都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
オンライン・プログラム「Mori Art Museum Digital」で楽しむ現代アート
2月末から臨時休館中の森美術館が、公式サイト「Mori Art Museum Digital」内に、現代アートのコンテンツを楽しめる「Stay Home, Stay Creative, MAM@HOME」を公開しています。
「Stay Home, Stay Creative, MAM@HOME」@Mori Art Museum Digital
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamdigital/index.html
まず動画では、開幕が延期された「MAMスクリーン013:ムニーラ・アル・ソルフ」の4つの映像作品のうち、「ラワーンの歌」と「まるで私がそこにふさわしくないかのように」が公開されていて、それぞれ約7分と12分の全編を鑑賞することが出来ました。
1978年にベイルートで生まれたムニーラ・アル・ソルフは、近年、「ベネチア・ビエンナーレ」(2015年)や「ドクメンタ14」(2017年)などに参加して、レバノンとヨーロッパを拠点に、現代社会の「日常の出来事や小さな物語をユーモアを込めて」(公式サイトより)表現してきました。
私が興味深く思えたのは、作品制作をやめたアーティストが回想する「まるで私がそこにふさわしくないかのように」でした。ここでは4人のアーティストが独白の形で過去を振り返っていて、例えばマネの「笛を吹く少年」などの古典作品や現代美術の類似作品を引用し、過去の経緯と現在の生き様について語っていました。個人的な体験と、美術の何らかの様式やイメージが、どこか重ね合うような印象を与えられるかもしれません。
また動画では「おうちで楽しむ、遊ぶ、学ぶアート」と題し、森美術館が過去に実施した「ラーニング・プログラム」の一部が公開されていて、展覧会だけでは掴めきれない同館の幅広い活動に親しめました。
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏家と協働した「森あわせ~building a forest~」や、エルリッヒ本人による子どもたちとのワークショップ「レアンドロさんと一緒に」も面白いのではないでしょうかか。
「未来と芸術展」3Dウォークスルー特別公開
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamdigital/03/index.html
会期途中で打ち切りとなった「未来と芸術展」の3Dウォークスルーも充実していました。ここでは休館中に撮影された3D映像を、WEB上から自由な角度で閲覧可能で、広大な展示室内に設置された写真、模型、オブジェ、映像などを細かに見ることが出来ました。
この3Dウォークスルーで特に優れているのは、幾つかの作品において、展示を企画した森美術館特別顧問の南條史生さんの解説を動画で聞けることでした。個々の解説は1分程度と長くないもの、簡潔でありながら要点が絞られている上、動画自体も実に30件近くにも及んでいて、想像以上に聞き応えがありました。
キャプションも日本語、英語の双方で拡大して表示することも可能でした。私も「未来と芸術展」は休館前に実際に見ましたが、映像でも臨場感を持って展示に接することが出来ました。
さて「Mori Art Museum Digital」で極めて個性的なのは、世界各地のアーティストから寄せられた写真をレシピとともに紹介する、「アーティスト・クックブック by MAM」のコンテンツでした。
第1回目の森美術館の片岡真実館長にはじまり、5月22日の段階で、第9回目のリンゴ・ブノアンまでのレシピがTwitterやFacebook、それにInstagramにてアップされていて、材料、写真、作り方までが丁寧に記されていました。
これがアーティストによって工夫が滲み出ていて、ティファニー・チュン「パテ・ショー(ベトナミーズ・ホットパイ)」やリー・ミンウェイの「ジーン・グーチの英国風アップルケーキ」は殊更に美味しそうに見えました。また杉本博司の「透ける白(蕪の酢の物)」と「焼き空豆」も本格的で、凝ったレシピも多く、それこそステイホームにもぴったりと言えるかもしれません。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために2月29日より臨時休館し、会期途中で「未来と芸術展」を打ち切った森美術館は、4月23日からの「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」の開幕も延期し、現在も休館を続けています。
「Stay Home, Stay Creative, MAM@HOME」のコンテンツの公開は、「STARS展」の開幕までだそうです。「STARS展」の開催を心待ちにしながら、しばらくはオンラインで楽しむのも良さそうです。
「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館(@mori_art_museum)
会期:2020年4月23日(木)~9月6日(日) *開幕日未定、会期変更。
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
*火曜日は17時で閉館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳~中校生)600円、65歳以上1500円。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
「Stay Home, Stay Creative, MAM@HOME」@Mori Art Museum Digital
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamdigital/index.html
まず動画では、開幕が延期された「MAMスクリーン013:ムニーラ・アル・ソルフ」の4つの映像作品のうち、「ラワーンの歌」と「まるで私がそこにふさわしくないかのように」が公開されていて、それぞれ約7分と12分の全編を鑑賞することが出来ました。
1978年にベイルートで生まれたムニーラ・アル・ソルフは、近年、「ベネチア・ビエンナーレ」(2015年)や「ドクメンタ14」(2017年)などに参加して、レバノンとヨーロッパを拠点に、現代社会の「日常の出来事や小さな物語をユーモアを込めて」(公式サイトより)表現してきました。
私が興味深く思えたのは、作品制作をやめたアーティストが回想する「まるで私がそこにふさわしくないかのように」でした。ここでは4人のアーティストが独白の形で過去を振り返っていて、例えばマネの「笛を吹く少年」などの古典作品や現代美術の類似作品を引用し、過去の経緯と現在の生き様について語っていました。個人的な体験と、美術の何らかの様式やイメージが、どこか重ね合うような印象を与えられるかもしれません。
また動画では「おうちで楽しむ、遊ぶ、学ぶアート」と題し、森美術館が過去に実施した「ラーニング・プログラム」の一部が公開されていて、展覧会だけでは掴めきれない同館の幅広い活動に親しめました。
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏家と協働した「森あわせ~building a forest~」や、エルリッヒ本人による子どもたちとのワークショップ「レアンドロさんと一緒に」も面白いのではないでしょうかか。
「未来と芸術展」3Dウォークスルー特別公開
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamdigital/03/index.html
会期途中で打ち切りとなった「未来と芸術展」の3Dウォークスルーも充実していました。ここでは休館中に撮影された3D映像を、WEB上から自由な角度で閲覧可能で、広大な展示室内に設置された写真、模型、オブジェ、映像などを細かに見ることが出来ました。
この3Dウォークスルーで特に優れているのは、幾つかの作品において、展示を企画した森美術館特別顧問の南條史生さんの解説を動画で聞けることでした。個々の解説は1分程度と長くないもの、簡潔でありながら要点が絞られている上、動画自体も実に30件近くにも及んでいて、想像以上に聞き応えがありました。
キャプションも日本語、英語の双方で拡大して表示することも可能でした。私も「未来と芸術展」は休館前に実際に見ましたが、映像でも臨場感を持って展示に接することが出来ました。
さて「Mori Art Museum Digital」で極めて個性的なのは、世界各地のアーティストから寄せられた写真をレシピとともに紹介する、「アーティスト・クックブック by MAM」のコンテンツでした。
第1回目の森美術館の片岡真実館長にはじまり、5月22日の段階で、第9回目のリンゴ・ブノアンまでのレシピがTwitterやFacebook、それにInstagramにてアップされていて、材料、写真、作り方までが丁寧に記されていました。
🍴 ARTISTS COOKBOOK BY MAMレシピ#05 杉本博司「透ける白(蕪の酢の物)」と「焼き空豆」現在地:東京#ArtistsCookbookByMAM#HiroshiSugimoto#MoriArtMuseum#MuseumFromHome#StayHome#Cookbook pic.twitter.com/wa8ShQSJlC
— Mori Art Museum 森美術館 (@mori_art_museum) May 12, 2020
これがアーティストによって工夫が滲み出ていて、ティファニー・チュン「パテ・ショー(ベトナミーズ・ホットパイ)」やリー・ミンウェイの「ジーン・グーチの英国風アップルケーキ」は殊更に美味しそうに見えました。また杉本博司の「透ける白(蕪の酢の物)」と「焼き空豆」も本格的で、凝ったレシピも多く、それこそステイホームにもぴったりと言えるかもしれません。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために2月29日より臨時休館し、会期途中で「未来と芸術展」を打ち切った森美術館は、4月23日からの「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」の開幕も延期し、現在も休館を続けています。
「Stay Home, Stay Creative, MAM@HOME」のコンテンツの公開は、「STARS展」の開幕までだそうです。「STARS展」の開催を心待ちにしながら、しばらくはオンラインで楽しむのも良さそうです。
「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館(@mori_art_museum)
会期:2020年4月23日(木)~9月6日(日) *開幕日未定、会期変更。
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
*火曜日は17時で閉館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳~中校生)600円、65歳以上1500円。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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