「おうちで式場展」で見る「式場隆三郎:脳室反射鏡」展

広島市現代美術館
「式場隆三郎:脳室反射鏡」 
2020/3/14~5/17 *臨時休館中



2月29日より臨時休館中の広島市現代美術館が、「式場隆三郎:脳室反射鏡展」をオンラインで楽しめる特設サイト「おうちで式場展」を公開しています。



「おうちで式場展」
https://www.hiroshima-moca.jp/ryuzaburo_shikiba/special/

主なコンテンツは3つあり、最初にアップされた「続・無観客美術館」では、式場展の展示風景を引きを中心としたアングルで撮影し、動画として紹介していました。同館の映像部の方々による制作で、ダイジェスト版を含めると4本あり、全部で5分程度でした。会場内の雰囲気を掴むのに良いかもしれません。



続くコンテンツが「都築響一 誌上展覧会」で、都築氏のメルマガで有料配信された「怪人シキバ二十面相」が特別に掲載されていました。これが想像以上に充実していて、精神科医で文筆家でもあり、またゴッホ研究家で山下清の紹介者でもあった式場のマルチな活動を、豊富なテキストや図版を通して追うことが出来ました。中でも戦時下における民藝との関わりや、書物への偏愛などの面は興味深いのではないでしょうか。ちなみに日本へのゴッホ受容に際しては、2017年に東京都美術館で開催された「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」でも式場の資料展示がありました。



ラストが「バーチャル展覧会」で、画面を動かしながら展示室を360度の方向から見ることが出来ました。ここで面白いのは「画面の表示」と「情報の表示」のアイコンがあることで、それらをクリックすると一部展示資料を閲覧出来たり、解説文が表示されました。またgoogle Polyを通すと全画面で表示されるため、会場内へ立ち入ったかのような臨場感も得られるかもしれません。


休止中の展覧会をWEBで伝える試みが各美術館で増えていますが、広島市現代美術館の「おうちで式場展」もかなり充実しているのではないでしょうか。さらに同館では本展のみならず、「おうちで図録を楽しもう!」として、過去展の図録を送料無料で購入出来るキャンペーンや、ワークショップの「おうち」バージョンをyoutubeで公開するなど様々な取り組みを行っています。


*里見公園(市川市)に咲くバラ。数年前に撮影。

さて今回の展覧会の主人公である式場隆三郎は、昭和11年、千葉県市川市の国府台に精神科の式場医院を設立し、院内にバラ園を整備しました。しかし昭和30年に火災が発生し、多くの方が亡くなる悲劇に見舞われましたが、後に新病院を建設して再びバラ園を開設するなど、市川市と縁の深い人物でもあります。そして市の花にはバラが指定され、没後に市の名誉市民として顕彰されました。

私も市川市に在住していることもあり、少なからず式場について関心を持っていて、以前、市の文学ミュージアムで開催された「炎の人 式場隆三郎ー医学と芸術のはざまで」を観覧したことがありました。主に式場の芸術面の関わりについて紹介する展覧会でした。



「式場隆三郎:脳室反射鏡」も見られれば良かったのですが、コロナの件もあり、叶いそうもありません。まずはWEBでのコンテンツを作って下さった広島市現代美術館のスタッフの皆さんに感謝致したいと思います。

「式場隆三郎:脳室反射鏡」 広島市現代美術館@HiroshimaMOCA
会期:2020年3月14日(土)~5月17日(日) *臨時休館中
休館:月曜日(5月4日を除く)、5月7日(木)。
時間:10:00~17:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大学生700(600)円、高校生・65歳以上500(400)円、中学生以下無料。
 *( )内は30名以上の団体料金。
場所:広島市南区比治山公園1-1
交通:広電(市内路面電車)比治山下駅より徒歩10分。広島駅及び紙屋町より広電・広島バスにて「段原中央」下車。動く歩道「比治山スカイウォーク」経由にて約700m。
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