都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」 東京都現代美術館
東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」
2010/10/29-2011/1/30
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/d3/3948e879527fe43c5eea0be913374bbd.jpg)
東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」へ行って来ました。
タイトルの通り、人間やそうでないものの「変身」や「変容」を現代アートの立場から問う展覧会ですが、ともかく絵画に映像にインスタレーションと盛りだくさんです。出品アーティストも15ヶ国、計21組に及んでいました。
AES + F
マシュー・バーニー
サイモン・バーチ
フランチェスコ・クレメンテ
マーカス・コーツ
ヤン・ファーブル
ガブリエラ・フリドリクスドッティ
石川直樹
バールティ・ケール
イ・ブル
小谷元彦
及川潤耶
ジャガンナート・パンダ
パトリシア・ピッチニーニ
シャジア・シカンダー
スプツニ子!
ヤナ・スターバック
サラ・ジー
高木正勝
トゥンガ
アピチャッポン・ウィーラセタクン
なお各アーティストのプロフィールなどについては同館WEBサイトをご参照下さい。なかなか豪華なメンバーでした。
トランスフォーメーション アーティスト@東京都現代美術館
さて掴みが私としてはかなりツボです。展示冒頭で来場者を待ち構えるのは、ブリヂストンでの個展が圧巻だったパトリシア・ピッチニーニでした。彼女は遺伝子操作による生命倫理などに関心を寄せる作家ですが、今回も人間とカモノハシのハイブリッドという赤ん坊「新生児」(2010)を出品しています。一見グロテスクながらも、どこか愛くるしい表情をしたその姿からは、作家のあらゆる生命に対する温かな眼差しを感じました。
またもう一点、映像の「サンドマン」(2002)も興味深い作品です。海で溺れる少女にある変化が生まれます。ここはその変容をじっくりと追いかけました。
続く及川潤耶のサウンドインスタレーション、「transfomation」(2010)も魅力的な作品ではないでしょうか。暗室に設置された数台のスピーカーから鳴る音が、空間全体にバーチャルな情景を呼び覚まします。音の織り成す風に包まながら、鳥の合唱に耳を傾けました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/fe/4c45d0e6de4701952e44288da471eb0b.jpg)
ジャジア・シカンダー「無題」1998 *参考図版
森美術館で個展開催中の小谷元彦や、布やレースで神や動物を象るというジャガンナート・パンダを過ぎると、一際目立つのが壁一面に紙を垂らし、多様な紋様を交差させたシャジア・シカンダーでした。絵の具の滲みを活かした絵画は、あたかも水墨を思わせるものがあります。その軽妙なタッチには目を奪われました。
さてエスカレーターを降りて2フロア目、一階展示室では主に映像を使った作品が展開されています。ここで挙げるべきはやはり高木正勝です。
高木と言えばつい最近、山本現代で個展を開いたところですが、今回も鳥の視点に基づく鮮やかな絵画的世界が、迫力ある音楽とともにスリリングな展開で映し出されています。大空を羽ばたきながら色の渦に呑まれ、そして解体されては次々と生成していく異世界に酔いしれました。
サラ・ジーがやや意表を突いた展示で楽しめます。エルメスの個展では空間をダイナミックに用いていましたが今回は一転、狭い場所で息を潜めるような作品を展開していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/8a/a1be63c86e214abf1321ac37730c5cd5.jpg)
ヤン・ファーブル「第15章(ブロンズ)」2010
マイベストはお馴染みのヤン・ファーブルです。暗室に並ぶ動物と自身の顔を融合させた「第1-18章」(2010)には、思わず息をのんだ方も多いかもしれません。鹿や兎の耳を被った作家の像は鬼気迫るものがあり、その表情の凍りついた様子はさながら悪魔のデスマスクのようでした。
ラストの地階、アトリウムには数名の作家による等身大からやや大きめのサイズのオブジェが何点か並んでいます。如何せん天井高のあるスペースなので、上部が間延びしているように見えるのが残念でしたが、イ・ブルの「セイレーン」(2000)などはゾクゾクするような艶やかさを感じました。また鏡を用いて空間に変化を与えた演出も好印象でした。
一人重要な作家を忘れていました。会場でも人気を集めていたのは、マシュー・バーニーです。今回は映像の「クレマスター」(2002)の他、関連の彫刻などが展示されていましたが、ご多分に漏れず上映時間は長く、約180分あります。開始時間などの案内があればとは思いました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/7a/40ad7c202be608f885456e446f2329a7.jpg)
ガブリエラ・フリドリクスドッティ「バーセイションズ-四部作:北」2005
マシュー・バーニーはさておいても、映像の作品が結構あります。私もやや駆け足気味だったので出来れば再訪問しようとは思いますが、時間に余裕をもって出かけた方が良いかもしれません。
テーマも比較的明快で作品も楽しめるものが多くありました。おすすめできます。
「トランスフォーメーション/アクセス・パブリッシング」
来年1月30日まで開催されています。
「東京アートミーティング トランスフォーメーション」
2010/10/29-2011/1/30
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/d3/3948e879527fe43c5eea0be913374bbd.jpg)
東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」へ行って来ました。
タイトルの通り、人間やそうでないものの「変身」や「変容」を現代アートの立場から問う展覧会ですが、ともかく絵画に映像にインスタレーションと盛りだくさんです。出品アーティストも15ヶ国、計21組に及んでいました。
AES + F
マシュー・バーニー
サイモン・バーチ
フランチェスコ・クレメンテ
マーカス・コーツ
ヤン・ファーブル
ガブリエラ・フリドリクスドッティ
石川直樹
バールティ・ケール
イ・ブル
小谷元彦
及川潤耶
ジャガンナート・パンダ
パトリシア・ピッチニーニ
シャジア・シカンダー
スプツニ子!
ヤナ・スターバック
サラ・ジー
高木正勝
トゥンガ
アピチャッポン・ウィーラセタクン
なお各アーティストのプロフィールなどについては同館WEBサイトをご参照下さい。なかなか豪華なメンバーでした。
トランスフォーメーション アーティスト@東京都現代美術館
さて掴みが私としてはかなりツボです。展示冒頭で来場者を待ち構えるのは、ブリヂストンでの個展が圧巻だったパトリシア・ピッチニーニでした。彼女は遺伝子操作による生命倫理などに関心を寄せる作家ですが、今回も人間とカモノハシのハイブリッドという赤ん坊「新生児」(2010)を出品しています。一見グロテスクながらも、どこか愛くるしい表情をしたその姿からは、作家のあらゆる生命に対する温かな眼差しを感じました。
またもう一点、映像の「サンドマン」(2002)も興味深い作品です。海で溺れる少女にある変化が生まれます。ここはその変容をじっくりと追いかけました。
続く及川潤耶のサウンドインスタレーション、「transfomation」(2010)も魅力的な作品ではないでしょうか。暗室に設置された数台のスピーカーから鳴る音が、空間全体にバーチャルな情景を呼び覚まします。音の織り成す風に包まながら、鳥の合唱に耳を傾けました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/fe/4c45d0e6de4701952e44288da471eb0b.jpg)
ジャジア・シカンダー「無題」1998 *参考図版
森美術館で個展開催中の小谷元彦や、布やレースで神や動物を象るというジャガンナート・パンダを過ぎると、一際目立つのが壁一面に紙を垂らし、多様な紋様を交差させたシャジア・シカンダーでした。絵の具の滲みを活かした絵画は、あたかも水墨を思わせるものがあります。その軽妙なタッチには目を奪われました。
さてエスカレーターを降りて2フロア目、一階展示室では主に映像を使った作品が展開されています。ここで挙げるべきはやはり高木正勝です。
高木と言えばつい最近、山本現代で個展を開いたところですが、今回も鳥の視点に基づく鮮やかな絵画的世界が、迫力ある音楽とともにスリリングな展開で映し出されています。大空を羽ばたきながら色の渦に呑まれ、そして解体されては次々と生成していく異世界に酔いしれました。
サラ・ジーがやや意表を突いた展示で楽しめます。エルメスの個展では空間をダイナミックに用いていましたが今回は一転、狭い場所で息を潜めるような作品を展開していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/8a/a1be63c86e214abf1321ac37730c5cd5.jpg)
ヤン・ファーブル「第15章(ブロンズ)」2010
マイベストはお馴染みのヤン・ファーブルです。暗室に並ぶ動物と自身の顔を融合させた「第1-18章」(2010)には、思わず息をのんだ方も多いかもしれません。鹿や兎の耳を被った作家の像は鬼気迫るものがあり、その表情の凍りついた様子はさながら悪魔のデスマスクのようでした。
ラストの地階、アトリウムには数名の作家による等身大からやや大きめのサイズのオブジェが何点か並んでいます。如何せん天井高のあるスペースなので、上部が間延びしているように見えるのが残念でしたが、イ・ブルの「セイレーン」(2000)などはゾクゾクするような艶やかさを感じました。また鏡を用いて空間に変化を与えた演出も好印象でした。
一人重要な作家を忘れていました。会場でも人気を集めていたのは、マシュー・バーニーです。今回は映像の「クレマスター」(2002)の他、関連の彫刻などが展示されていましたが、ご多分に漏れず上映時間は長く、約180分あります。開始時間などの案内があればとは思いました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/7a/40ad7c202be608f885456e446f2329a7.jpg)
ガブリエラ・フリドリクスドッティ「バーセイションズ-四部作:北」2005
マシュー・バーニーはさておいても、映像の作品が結構あります。私もやや駆け足気味だったので出来れば再訪問しようとは思いますが、時間に余裕をもって出かけた方が良いかもしれません。
テーマも比較的明快で作品も楽しめるものが多くありました。おすすめできます。
![](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41vKiw9a1aL._SL160_.jpg)
来年1月30日まで開催されています。
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