「麻生三郎展」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「麻生三郎展」
11/9-12/19



かつては靉光や松本竣介らと「新人画会」を結成し、その後も「絵画の本質を粘り強く探求し続けてきた」(ちらしより引用)画家、麻生三郎(1913-2000)の業績を回顧します。東京国立近代美術館で開催中の「麻生三郎展」へ行ってきました。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 闇の中で光を見つめる 1934-1953
第2章 赤い空の下で 1954-1960
第3章 内と外の軋(きし)み 1961-1994

主に麻生の画風の変遷にあわせ、その業績を時系列で追う内容となっていました。


「自画像」 1935年 神奈川県立近代美術館

展示冒頭に登場するのは、麻生が画業初期に描いた自画像です。大きく見開いた目で前を見据える様子は、どこかあどけないながらも強い意志が感じられます。またこの時期の彼はこうした自身の姿の他、妻や身近な人物を多く描きました。後半生を通し、麻生の一貫したモチーフはあくまでも人間そのものであったようです。


「男」 1940年 茨城県立近代美術館

比較的早い頃の風景画や静物画などは、いわゆる抽象性の高い戦後の作品からすると意外な印象を受けるかもしれません。麻生は1938年に渡仏して写実を学び、時に佐伯祐三やブラマンクを思わせる作品を展開しました。「アマリリス」(1943年)には目が釘付けです。鮮やかな色彩と力強い線描は快活で、生命讃歌にも満ちあふれていました。

母子を描いた作品が多数登場します。大きな手でしっかりと我が子を抱く「母子」(1948年)からは、西洋の伝統的な聖母子のモチーフにも似たような慈しみの精神を感じました。


「赤い空」 1956年 東京国立近代美術館

麻生の色として印象に深いのはやはり赤ではないでしょうか。彼は戦後の復興の進む街の景色を赤にまとめて描き続けます。「赤い空というのは人間の体臭のようなそして触覚的な風景である。」という麻生の言葉も心に響きました。


「りょうはしの人」 1992年 神奈川県立近代美術館

60年代以降は麻生の独擅場です。きしみ、また歪み、さらには混沌とした色彩の中でちぎれるようにうごめく人間は、何かを訴えかけるようにただ目だけをこちらに向けていました。

麻生の回顧展は画家生前の94年~95年以来、約15年ぶりのことだそうです。油彩、素描、また一部の立体など計134点にも及ぶ作品は、彼の全貌を紹介するのに全く不足ありませんでした。(出品リスト


「家族」 1959年 福島県立近代美術館

いわゆる「重い」展覧会であるのは間違いありませんが、見終えた後、不思議と打ちのめされると言うよりも、むしろ画家の生きることへの真摯な眼差しを感じました。繰り返される母子像のモチーフは当然のこと、混沌とした後半生の作品からも、人間の存在を肯定するような「生の気配」(ちらしより引用)が確かに感じられます。

12月19日までの開催です。なお東京展終了後、京都国立近代美術館(2011/1/5~2/20)と愛知県美術館(2011/4/29~6/12)へと巡回します。
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読売日本交響楽団2011年シーズン発表記者会見

読売日本交響楽団2011-2012シーズン記者発表会(11/22開催)に参加してきました。



既に来シーズンのプログラムは同楽団WEBサイトでも告知されていますが、先日改めて常任指揮者のカンブルランと正指揮者の下野が同席した上で、その概要などが発表されました。

2011年度公演スケジュール@読売日本交響楽団(pdfパンフレット

まず初めに読響を代表し、同楽団の理事長である横田弘幸氏の挨拶が行われました。

~理事長 横田弘幸~


挨拶する同楽団理事長の横田弘幸。通訳を挟んで右はカンブルラン。

2012年に創設50周年を迎えるオーケストラ。
日本におけるクラシックの普及と発展に尽力してきたと自負している。
現在もカンブルランと下野の両巨頭を迎えて意欲的に活動している。
来年は楽団の「プレ50周年」ともいえる年。日本にクラシック音楽を普及させるという原点にたち戻り、日本人の生活の中にもっとクラシックを取り込んでいこうという活動をさらに進めていきたい。

続いて同楽団事務局長の坂田氏により、来シーズンの大まかな概要などについての簡単な説明がありました。

~事務局長 坂田誠一郎~


プログラムについて説明する事務局長坂田誠一郎。

来シーズンは常任指揮者にカンブルランが就任してから2年目の年。また下野も2006年に正指揮者に就任して今年で4年。読響の顔である。
来年は芸術劇場が改修工事に入るため、名曲シリーズとマチネーは初台の東京オペラシティコンサートホールに移る。工事は2012年に終了する予定だが、元に戻る時期などは今検討している段階だ。

[定期演奏会]
カンブルランは4月と9月と11月の公演に登場。テーマは「ロミオとジュリエット」。
5月にはチェコ・フィルで活躍したマーツァルが読響に初共演する。
7月には下野がヒンデミットの珍しい曲とともにブルックナーを披露。下野が東京でブルックナーを振るのは初めてである。
10月は團伊玖磨の没後50年に際し、彼の交響曲第6番を演奏する。
3月にはスクロヴァチェフスキが来日。その年の5月にベルリンフィルでも指揮予定のブルックナーの交響曲第3番を演奏する。

[サントリーホール名曲シリーズ]
4月のカンブルランはチェコでまとめたプログラム。モーツァルトの「プラハ」に始まり「モルダウ」からヤナーチェクへ至るプログラムを演奏する。
6月のカリニャーニによるモーツァルトのレクイエムは、新国立劇場のコジ・ファン・トゥッテに出演予定のキャストで臨む。
12月の恒例第9公演は全部で6公演を予定。指揮は全て下野が担当する。

[オペラシティ名曲シリーズ]
サントリーの名曲シリーズと違うのは7月と10月。
7月は下野が定期公演と同じブルックナーを演奏。曲は第4番「ロマンチック」。
10月は昨年5月の読響との共演が好評だったオラリー・エルツが指揮。シベリウス国際コンクールで優勝した俊英に期待したい。

[オペラシティ・マチネーシリーズ]
9月のカンブルランが「幻想交響曲」を振り、また11月にはドイツものの王道とも言えるシューベルト、ワーグナー、R.シュトラウスを披露する。
また1月には下野がドヴォルザークシリーズから大曲の新世界を振る。
2月のヴァンスカの悲愴と3月のスクロヴァチェフスキの第4番という、チャイコフスキー対決にも注目してほしい。

[みなとみらいホリデー名曲シリーズ]
2005年から始まったシリーズ。本格的なプログラムをファミリーでも楽しんでほしい。
注目してほしいのは10月公演。定期同様に下野が團伊玖磨の交響曲第6番を披露する。これは団が神奈川と所縁があることから組まれたプログラムだ。

一通りの説明の後、常任指揮者のカンブルランより自身のプログラムにかける意気込みなどが語られました。

~常任指揮者 シルヴァン・カンブルラン~


常任指揮者カンブルラン。身振り手振りを交えてのトークでした。

プログラム全体の大きなテーマは「ロミオとジュリエット」。大勢の人が取り上げで様々な愛と死、そして喜びが表現されている主題だ。
ベルリオーズの「ロミオとジュリエット」は大作。オーケストラや合唱が絡み合い、現代的でロマンチックな音楽が展開される。グランドオペラのようにドラマチックだ。
プロコフィエフとラヴェルのプロを予定している。プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」については華やかで、悲しみだけでなく明るさも感じられる音楽だ。またラヴェルは私のようなフランス人にとっては重要なレパートリー。特に今回の「ボレロ」はオーケストラにとっても意味深い音楽で、団員一人一人の真剣な取り組みが要求される。ドラマチックな演奏にしたい。
チャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」と一緒に演奏するのは悲愴。実はチャイコフスキーは滅多にやらないがこの悲愴は好きな音楽だ。
チェコプロは興味深い演奏になるはず。チェコへ一種のオマージュである「プラハ」をはじめ、オーケストラにとっては難曲でもあるヤナーチェクを効果的に演奏したい。
ベートーヴェンは音楽の核心だ。指揮をする全ての人間に喜びを与えている。また彼の音楽は常に今の人間に語りかけている。演奏することは常に新しく、また発見のあることだ。
ドビュッシーやワーグナーのプロは「海」をテーマにしている。メンデルスゾーンの海は嵐をも示し、ワーグナーも海の情景をエキサイティングに描いた。一方でドビュッシーやショーソンは静かで透明感の海を表していると言えるだろう。
モーツァルトのプログラムは常に古きよき友人に再会するつもりで演奏している。
ドイツプロにも力が入る。マイスタージンガーについては唯一、笑いの要素がある彼の作品であるかもしれない。R.シュトラウスのティルはオーケストラの能力を高める上でも重要。楽しい音楽なので私自身も楽しんで指揮をしたい。

カンブルランは時に通訳の方がストップをかけなくてはならないほど熱のこもった様子で音楽に対する思いを話していました。

そして引き続き、正指揮者の下野からも同じくプログラムに対するコメントがありました。

~正指揮者 下野竜也~


下野竜也。

継続してやっているヒンデミットは難曲だが、演奏する毎にオーケストラの方からため息が減っているのは嬉しい。(笑)
ヒンデミットの「さまよえるオランダ人への序曲」は私が組んだ弦楽合奏版で演奏する。楽しみだ。
ヒンデミットとあわせて取り上げているドヴォルザークは昨年、1番と4番を演奏してマニアックと言われたので、来シーズンは5番や9番をやりたい。ちなみに3番と9番を並べたのはサンキューという意味だ。(笑)
日本人として邦人作品を積極的に演奏していきたいと思っている。昨年は黛先生と取り上げたが今度は團先生だ。
恒例の第9の話をカンブルランにしたら「GOOD LUCK!」といわれた。


カンブルランと下野の両指揮者。

冷静な語り口ながらも終始、冗談を交えてのにこやかな会見となりました。
最後にカンブルラン、下野両氏も同席した上で、質疑応答が行われました。こちらも興味深い内容であったのでまとめておきます。

~質疑応答~

Q 入場料について。最近ネットなどで一回券を買う若者も多いと聞くが、読響はシーズン券と一回券の値段の差が大きすぎるのではないか?一年を通してコンサートに通いつめるのは大変だ。
A(坂田) シーズン料金が設定された詳しい意図についてはわからないが、やはり長期間通っていただきたいという思いで安いシーズン料金を設定している。変更についても検討はしていきたい。

Q 創立以来、音楽監督をおいていないが導入する意図は?
A(坂田) 音楽監督をおこうという考えはない。今の通り常任、正指揮者の体制でいく。

Q 團伊玖磨の「広島」とアダムスのドクター・シンフォニーをプログラムした意図は?
A(下野) 演奏する前にあれこれ自分の心情を話すのは危険なのでなるべく避けたいと常に思っている。これも作品を聞いてから色々考えて下さいという他ないが、特に若い人たちが音楽を通して、昨今の日本の置かれた状況や先人たちが残した課題などについて色々頭を働かせる良い機会になるのではないかと思った。広島とアダムスを組み合わせることで、日本からの視点と外国からの視点の違いなども見えてくるかもしれない。たまには演奏会でそうしたことを考えるのも良いと思う。

Q 世界中で様々なオケを指揮してきた中で、今読響に携わっているのはどういう理由なのか。また日本の聴衆とは?
A(カンブルラン) ドイツでもフランスでも日本でも指揮や音楽は同じだ。目の前にあるのは音楽、楽譜であって、それに違いなどない。
日本の聴衆はとてもポジティブに音楽に接してくれる。演奏でも集中しているのがよくわかる。日本人は音楽を聞きにコンサートへ来ているが、それが違う国もある。世界で最悪の聴衆なのはパリだ。(笑)

Q 例えば演劇など他のジャンルとのコラボレーションなどは行わないのか。
A(カンブルラン) もちろんそれは重要だ。ただ本質的に劇場とコンサートの人間は違うと思っている。また今の私は主に交響曲をレパートリーにしている。またオペラ公演については日本とフランスでシステムが異なる。私は7週間程度のリハーサルが必要で公演も8~9日ほどは続けるべきだと思うが、日本でそれをするのは難しい。

Q 今年はマーラーイヤーということで、在京の各オーケストラはさかんにマーラーを演奏している。しかし読響はコンサートマスターにマーラーに造詣の深いデヴィッド・ノーランを迎え入れているにも関わらず、あまりレパートリーにのらない。何故なのか。もっと演奏すべきだ。
A(坂田)決してマーラーを避けているわけではなく、結果的になったと言うしかない。次のシーズンでもテーマにロミオとジュリエット、そしてヒンデミットなどの設定があってプログラムが決まった。
A(カンブルラン) アニバーサリーイヤーは常々やってくる。マーラーの前はメシアンがあってそれは楽しかった。でもその時にメシアンをやり過ぎたのか今は誰も聞きたがらない。(笑)何度も重ねて演奏するとそういう状況に陥る。それはなるべく避けたい。

以上です。この後、カンブルランと下野の記念撮影の他、懇親会などが続いて約1時間半ほどの記者会見は散会となりました。


発表会後、撮影に応じる横田、カンブルラン、下野の三氏。

なお読響でこうした新シーズンプログラムの発表会があったのは過去にあまり例がないそうです。私自身、普段なかなか接点のない指揮者の方々の音楽にかける思いを拝聴出来てとても収穫になりました。もし可能であれば、ファンの方などを招待してのさらに間口の広がった発表会などあればより面白くなるかもしれません。



何年か前、読響の演奏会でカンブルランによるトゥーランガリラ交響曲を聞いて非常に感銘を受けたことがありました。(上のちらしは当時のものです。)その後、彼が常任に就任すると聞いてとても嬉しくなりましたが、下野氏他、ミスターSやヴァンスカらも交えた実力派揃いの指揮陣の登場する読響から目が離せそうもありません。


発表会会場の東京芸術劇場。

読響の来シーズンにも大いに期待したいと思います。
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「上條花梨 - Stray Dog」 MEGUMI OGITA GALLERY

MEGUMI OGITA GALLERY中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1)
「上條花梨 - Stray Dog」
11/24-12/18



MEGUMI OGITA GALLERYで開催中の上條花梨個展、「Stray Dog」へ行ってきました。

作家、上條花梨のプロフィールについては同画廊WEBサイトをご参照下さい。

上條花梨(1980~)@MEGUMI OGITA GALLERY

私が彼女の作品を初めて意識して拝見したのは、2009年に同画廊(移転前)で開催された個展でした。

さて今回も表面に細かい色彩のドットが覆う「スパッタリング」と呼ばれる技法のよる油彩が約10点ほど出ていましたが、その見事な技術こそ全く揺らがないものの、モチーフとしては前回よりもよりシュールな印象を感じてなりません。上條はアーティスト・イン・レジデンスでフィンランドを訪問し、そこでの田舎風景や彼の地のおもちゃなどを「不安感を抱きつつ、でも淡々としながらさまよう迷い犬の目線」(画廊サイトより引用)で表しました。

確かにその視点は何やら不気味です。元々、一見リアルでありながらも実際には非現実的なイメージの作品を展開していましたが、それが全体としてより強い形で出ているようにも思えました。

12月18日まで開催されています。
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「TWS-Emerging 平川ヒロ/高松明日香/吉田早苗」 TWS本郷

トーキョーワンダーサイト本郷文京区本郷2-4-16
「TWS-Emerging 150 平川ヒロ - となりの部屋のうそつき/151 高松明日香 - ミラーズ/152 吉田早苗 - 木まみれ」
11/27-12/19



トーキョーワンダーサイト本郷で開催中のグループ展、「TWS-Emerging 平川ヒロ/高松明日香/吉田早苗」へ行ってきました。

各作家プロフィールについてはTWS公式WEBサイトをご覧ください。

平川ヒロ(1984~)/高松明日香(1984~)/吉田早苗(1983~)

それぞれ2009年のトーキョーワンダーウォールに出品しています。また平川は大賞を受賞しました。


平川ヒロ「四角に編まれた部屋」2010 油彩、綿布

さて今回は上記3名の主にペインティングが展示されていましたが、特に印象に残ったのは平川ヒロの一連の作品でした。それらは淡い色彩にて室内から戸外を見た景色が描かれていますが、しばらく見ているとその全てが非常に似ていることに気がつきます。また壁面に直接描いたドローイングの他、紐などを用いたインスタレーションなどで様々な室内のイメージを平面と立体で複層的に展開していました。


高松明日香「ざわめき」2010 キャンヴァス、アクリル

また一方、高松明日香は森や家屋などの景色を描いています。そこがどこか日常的なスナップショットのように捉えられているのがまた興味深いところですが、鮮やかな色彩とタッチは見ていて爽快でした。

吉田早苗は3階の窓をうまく利用しての展示です。TWS-Emergingは毎回気になっていて行きそびれることが多いのですが、今回はとても魅力的な内容だと思いました。

12月19日まで開催されています。
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「ダ・ヴィンチ~モナ・リザ 25の秘密」 日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム

日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(日比谷公園第二花壇内特設会場
「特別展 ダ・ヴィンチ~モナ・リザ 25の秘密」
2010/12/7~2011/2/20



日比谷公園にレオナルド・ダ・ヴィンチの英知が結集します。日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアムで開催中の「特別展 ダ・ヴィンチ~モナ・リザ25の秘密」のプレスプレビューに参加してきました。

チラシにも「エンタテイメントエキシビション」と記されている通り、例えばレオナルドの絵画が展示されたいわゆる美術展ではありません。


日比谷公園「ダ・ヴィンチミュージアム」

日比谷公園の大噴水の前に設けられたパビリオン「ダ・ヴィンチミュージアム」内には、レオナルドが考案し実験を重ねた様々な発明品の模型の他、「モナ・リザ」の精巧な複製パネル、また「最後の晩餐」の実寸大映像などが紹介されていました。

[展覧会の主な見どころ]

1.レオナルドの手稿に基づきイタリアで制作された工作機械、装置などの再現模型。(一部、体験可。)
2.最新の光学分析により明らかになった500年前の「モナ・リザ」の姿を紹介するとともに、極めて精巧な現在の「モナ・リザ」のレプリカを展示。
3.「最後の晩餐」の実寸大映像。



解説する池上英洋國學院大学准教授。右はモナ・リザを光学分析したゲストのパスカル・コット氏。

さてプレビュー当日、展覧会日本側監修者の池上英洋氏(國學院大学准教授)によるギャラリートークが行われました。以下、その内容に沿って展示の様子をご紹介したいと思います。

レオナルド30歳からの挑戦

いわゆる婚外子であるレオナルド。正規の教育を受けることなく画家になるため工房へと進むが、簡単には成功しなかった。
芸術家よりもまずは軍事技師として名を馳せていく。レオナルドが先人たちの知を本格的に学んだのは30歳を過ぎてからのことだった。

レオナルドの手稿~軍事技術・工作機械・解剖図~



レオナルドは様々なアイデアやスケッチを約40年に渡って手稿に書き留めた。その数は現存するもので約6000とも言われている。
軍事技術、工作機械、また灌漑設備などを考案して手稿に記した。
しかし発明は実用化されていないものが多い。

レオナルドの発明品~飛行機械


スクリュー。

レオナルドに先行する研究もあったが、彼はそれをさらに進化させた。
常に実験を重ねることを重視したレオナルド。そこに近代人としての自覚を見ることが出来る。

工作機械~結婚式の演出~


レオナルド考案の様々な工作機械。手前が自走車。

自走車は今でいうところのチョロQ。これも先行例があったが、レオナルドが研究を重ねた。
レオナルドは結婚式のコスチュームを機械仕掛けで演出したことがある。それが当時の人々の度肝を抜いた。
今でこそネジなどは既製品に頼ることが出来るが、当時そのようなものはなく、部品の一つ一つからレオナルドが作っていた。そしてそれを規格化しなくてはならないことにも気がついていた。
ようは部品すらない時代に機械を作ろうとしていたわけである。

500年前の「モナ・リザ」~マルチスペクトルカメラでわかったこと~

光の波長で絵の具を特定出来るこのカメラを用いることで、制作当時の「モナ・リザ」がどのような絵であるのかが判明した。



~一例~
指の位置:「モナ・リザ」の指の位置は極めて独特で、このように描かれた肖像画は類例がない。かつてはこの指が何を示すか分からなかったこともあったが、分析によってブランケットを持っていることが確かめられた。
眉毛の秘密:眉が描かれていないようにも見えるが、分析によってその存在が明らかになった。 またヴァザーリが「モナ・リザ」の眉について言及しているが正しかったこともわかる。経年劣化によって失われたと考えるのが妥当だろう。

「モナ・リザ」のレプリカ


「モナ・リザ」(レプリカ)

最も美しいものといわれる「モナ・リザ」のレプリカ。裏に記された数字などにも注目したい。
そこにはヴェルサイユ宮殿やルーブルにあった時の識別番号などが書かれている。18世紀に修復した痕跡も残っていた。

考案の軍事技術~お茶目なレオナルド~


装甲車。

レオナルドは様々な軍事技術を考案したが、実際に役にたたないものが多い。ただ当初は滑稽なものばかり作っていたが、次第に実用的になっていくのはレオナルドの探求の積み重ねの表れではないか。
またこうした技術を考える一方で、あまりにも殺傷能力が高いものは作らないとも述べている。
レオナルドはワイン農園を与えられ、何とか収穫を増やそうと土地に鉱物を埋めたこともあった。収穫した際、彼は一言「不味い」と記して、以降ワインには一切関わらなかったというお茶目なエピソードも残っている。このような逸話からは、彼の研究が常に成功をおさめたわけではないとこが良くわかるのではないだろうか。



以上です。出自をはじめ、いわゆる普通の人であったレオナルドが、努力を重ねて驚くほど広い範囲の思索を残したという事実を丹念に説明した内容となっていました。とかく付きまといがちなオーラをあえて排し、等身大のレオナルド像を提示する池上氏ならではのトークと言えるかもしれません。



さて展示は上にも記した通り模型、パネル、複製画、また映像によって構成されています。またレオナルドはどちらかというと画家のイメージが強いかもしれませんが、今回はどちらかというと科学者としての彼の業績を見せる内容です。メインは精巧に作られた復元模型でした。


「最後の晩餐」再現映像。手前は取材にこたえる池上氏。

かつて東博に「受胎告知」が出品されたことがありましたが、その際の本館部分での展示に少し似た面があるかもしれません。冒頭の仕掛けには思わず仰け反ってしまいましたが、展示自体はかなり本格的です。

また今回嬉しいのは一部模型を実際に動かせることです。またお馴染み「ウィトルウィウス的人体図」の黄金比を体感出来るコーナーもありました。混雑すると多少並ぶかもしれませんが、ここは楽しみたいところです。

ダ・ヴィンチ展公式ブログ/@DaVinciJapan(ツイッターアカウント)

会期はお正月云々を問わず無休です。また時間も日・月を除くと連日夜9時まで開館しています。立地はまさに都心そのものでもあるので、夜間開館は重宝しそうです。



2011年2月20日まで開催されています。

*写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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「クリスマス市2010」 川村記念美術館

バーネット・ニューマン展も間もなく会期を終える川村記念美術館ですが、現在「クリスマス市」と題し、ヨーロッパの街角で見られるマーケットを再現した催しが開かれています。川村記念美術館で開催中の「クリスマス市2010」へ行ってきました。



12/4-24今年も川村記念美術館に「クリスマス市」がやってきます!@川村記念美術館(pdfちらし



アットホームな雰囲気が何とも居心地の良いこじんまりとしたイベントです。



同館付属のギャラリーには、ドイツから取り寄せたというおもちゃやオーナメント、それにキャンドルなどがずらりと勢揃いしていました。



またこれらとあわせ、マーケットのシンボルということで高さ135センチの木製ピラミッドもお目見えしています。その他、クリッペと呼ばれるキリストの生誕の場面を示す人形なども展示されていました。



さらにもう一つマーケットに欠かせないのがクリスマスならではのお菓子や食べ物です。こちらも同じくドイツ由来の肉団子スープやクッキーなどがムードを盛り上げています。またイタリアよりの空輸のパネトーネなど、本格的な品も揃っていました。お値段も手頃です。お土産には困りませんでした。



12月に入って冷えてきましたが、まだ日向は温もりを感じます。さすがに大部分の木の葉や花は散っていましたが、探せば自然の彩りも随所に発見することが出来ました。



美術館とあわせてのんびり散歩出来るのも、川村記念美術館の醍醐味の一つです。



さて初めにも触れましたが、バーネット・ニューマン展は次の日曜、12日で終了します。(展示の様子については以下にまとめてあります。)

「アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン」(Vol.1・速報写真/Vol.2・レクチャー


*内覧時に主催者の許可を得て撮影しています。

点数こそ少ないものの、ニューマンの珍しい初期作より「アンナの光」までを辿れる、国内ではまたとない機会の展覧会です。

なおニューマン展の終了後は来年2月中旬までコレクション展が開催されますが、その後は先だっての東京と京都の回顧展も話題となった上村松園の展覧会が予定されています。

「松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画」 2011年2月15日(火)-3月27日(日) *リンクはプレスリリースへ。

定評ある松柏美術館(奈良)所蔵の主に下絵をメインにした松園の作品が80点ほど展観されるそうです。こちらも楽しみです。



クリスマス市合唱コンサート
12/18(土)13:20-13:50 四街道キリスト教教会
12/23(祝)13:20-13:50 佐倉ジュニア合唱団




東京方面からのアクセスも向上しました。

9/1より、東京駅と川村記念美術館を結ぶ高速バス路線が開通します。



川村記念美術館のクリスマス市は12月24日まで開催されています。
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「重田美月 - 近所の発光 - 」 GALLERY MoMo 六本木

GALLERY MoMo 六本木港区六本木6-2-6 サンビル第3 2階)
「重田美月 - 近所の発光」
11/27-12/18



ギャラリーモモ六本木で開催中の重田美月個展、「近所の発光」へ行ってきました。

作家、重田美月のプロフィールについては画廊WEBサイトをご参照下さい。

重田美月展「近所の発光」@ギャラリーモモ

2008年のワンダーウォール(MOT)の他、最近では同ギャラリーでのグループ展などでも出品があったそうです。

さて上記DM、「野原」(2010年 油彩、キャンバス)のように、一見するところアニメに登場する少女のようなモチーフが登場していますが、その姿は決して可愛らしいだけではありません。にこやかに笑う少女の首から下は丘に埋まり、その手前にはまるで彼女に手向けられているかのようなバラが散乱しています。また犬を描いた作品もありましたが、それも例えば目などが本来あるべき場所から離れて描かれていました。シュールです。その笑顔の向こうにはどことない恐怖が隠れていました。


「ミルクの池」2010 年 鉛筆、紙

またこれら油彩のマットな質感をはじめ、鉛筆を用いたドローイングの艶やかさにも惹かれました。画肌の魅力はDM画像では到底わかりません。

12月18日まで開催されています。
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「松戸アートラインプロジェクト2010」 松戸駅西口周辺

JR常磐線・新京成線松戸駅西口周辺(千葉県松戸市松戸1836-2 5階:実行委員会事務局)
「松戸アートラインプロジェクト2010」
11/20~12/19



松戸駅周辺の市街地を舞台に若手アーティストらが様々な展示を繰り広げます。松戸アートラインプロジェクト2010へ行って来ました。

実のところしばらく前までは松戸駅から自転車で行ける場所に住んでいた私にとって、地元でこのようなアートのイベントがあるだけでも感無量でしたが、実際の展示も充実したものが多くて予想以上に楽しめました。


松戸駅西口周辺。基本的に雑多なビル街です。

会場はかつて水戸街道の宿場町として栄え、現在でも松戸市の中心市街地を形成する、JR常磐線松戸駅の西口の一帯です。駅前の雑居ビルの一室から大学施設、また宿場町のなごりを残す古民家からデパートの屋上までといった多様なスペースにて、若いアーティストたちのインスタレーションを中心とする展示が行われていました。

出品アーティストなどについては、アートプロジェクト公式WEBサイトをご参照下さい。

アーティスト@松戸アートラインプロジェクト
malp_2010(公式ツイッターアカウント)


出品作家計31組、会場数も大小あわせて約15箇所と相当のスケールです。非常に興味深い作品が多くありましたが、全て紹介すると大変なので、いくつか印象に深かったものをご紹介したいと思います。

井口雄介「繰り返される日常」 ルシーナビル7F



エレベーターの行き先階ボタンを推した瞬間から作品がはじまっているのかもしれません。ともかく7階へ行ってみて下さい。この仕掛けは見事でした。

津田翔平「KYO-ZO 響像」 津田ビル3F


展示イメージ。

私としては一推しにしたい展示です。暗室の中に入ると赤色のレーザー光線による驚くべき空間が出現しました。音とレーザーの織りなすイリュージョンがSF的な宇宙を連想させます。なおこの展示は一度に2~3名(1グループ)しか入ることが出来ません。手すりにつかまりながらそれこそ宇宙遊泳でもする気持ちでレーザーの光を浴びました。

村上鉄兵「space in the leaf」 松戸伸和ビル4・5F



金属の森が広がります。鮮やかな色彩を帯びて広がる枝葉はとても軽やかでした。

太田遼「阻まれてまで」 岡田ビル2F



何もないがらんと雑居ビルの一室に不思議な景色が広がります。作品と空間そのもののせめぎ合いに緊張感を覚えました。


日大松戸歯学部。駅からは一番遠い会場です。

山本麻璃絵「街の中の存在感」 日本大学歯学部松戸校舎、松戸市立図書館本館、NTT前、商工会館別館前





大学の玄関口に何気なくそっと置かれた消化器やゴミ箱は何と木彫でした。なお作品はこの他、松戸市の図書館などにも置かれているそうです。


旧水戸街道沿いに建つ旧・原田米店。いくつかの展示が集中しています。

満尾洋之「穏」 旧・原田米店



古びた和室の襖や壁面にはあたかも宗達を連想させるような絵画が展開します。これは強烈です。

木村恒介「ゆれる景色の先に」 旧・原田米店母屋



母屋二階の窓を開放しての作品です。一見、外が普通に開けているように思えますが、両側の鏡によってその景色が歪んでいました。何気ない日常が変化していくような感覚を受けます。

小松宏誠「静寂の中で風は探す」 旧・原田米店母屋



母屋の一室で羽をつけたオブジェがゆらゆらと風に揺られています。その姿はまるで精霊のようでした。

池田剛介「無人島に降る雨」 旧・原田米店ガレージ



古びたガレージの中へお邪魔すると中には雨が降り注ぎます。雨に洗われる「地表」部分の水の動きを見ていると時間を忘れました。

山中彬充「ニュートラル」 坂川沿い



坂川沿いにそびえ立つ木製の階段、塔です。元々、土手に階段があるようですが、その延長として木製の塔のような建造物が出現していました。



対岸のデッキの作品ともよく調和しています。


松戸神社。実は毎年初詣に行っています。

枯山水サラウンディング「WATER≒WAITER」 松戸神社



松戸の氏神様に神秘的な音響空間が登場しました。側の道路の騒音でややかき消されるのは残念ですが、耳を傾けると水のせせらぎにも似た美しい調べが聞こえてきます。

近藤洋平「境界」 伊勢丹屋上



伊勢丹の屋上に出現したまさしく「境界」です。一見、何もないように見えますが、近づくとあるものが登場します。意表を突かれる感じで楽しめました。

以上です。ともかく色々なジャンルが混在しているので一言では表せませんが、やはりあえて制約のあるスペースを逆手にとったようなものや、古民家や川沿いなどの場所性を活かした展示が面白いと思いました。


旧水戸街道沿いの寺。実は松戸は寺の多い街でもあります。

先にも書いたように会場は松戸駅周辺の市街地です。展示場所は駅に隣接するビルから、徒歩10分程度かかる江戸川付近までとかなり広がりがあります。


大山エンリコイサム他のMADウォール。こちらも以前、拙ブログでご紹介しました。

私は駅北側に点在する雑居ビル内の展示を先に廻り、次に坂川を渡って日大松戸歯学部、そこから少し戻って旧街道沿いの原田米店から松戸神社、そして最後に伊勢丹へと歩きました。それで約2時間強です。


旧・原田米店敷地内。ちょっとした風情が感じられます。

なお階段で3~4階まであがらくてはいけない所や、靴を脱いで見る展示も多数あります。散歩をするような動きやすい格好がベストかもしれません。


アートラインの旗。目印は緑です。

会場には目印としてアートラインを示す緑の旗やポスターが掲げられています。

松戸アートラインプロジェクトマップ(PDF版)

またもちろん必携なのが地図の書かれたアートラインのチラシです。こちらは各展示場所の他、松戸駅にあるインフォメーションに置かれていました。実はこのインフォメーションが非常に分かりにくいのが問題ですが、JRの中央改札を出て一端左(東口方面)へ向かい、直ぐ右側にある自動きっぷ売場の奥の東西自由通路へ進むとあります。(松戸駅構内案内図)常に有人ではなくただ机の上にチラシが置いてある時もあるそうですが、そちらで戴いてスタートするのが良さそうです。


松戸駅付近を流れる坂川。昔よりはかなりきれいになりました。

なお同プロジェクトでは随時、ボランティアガイドによる展示ツアーが行われているそうです。集合場所が駅ではなく、やや離れたサポーターズカフェであることには要注意ですが、そちらに参加してみるのも手かもしれません。

「松戸アートラインプロジェクトアートツアー」
日時:12/4(土)、5(日)、11(土)、12(日)、18(土) 14:00~15:30
集合場所: MALPサポーターズカフェ(ほくとビル1F)/参加費: 無料/定員: 先着10名
参加希望者は、氏名、連絡先、人数、参加希望日を前日までにinfo@malp2010.comへメール、もしくは実行委員会へ電話、FAX。



江戸川河川敷。松戸市民にとっては親しみのある場所です。

また会期中、様々なイベントが企画されています。なお以下はその一例です。詳細はカレンダーをご覧ください。

「音楽パフォーマンス」
ジョン・ケージの「ヴァリエーションズ」(1961)、「ヴァリエーションズ3」(1962)の上演をします。
出演:足立智美(作曲家/パフォーマー)、北條知子(東京芸術大学 音楽環境創造科)他/日時:12/5(日) 14:00~/会場:松戸駅前西口 新角ビル3F

「山川冬樹パフォーマンス」
1973年、ロンドン生まれ。音楽、美術、舞台芸術の分野で活動。身体内部で起きている微細な活動や物理的現象をテクノロジーによって拡張、表出したパフォーマンスを得意とする。
出演: 山川冬樹/日時: 12/12(日)19:00~/会場:都市綜合開発第三ビル1F/無料/要事前予約→event@malp2010.com

「音粒子vol.3」
斎藤ちさとの映像作品の中で、ギター、ボイスなどを中心にした演奏を行う。
出演:バンドウジロウ/日時:12/18(土) 17:00~/会場:日大歯学部旧校舎


松戸駅近辺は既に宿場町の風情はなく、だからいってターミナルの賑わいにも乏しいという場所ではありますが、この企画を一回きりにせずに、今後も作家の活動をサポートするなどの息の長い取り組みが続けばと思いました。


松戸のメインストリート。歩いているとすっかり日が暮れてしまいました。

上野駅からは常磐線の快速で約20分ほどです。是非松戸へお越し下さい。

12月19日まで開催されています。 (展示時間は11:00~17:00。一部展示は異なる場合あり。)
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「山本麻友香展」 ギャラリー椿

ギャラリー椿中央区京橋3-3-10
「山本麻友香展」
11/6~11/27(会期終了)



ギャラリー椿で開催されていた山本麻友香の個展を見てきました。

作家、山本麻友香のプロフィール他、展示風景は同ギャラリーのWEBサイトをご参照下さい。

山本麻友香展 YAMAMOTO Mayuka@ギャラリー椿

私が彼女の作品を初めて意識して拝見したのは、確か2005年のDOMANI展のことでした。

さて今回もお馴染みの動物と少年が同化したような独特のモチーフが展開していましたが、前よりも一層、彼らの子どもらしさ、言わば少年のような面持ちが抜けているような気がしてなりません。少年は何やら童話の中のような世界の中で無表情に佇んでいますが、その面持ちの奥には何ものにも物怖じしないような強さが感じられます。その仮面から垣間見える鋭い眼光には思わず後ずさりしてしまいました。

これからも少年たちの静かなる成長を見守っていきたいです。

展示は既に終了しました。
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12月の展覧会・ギャラリーetc

恒例の私的スケジュール帳です。12月中に見たい展示などを挙げてみました。

展覧会

「幕末・明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸」 泉屋博古館分館(~12/12)
「開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生」 大倉集古館(~12/19)
「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」 サントリー美術館(~12/19)
「麻生三郎展」 東京国立近代美術館(~12/19)
「茶陶の道―天目と呉州赤絵展」 出光美術館(~12/23)
 #注:「国宝油滴天目茶碗」の出品期間は12/5まで。
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」 横須賀美術館(~12/26)
「日本美術院の画家たち」 山種美術館(~12/26)
「福沢一郎絵画研究所 進め!日本のシュルレアリスム」 板橋区立美術館(~2011/1/10)
 #講演会:「芸術という<活動>を繋ぐもの」 岡崎乾二郎(美術家) 12/4 13:00~16:00 先着100名。
「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ」 松濤美術館(~2011/1/23)
「DOMANI・明日展2010」 国立新美術館(2010/12/11~2011/1/23)
 #出品作家ギャラリートークあり。
「ニューオーリンズ ギッター・コレクション展」 千葉市美術館(2010/12/14~2011/1/23)
 #講演会:「お帰りなさい ギッター・コレクション」 小林忠(千葉市美術館館長) 12/19 14:00~ 往復葉書による申込制。(12/10必着)
「オランダのアート&デザイン新言語/東京アートミーティング トランスフォーメーション」 東京都現代美術館 (~2011/1/30)
 #トーク:「アピチャッポン・ウィーラセタクン アーティスト・トーク」 11/19 19:00~ 予約制。無料。
「カンディンスキーと青騎士展」 三菱一号館美術館(~2011/2/6)
「モネとジヴェルニーの画家たち」 Bunkamura ザ・ミュージアム(2010/12/7~2011/2/17)
「ダ・ヴィンチ モナ・リザ25の秘密」 日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(2010/12/7~2011/2/20)
「小谷元彦:幽体の知覚」 森美術館(~2011/2/27)
「アートサイト府中2010」 府中市美術館(~2011/3/6)

ギャラリー

「カンノサカン random」 日本橋三越本店美術サロン(12/8~12/14)
「上條花梨 - Stray Dog」 MEGUMI OGITA GALLERY(~12/18)
「森山大道 津軽」 Taka Ishii Gallery(~12/18)
「宮島達男 - Warp Time with Warp Self」 SCAI THE BATHHOUSE(~12/22)
「阪本トクロウ - けだるき一日生きるだけ」 ART FRONT GALLERY(12/3~12/26)
「池田学 - 焦点」 MIZUMA ART GALLERY(12/8~1/15)
「伊庭靖子」 MA2Gallery(~2011/1/16)
「安田悠 - 面影の向こう」 YUKA CONTEMPORARY(12/11~1/22)
「艾未未 - Cube Light」 MISA SHIN GALLERY(~1/29)

コンサート

未定



寒くなった思ったら早くも年の瀬がせまっていましたが、今月も展覧会が目白押しです。行き損ねているサントリーの蔦屋重三郎の他、東近美の麻生三郎展、また山種の美術院展などは早々に出かけたいと思います。



このところの怒濤のラインナップで美術ファンを湧かせる千葉市美術館ですが、これまた注目すべき展覧会が14日より始まります。それがニューオリーリンズのギッター夫妻の日本美術コレクションを紹介する「ギッターコレクション展」です。

またこの展覧会に関しては、関連の記念講演会が大変に強力です。ともに往復はがきでの申込制ですが、何とか二回とも拝聴出来ればと思いました。

ギッターコレクション展@千葉市美術館記念講演会
「お帰りなさい ギッター・コレクション」 講師:小林忠(千葉市美術館館長)
12月19日(日)14:00より(13:30開場)/11階講堂にて 
聴講無料/定員150名 (往復葉書による申込制) *申込締切12月10日(金)[必着]

「琳派の魅力―ギッター・コレクション展を中心に」 講師:河野元昭(秋田県立近代美術館館長)
1月16日(日)14:00より(13:30開場)/11階講堂にて 
聴講無料/定員150名 (往復葉書による申込制) *申込締切1月7日(金)[必着]



この冬、日比谷公園にて「エンタテイメント・エキシビション」とも銘打たれた異色のダ・ヴィンチ展が開催されるのをご存知でしょうか。こちらはいわゆる美術展のようにレオナルドの絵画が展示されるわけではありませんが、彼の世界観をこれまでにないスケールで体感的に知ることが出来るように工夫されるそうです。

ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密@日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム

レオナルドの発明品の復元展示や、「最後の晩餐」の実物大映像展示などのアナウンスもありました。会場の日比谷公園には特設のパビリオンが設置されているとのことで、それこそテーマパークのアトラクションのつもりで楽しみたいです。

それでは今月も宜しくお願いします。
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