都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」 ポーラミュージアムアネックス
ポーラミュージアムアネックス
「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」
2020/10/15~11/15
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」を見てきました。
ポーラ美術振興財団が在外研修助成した若手芸術家の成果を公開する「ポーラ ミュージアム アネックス展」も、第17回を数えるに至りました。
今回のテーマは「透過と抵抗」で、いずれもガラスを素材する青木美歌、林恵理、中村愛子の3名のアーティストの作品が展示されていました。
林恵理「O.T.」 2017年
冒頭は1990年に鳥取で生まれ、ドイツで研修した林恵理の「O.T」と題した作品で、白い球状のガラスのオブジェが4つ並んでいました。表面は色が爛れてひび割れるような質感を見せていて、一見するところガラスのようには思えませんでした。古い地層から掘り起こされた化石を連想させるかもしれません。
林恵理 展示風景
さらにまるで果実のような形をしたオブジェや、額縁に入ったガラスの装飾的な作品を床と壁へ展開していました。ドイツでの生活で出会った「差異」を起点としながら、この世界での新しいユートピア像を考えて制作してきたそうですが、静謐な空間が立ち上がっていたのではないでしょうか。
青木美歌「Fluid」 2020年
2017年に同ギャラリーでの個展「あなたに続く森」でも人気を博した、ガラス造形作家の青木美歌の作品も目立っていたかもしれません。
青木美歌「Drift」 2020年
ガラスの展示台の上には、菌類などの微生物や何らかの有機体を連想させるオブジェが並んでいて、それこそ宝飾品のような眩い光を放っていました。
奥:青木美歌「Her favorite necklace」 2020年
また奥には青木が研修に出向いたアイスランドのトロール、つまり妖精の女の子が身につけるネックレスをモチーフにした作品が吊るされていました。日本の自然とアニミズムの精神の関係について考察していた青木は、アイスランドにおいても同様に自然と精霊についてリサーチしていたそうです。
中村愛子「余白」 2016年
最後に私が今回の展示で最も魅せられたのは、1991年に東京に生まれ、フランスで研修を重ねては、現在もパリガラス高等工芸美術学校に在学する中村愛子の作品でした。
中村愛子「Inhumane and Beautiful」 2017年
ステンドグラスでは果実や書物の静物の他、木立の風景や古びた建物、さらにはパソコンやスマホを持った人などが表されていて、過去と現代が混ざり合ったような光景を生み出していました。
中村愛子「島」 2019年
一方の鉛筆画ではゴシック風の建物の並ぶ街並みや、最後の晩餐を思わせるような食卓などが極めて細かに描かれていて、ステンドグラスと同様に幻想的な雰囲気が漂っていました。
右:中村愛子「百合の肖像」 2020年
色彩鮮やかなステンドグラスとモノトーンの鉛筆画の双方にて、夢の中を垣間見るような心象風景を表しているのかもしれません。どちらでの表現でも「光に美しさ」を重要視してきたとのことですが、一つの物語を紡ぐかのような作品世界に心を引かれました。
中村愛子 展示風景
WEBでの事前予約制が導入されました。入場に際しては原則、各回1時間前までに専用予約ページより日時を指定する必要があります。(但し定員に達していない時間帯は、予約なしでの当日観覧受付が可能。)
間もなく会期末です。11月15日まで開催されています。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2020年10月15日(木)~11月15日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料
時間:11:00~18:40
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」
2020/10/15~11/15
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」を見てきました。
ポーラ美術振興財団が在外研修助成した若手芸術家の成果を公開する「ポーラ ミュージアム アネックス展」も、第17回を数えるに至りました。
今回のテーマは「透過と抵抗」で、いずれもガラスを素材する青木美歌、林恵理、中村愛子の3名のアーティストの作品が展示されていました。
林恵理「O.T.」 2017年
冒頭は1990年に鳥取で生まれ、ドイツで研修した林恵理の「O.T」と題した作品で、白い球状のガラスのオブジェが4つ並んでいました。表面は色が爛れてひび割れるような質感を見せていて、一見するところガラスのようには思えませんでした。古い地層から掘り起こされた化石を連想させるかもしれません。
林恵理 展示風景
さらにまるで果実のような形をしたオブジェや、額縁に入ったガラスの装飾的な作品を床と壁へ展開していました。ドイツでの生活で出会った「差異」を起点としながら、この世界での新しいユートピア像を考えて制作してきたそうですが、静謐な空間が立ち上がっていたのではないでしょうか。
青木美歌「Fluid」 2020年
2017年に同ギャラリーでの個展「あなたに続く森」でも人気を博した、ガラス造形作家の青木美歌の作品も目立っていたかもしれません。
青木美歌「Drift」 2020年
ガラスの展示台の上には、菌類などの微生物や何らかの有機体を連想させるオブジェが並んでいて、それこそ宝飾品のような眩い光を放っていました。
奥:青木美歌「Her favorite necklace」 2020年
また奥には青木が研修に出向いたアイスランドのトロール、つまり妖精の女の子が身につけるネックレスをモチーフにした作品が吊るされていました。日本の自然とアニミズムの精神の関係について考察していた青木は、アイスランドにおいても同様に自然と精霊についてリサーチしていたそうです。
中村愛子「余白」 2016年
最後に私が今回の展示で最も魅せられたのは、1991年に東京に生まれ、フランスで研修を重ねては、現在もパリガラス高等工芸美術学校に在学する中村愛子の作品でした。
中村愛子「Inhumane and Beautiful」 2017年
ステンドグラスでは果実や書物の静物の他、木立の風景や古びた建物、さらにはパソコンやスマホを持った人などが表されていて、過去と現代が混ざり合ったような光景を生み出していました。
中村愛子「島」 2019年
一方の鉛筆画ではゴシック風の建物の並ぶ街並みや、最後の晩餐を思わせるような食卓などが極めて細かに描かれていて、ステンドグラスと同様に幻想的な雰囲気が漂っていました。
右:中村愛子「百合の肖像」 2020年
色彩鮮やかなステンドグラスとモノトーンの鉛筆画の双方にて、夢の中を垣間見るような心象風景を表しているのかもしれません。どちらでの表現でも「光に美しさ」を重要視してきたとのことですが、一つの物語を紡ぐかのような作品世界に心を引かれました。
中村愛子 展示風景
WEBでの事前予約制が導入されました。入場に際しては原則、各回1時間前までに専用予約ページより日時を指定する必要があります。(但し定員に達していない時間帯は、予約なしでの当日観覧受付が可能。)
【中村愛子さんの作品です】ポーラ ミュージアム アネックス展2020 - 透過と抵抗 -11月15日(日)まで#青木美歌 #林恵理 #中村愛子11:00 -18:40入場無料※事前予約制(展覧会は事前予約制となりますが、定員に達していない時間帯は予約なしでの当日観覧受付が可能です) pic.twitter.com/eyumyQ1PXr
— ポーラ ミュージアム アネックス (@POLA_ANNEX) November 6, 2020
間もなく会期末です。11月15日まで開催されています。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2020-透過と抵抗」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2020年10月15日(木)~11月15日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料
時間:11:00~18:40
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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