都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「おうちでミュージアム」で知りたい「竹中大工道具館」の魅力
竹中大工道具館
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命 木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」
2020/3/28~6/7 *開幕延期、臨時休館中
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/6e/e35946c4bee985e7fab380e08cb55b22.png)
新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、臨時休館中の竹中大工道具館では、常設展や企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」の会場風景を映像で公開しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/74/c3e9ea864e9bab34117b85f03e79fda1.png)
【期間限定 おうちでミュージアム】
https://www.dougukan.jp/special_exhibition/ouchi-museum
まず常設展では「常設展のご案内〜歴史への旅へ」と題し、同館元館長の赤尾建藏さんが解説しながら会場を案内していて、日本の大工道具の歴史的変遷を追うことが出来ました。例えば冒頭では、縄文時代の石と弥生時代の鉄の道具について比較していて、それぞれ硬いクリと柔らかいスギを建築材に用いるなど、道具によって資材が異なっていたことが分かりました。
また縄文時代から出土した石斧のサンプルや、弥生時代の復元した鉄の道具も紹介していて、縄文の斧が縦型から横型へ変わっていた経緯についても知ることが出来ました。そして古墳時代の道具に関しては、仏教伝来に伴って、渡来人が持ち込んだ例が多いとの指摘も興味深いものがありました。
飛鳥時代の法隆寺では、現地から大工道具が出土しないものの、建物の解体修理の調査によって、使った道具が推測されてきました。また中国や朝鮮半島の塔では庇が反っているのに対し、雨の多い日本では長く垂れていることや、古い絵巻の描写から大工道具の使い方を見ていく視点も印象に残りました。
室町時代では、14世紀に大陸から導入された大鋸の重要性について触れていて、大材を真っ直ぐに引いては、板を作り出すプロセスを見ることが出来ました。そして室町以降は大工の仕事が比較的「楽」(赤尾さんの解説より)になったことから、意匠的な行為である彫り物の制作が増えていったとのことで、鎌倉彫なども一例と言えるのかもしれません。
江戸時代では約60点弱ほど大工の棟梁の道具が並んでいて、かつての時代より用途で細分化した道具のあり方について理解出来ました。さらに棟梁への心得としての「五意達者」について紹介していて、「かなり勉強しなくては棟梁になれない。」との言葉も心に残りました。
縄文から明治以降の大工道具にまで及ぶ約35分の解説は専門的で、ともすると親しみのあるとは言えない大工道具について大いに学べるのではないでしょうか。また5月13日には第二弾として「棟梁に学ぶ」もyoutubeにアップされました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/b9/2ef0fb3f11abb90f0323751c019a51b3.png)
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展バーチャルミュージアム
https://www.dougukan.jp/vr/200400_aalto/tour.html
続く「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」では、休止中の同展の様子を7分弱の動画で公開して、字幕を追いかけながら、展示の内容を大まかに掴めました。また360度の角度からWEB上で楽しめる「バーチャルミュージアム」でも、一部の作品を拡大して鑑賞可能でした。
この他にも、子どもたちが大工の仕事や道具を紹介する映像「大工さんってスゴイ!」や、PDFでダウンロードして楽しめる塗り絵、それに大工道具の使い方を学べるページなども合わせて公開していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/c3/82132c99894848a9fb168b9695ebae4d.png)
1984年、神戸市中山手に設立された竹中大工道具館は、開館以来、大工道具を収集し、研究や展示を重ねていて、日本唯一の大工道具の博物館としての活動を続けてきました。そして2014年、建物の老朽化などに伴って、竹中工務店本社跡地であり、新神戸駅に近い同市熊内町へ移転しました。2020年1月の段階で約35000点もの資料を有しています。
六甲山地を背にした緑豊かなロケーションや日本庭園、それにモダンでかつ「和」を意識した建築などは、写真を通してでも魅力的に映るのではないでしょうか。私も再開館した際は一度訪ねたいと思いました。
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命 木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」 竹中大工道具館(@tctm_pr)
会期:2020年3月28日(土)~6月7日(日) *開幕延期、臨時休館中。
休館:月曜日。(祝日の場合は翌日休)
時間:9:30~16:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500円、大学・高校生300(500)円、65歳以上200円、中学生以下無料。
住所:神戸市中央区熊内町7-5-1
交通:神戸市営地下鉄新神戸駅北出口2より徒歩約3分。JR山陽新幹線新神戸駅中央改札口より徒歩約3分。
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命 木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」
2020/3/28~6/7 *開幕延期、臨時休館中
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/6e/e35946c4bee985e7fab380e08cb55b22.png)
新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、臨時休館中の竹中大工道具館では、常設展や企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」の会場風景を映像で公開しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/74/c3e9ea864e9bab34117b85f03e79fda1.png)
【期間限定 おうちでミュージアム】
https://www.dougukan.jp/special_exhibition/ouchi-museum
まず常設展では「常設展のご案内〜歴史への旅へ」と題し、同館元館長の赤尾建藏さんが解説しながら会場を案内していて、日本の大工道具の歴史的変遷を追うことが出来ました。例えば冒頭では、縄文時代の石と弥生時代の鉄の道具について比較していて、それぞれ硬いクリと柔らかいスギを建築材に用いるなど、道具によって資材が異なっていたことが分かりました。
また縄文時代から出土した石斧のサンプルや、弥生時代の復元した鉄の道具も紹介していて、縄文の斧が縦型から横型へ変わっていた経緯についても知ることが出来ました。そして古墳時代の道具に関しては、仏教伝来に伴って、渡来人が持ち込んだ例が多いとの指摘も興味深いものがありました。
飛鳥時代の法隆寺では、現地から大工道具が出土しないものの、建物の解体修理の調査によって、使った道具が推測されてきました。また中国や朝鮮半島の塔では庇が反っているのに対し、雨の多い日本では長く垂れていることや、古い絵巻の描写から大工道具の使い方を見ていく視点も印象に残りました。
室町時代では、14世紀に大陸から導入された大鋸の重要性について触れていて、大材を真っ直ぐに引いては、板を作り出すプロセスを見ることが出来ました。そして室町以降は大工の仕事が比較的「楽」(赤尾さんの解説より)になったことから、意匠的な行為である彫り物の制作が増えていったとのことで、鎌倉彫なども一例と言えるのかもしれません。
江戸時代では約60点弱ほど大工の棟梁の道具が並んでいて、かつての時代より用途で細分化した道具のあり方について理解出来ました。さらに棟梁への心得としての「五意達者」について紹介していて、「かなり勉強しなくては棟梁になれない。」との言葉も心に残りました。
縄文から明治以降の大工道具にまで及ぶ約35分の解説は専門的で、ともすると親しみのあるとは言えない大工道具について大いに学べるのではないでしょうか。また5月13日には第二弾として「棟梁に学ぶ」もyoutubeにアップされました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/b9/2ef0fb3f11abb90f0323751c019a51b3.png)
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展バーチャルミュージアム
https://www.dougukan.jp/vr/200400_aalto/tour.html
続く「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」では、休止中の同展の様子を7分弱の動画で公開して、字幕を追いかけながら、展示の内容を大まかに掴めました。また360度の角度からWEB上で楽しめる「バーチャルミュージアム」でも、一部の作品を拡大して鑑賞可能でした。
この他にも、子どもたちが大工の仕事や道具を紹介する映像「大工さんってスゴイ!」や、PDFでダウンロードして楽しめる塗り絵、それに大工道具の使い方を学べるページなども合わせて公開していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/c3/82132c99894848a9fb168b9695ebae4d.png)
1984年、神戸市中山手に設立された竹中大工道具館は、開館以来、大工道具を収集し、研究や展示を重ねていて、日本唯一の大工道具の博物館としての活動を続けてきました。そして2014年、建物の老朽化などに伴って、竹中工務店本社跡地であり、新神戸駅に近い同市熊内町へ移転しました。2020年1月の段階で約35000点もの資料を有しています。
#おうちでミュージアムぬり絵を2種類アップしました!台切で作業中のビーバーさんたちと、斧での薪割り休憩中のクマさんです。塗り絵の種類を増やしていく予定ですので、お楽しみに。https://t.co/bE5l64hAob#竹中大工道具館 #臨時休館中#おうちミュージアム#おうちで彩る道具館#エア博物館 pic.twitter.com/jw3psfXtlh
— 竹中大工道具館 (@tctm_pr) May 12, 2020
六甲山地を背にした緑豊かなロケーションや日本庭園、それにモダンでかつ「和」を意識した建築などは、写真を通してでも魅力的に映るのではないでしょうか。私も再開館した際は一度訪ねたいと思いました。
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命 木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」 竹中大工道具館(@tctm_pr)
会期:2020年3月28日(土)~6月7日(日) *開幕延期、臨時休館中。
休館:月曜日。(祝日の場合は翌日休)
時間:9:30~16:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500円、大学・高校生300(500)円、65歳以上200円、中学生以下無料。
住所:神戸市中央区熊内町7-5-1
交通:神戸市営地下鉄新神戸駅北出口2より徒歩約3分。JR山陽新幹線新神戸駅中央改札口より徒歩約3分。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )