時間の許す限り、ぼんやりと見遣りながら光に身を委ねました。

会期の最終週(2/15~2/23)には、武蔵野市民文化会館の1階展示室においても、千田のインスタレーションが特別に展示されます。


【8日間限定!特別展示】 
会期:2020年2月15日(土)~2月23日(日)
休館:2月19日(水)
時間:10:00~17:00
料金:無料
会場:武蔵野市民文化会館 1階 展示室
住所:武蔵野市中町3-9-11
交通:JR三鷹駅北口から徒歩約13分、JR三鷹駅北口からバス1・2番線「市民文化会館入口」下車

市民文化会館の最寄駅は1つ先の三鷹駅ですが、美術館の近くのバスでもアクセス出来るそうです。あわせて観覧するのも良いかもしれません。

それにしても千田のインスタレーションを体験した後、同館の浜口陽三記念室にてカラーメゾチントの作品を目にすると、深い藍を帯びた「闇」が不思議と響き合うように思えてなりませんでした。

2月23日まで開催されています。

「千田泰広―イメージからの解放」 武蔵野市立吉祥寺美術館@kichi_museum
会期:2020年1月11日(土) ~ 2月23日(日)
時間:10:30~19:30
 *毎週金曜日は20時まで開館。
 *7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)は21時まで。 
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:1月29日(水)、2月23日(水)。
料金:一般300円、中高生100円、小学生以下・65歳以上無料。)
住所:武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 コピス吉祥寺A館7階
交通:JR線・京王井の頭線吉祥寺駅中央口(北口)から徒歩約3分。
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