都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
コレクションから庭園まで 「美術館オリジナル動画」にて楽しむ岡田美術館
岡田美術館
「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」
2020/4/5~9/27 *4/9より臨時休館
特別展「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の開催を一時中止し、臨時休館中の岡田美術館が、展示風景などを「美術館オリジナル動画」にて配信しています。
【美術館オリジナル動画 随時アップ中】
https://www.okada-museum.com/information/archives/197.html
まず動画では「岡田美術館紹介」として、福井江太郎の「風・刻」から、1階展示室に並ぶ中国の青銅器や韓国陶器などを映していて、暗がりの空間の中、鮮やかな照明によって浮かび上がる作品を目にすることが出来ました。
2階展示室では、戦後に行方不明となり、後に所在が判明して、66年ぶり一般に公開された歌麿の「深川の雪」が展示されていて、引きとアップのアングルにて動画から鑑賞し得ました。同作は歌麿の肉筆画の大作の「雪月花」三部作のうちの1つで、2017年にアメリカのワズワース・アセーニアム美術館より「吉原の花」を同館に迎え、オリジナルはフリーア美術館が所有する「品川の月」の原寸大高精細複製画とともに揃って展示されたことで注目されました。
この他、5階の仏教美術では「木造薬師如来坐像」などが紹介され、丸みを帯びたふくよかな顔立ちに、静かな笑みをたたえたような仏像の魅力を感じることが出来ました。
開幕延期された「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の映像では、「四季耕作図」や「夏の朝」などの出展作品をピックアップし、解説とともに公開していて、作品の背景や意味についても学べました。そして同じく解説が付いた「学芸員によるギャラリートーク」では、コレクションの名品より「鍍金花鳥文八花形銀杯」や「色絵竜田川文透彫反鉢」を見ることが可能で、とりわけ後者の乾山の紅葉の文様の美しさに魅せられました。
さて一連の動画で興味深いのは、端的にコレクションや展示室内だけでなく、屋外の庭園や足湯カフェ、それに昭和初期の日本家屋を改装した飲食施設「開化亭」についても紹介していることでした。例えば庭園では、鳥のさえずりや水の流れる音を耳にしながら、野山に咲く花を愛でることが出来ました。映像を通した散策気分も味わえるのではないでしょうか。
そのうち「開化亭」では、名物の豆アジ天うどんを試食するシーンもあり、思わず喉が鳴ってしまいました。臨時休館中の活動を紹介する動画は各美術館で増えていますが、カフェやレストランの食事にまで踏み込んで見せるケースは少ないかもしれません。
こうした動画以外でも、同館の公式TwitterやFacebookページでは、コレクションを図版とともに公開しています。とりわけ「おうちで北斎クイズ」など、アンケート機能を用いた発信も面白く感じました。
2013年に箱根の小涌谷にオープンした岡田美術館は、日本と東洋の美術品のコレクションで知られ、過去にも歌麿の「深川の雪」や琳派、それに田中一村などの優品を展覧会で公開してきました。私もかつて一度、2014年に行われた「大観・春草・御舟と日本美術院の画家たち 速水御舟『木蓮』 久々の公開」の際に、岡田美術館を訪ねたことがありました。
全5階、約5000m2もの広大な展示室にずらりと並ぶ美術品は、まさに圧巻のコレクションで、かの「風神雷神図」を継承した建物正面の大壁画「風・刻」も、カメラでは撮り切れないほどのスケールで驚きました。
また自然林を取り込んだ庭園や源泉を生かした足湯カフェなど、箱根の自然を楽しめるのも岡田美術館の大きな魅力ではないでしょうか。私も足湯に浸かりつつ、壁画に見入りながら、木々のざわめきを身体で感じたことを覚えています。
現在、延期中の「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の次は、没後220年を期した伊藤若冲に関する「画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―」(2020/10/4~2021/3/28)の開催が予定されています。
新型コロナウイルスの状況次第では、会期が流動的になる可能性もありますが、また秋以降、箱根の散策を兼ねて出かけるのも良いかもしれません。
「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」 岡田美術館(@okada_museum)
会期:2020年4月5日(日)~9月27日(日) *4月9日より臨時休館。
休館:12月31日、1月1日。
時間:9:00~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2800(2550)円、小・中・高生1800(1550)円。
*( )内は前売料金。コンビニ、ぴあなどで取り扱い。
*庭園入園料300円。美術館利用者は駐車場、足湯入湯料が無料。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
交通:箱根登山鉄道小涌谷駅より伊豆箱根・箱根登山バス「小涌園」下車。有料駐車場(80台)あり。
「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」
2020/4/5~9/27 *4/9より臨時休館
特別展「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の開催を一時中止し、臨時休館中の岡田美術館が、展示風景などを「美術館オリジナル動画」にて配信しています。
【美術館オリジナル動画 随時アップ中】
https://www.okada-museum.com/information/archives/197.html
まず動画では「岡田美術館紹介」として、福井江太郎の「風・刻」から、1階展示室に並ぶ中国の青銅器や韓国陶器などを映していて、暗がりの空間の中、鮮やかな照明によって浮かび上がる作品を目にすることが出来ました。
2階展示室では、戦後に行方不明となり、後に所在が判明して、66年ぶり一般に公開された歌麿の「深川の雪」が展示されていて、引きとアップのアングルにて動画から鑑賞し得ました。同作は歌麿の肉筆画の大作の「雪月花」三部作のうちの1つで、2017年にアメリカのワズワース・アセーニアム美術館より「吉原の花」を同館に迎え、オリジナルはフリーア美術館が所有する「品川の月」の原寸大高精細複製画とともに揃って展示されたことで注目されました。
この他、5階の仏教美術では「木造薬師如来坐像」などが紹介され、丸みを帯びたふくよかな顔立ちに、静かな笑みをたたえたような仏像の魅力を感じることが出来ました。
開幕延期された「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の映像では、「四季耕作図」や「夏の朝」などの出展作品をピックアップし、解説とともに公開していて、作品の背景や意味についても学べました。そして同じく解説が付いた「学芸員によるギャラリートーク」では、コレクションの名品より「鍍金花鳥文八花形銀杯」や「色絵竜田川文透彫反鉢」を見ることが可能で、とりわけ後者の乾山の紅葉の文様の美しさに魅せられました。
さて一連の動画で興味深いのは、端的にコレクションや展示室内だけでなく、屋外の庭園や足湯カフェ、それに昭和初期の日本家屋を改装した飲食施設「開化亭」についても紹介していることでした。例えば庭園では、鳥のさえずりや水の流れる音を耳にしながら、野山に咲く花を愛でることが出来ました。映像を通した散策気分も味わえるのではないでしょうか。
そのうち「開化亭」では、名物の豆アジ天うどんを試食するシーンもあり、思わず喉が鳴ってしまいました。臨時休館中の活動を紹介する動画は各美術館で増えていますが、カフェやレストランの食事にまで踏み込んで見せるケースは少ないかもしれません。
【おうちで北斎クイズ④】「四季耕作図屏風」の右下、民家に立てられたのぼりには、赤い絵具で何かの像が描かれています。これはいったい誰でしょうか?ヒント:初夏の場面です。#北斎の肉筆画 #おうちで美術館 pic.twitter.com/gqE3ud89yA
— 岡田美術館 (@okada_museum) May 16, 2020
こうした動画以外でも、同館の公式TwitterやFacebookページでは、コレクションを図版とともに公開しています。とりわけ「おうちで北斎クイズ」など、アンケート機能を用いた発信も面白く感じました。
2013年に箱根の小涌谷にオープンした岡田美術館は、日本と東洋の美術品のコレクションで知られ、過去にも歌麿の「深川の雪」や琳派、それに田中一村などの優品を展覧会で公開してきました。私もかつて一度、2014年に行われた「大観・春草・御舟と日本美術院の画家たち 速水御舟『木蓮』 久々の公開」の際に、岡田美術館を訪ねたことがありました。
全5階、約5000m2もの広大な展示室にずらりと並ぶ美術品は、まさに圧巻のコレクションで、かの「風神雷神図」を継承した建物正面の大壁画「風・刻」も、カメラでは撮り切れないほどのスケールで驚きました。
また自然林を取り込んだ庭園や源泉を生かした足湯カフェなど、箱根の自然を楽しめるのも岡田美術館の大きな魅力ではないでしょうか。私も足湯に浸かりつつ、壁画に見入りながら、木々のざわめきを身体で感じたことを覚えています。
現在、延期中の「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」の次は、没後220年を期した伊藤若冲に関する「画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに―」(2020/10/4~2021/3/28)の開催が予定されています。
新型コロナウイルスの状況次第では、会期が流動的になる可能性もありますが、また秋以降、箱根の散策を兼ねて出かけるのも良いかもしれません。
「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに」 岡田美術館(@okada_museum)
会期:2020年4月5日(日)~9月27日(日) *4月9日より臨時休館。
休館:12月31日、1月1日。
時間:9:00~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2800(2550)円、小・中・高生1800(1550)円。
*( )内は前売料金。コンビニ、ぴあなどで取り扱い。
*庭園入園料300円。美術館利用者は駐車場、足湯入湯料が無料。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
交通:箱根登山鉄道小涌谷駅より伊豆箱根・箱根登山バス「小涌園」下車。有料駐車場(80台)あり。
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