かはくチャンネルで見る「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜-太田洋愛原画展-」 

国立科学博物館
「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜-太田洋愛原画展-」 
開幕日未定~2020/4/12 *臨時休館中



国立科学博物館公式「かはくチャンネル」で公開中の解説動画、「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜ー太田洋愛原画展ー」を見てみました。

1910年に生まれ、旧満州で植物画の道に進んだ太田洋愛は、戦後ソ連による抑留を経て帰国すると、図鑑や教科書の植物画を多く描き、1970年には日本ボタニカルアート協会を設立するなどして活動しました。

その太田の描いたサクラの水彩画、約100点を展示したのが、「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜ー太田洋愛原画展ー」で、あわせて日本の植物分類学の礎を築いた植物学者、大井次三郎の業績を紹介していました。



さて計3本の動画によると、まず第1章「サクラの自然史」に取り上げられたのは、日本やヒマラヤのサクラの標本でした。日本では野生のサクラが約10種類あるとのことで、桜餅に使われるオオシマザクラや、牧野富太郎が上野公園で採取したソメイヨシノなどを見ることが出来ました。また花見の習慣の史的変遷も興味深いかもしれません。

続く第2章では「桜のボタニカルアート」と題し、サクラの様態を記録した植物画が紹介されていました。いずれもサクラを研究するために制作されていて、動画越しでも細部までを精緻に描いていることが分かりました。



そして重要なのが、太田洋愛が絵を描いた「日本桜集」で、植物学者の大井次三郎が種類の名前や特徴を記していました。ようは二人の合作と言えるかもしれません。

解説では太田洋愛の活動についても触れていて、太田がサクラの絵を描いた百科事典をアップで映し出していました。また大井が著し、日本の初めての植物の総覧である「日本植物誌」や、オオタザクラをまつわる二人のエピソードも印象に残りました。



ラストが太田が「日本桜集」に記したサクラの原画で、絵の標本と合わせて見比べることが出来ました。ここで面白いのが、品種によって花や葉の生育の時期が違うことから、絵と標本のサイズが異なるとの指摘でした。ただ基本的には標本と同じサイズで描かれるとのことでした。

一般的な花の絵画と植物画の違いについても言及があり、太田の作品は単に写実的ではなく、芸術性を得たボタニカルアートとして位置付けられています。また「日本桜集」には解剖図も含まれていて、科学的にサクラの構造を捉えた作品でもあります。この他にはソメイヨシノ特性についても興味を引かれました。


今年はお花見もままならない状況でしたが、動画を通してとは言え、美しく精緻なサクラの絵を多く愛でることが出来ました。国立科学博物館のスタッフの方々と、展示を監修され、解説も担当された植物研究部長の樋口正信さんに感謝したいと思います。

「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜-太田洋愛原画展-」 国立科学博物館@museum_kahaku
会期:開幕日未定~2020年4月12日(日) *臨時休館中
休館:3月23日(月)、4月6日(月)。
時間:9:00~17:00。
 *毎週金・土曜日は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生630(510)円、高校生以下・65歳以上無料。
 *( )内は団体料金
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
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