◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

変な日本語、その15、「暮らせられないか」。

2007-07-05 09:47:17 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                  食って寝て毛づくろいして
 6月3日に「犯罪を犯す」のような重複表現について書きましたが、皆さんが「ん?」と引っ掛かりながら右から左へ受け流してしまう変な表現の一つとして、「可能の重複」があります。可能表現には、可能動詞の形にするというのと、「~することができる」という表現にするのと、二とおりありますね。このどちらかにすればいいのですが、両方やっちゃうという重複表現をときどき耳にするのです。「測れることが可能です」「それを若い人たちに教えられることはできるのですか」「幸せをつかめることができる」など、皆さんも聞いたことがおありでしょう?
 以前、ある企業のCMで、「作り出せていけるように」というセリフを毎日のように聞かされたことがあります。CMなら、制作の過程で複数の人間がチェックしているのではないでしょうか、だれも気づかなかったのでしょうか。「ん?」と思ったけれども、間違いだとはっきり認識できなかったのでしょうか。それとも、間違いだとは言い出せなくて放置したのでしょうか。正しくは「作り出していけるように」ですね。
 例文は、「何とか遊んで暮らせられないかと考えて」というものですが、「暮らす」の可能動詞は「暮らせる」で、これに、さらに可能の助動詞「れる・られる」をくっつけて「暮らせられる」だなんて、くどい! そんなことを考える前に日本語をもうちょっと勉強してほしい。もっとも、どこか遠い南の島で自然に任せてのんびり遊んで暮らすことを考えているのなら、言葉は要らない。
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変な日本語、その14、「雪が降り続ける中」。

2007-06-27 09:49:00 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                     ともに暮らす
 自動詞と他動詞って、どういうのだっけ、皆さん思い出せますか? 文法の本に書いてある定義はこうです。「動作・作用がほかに及ばず、主語自身の動きを表すものを自動詞といい、動作・作用が主語以外の対象に及ぶものを他動詞という」。また、日本語では、自動詞と他動詞を完ぺきに分けるのは難しいとも書いてあります。
 「晴れれば畑を耕し、降ればソファに座って本を読んで暮らした」、この中で、晴れる、降る、座るは自動詞、耕す、読む、暮らすは他動詞です。え、「暮らす」も他動詞? そうです、「その日を暮らす」だから他動詞なのです。でも、「頼まれて原稿を書いたり、農作業の手伝いをしたりして暮らしています」だったら、「暮らす」は自動詞です。
 どんなに美しい野山も、大勢の人がそこへ行き、そこで生活するようになると空気も水も土も徐々に汚れていく、「汚れる」は自動詞です。でも、実は、汚れるのではなく、そこに住み着いた人間が汚したのです。「汚す」は他動詞です。
 「昨夜からずっと雪が降り続ける中、除雪作業を」というのをおかしいと感じますか? 「昨夜からずっと雪が降り続く中、除雪作業を」と言うべきところを「降り続ける中」と言う人が増えています。「姿が見えなくなるまで手を振り続ける」の「振り続ける」は他動詞ですから「振り続ける」なのであって、雪は「降り続く」もの、自動詞です。人が降らせているわけではありませんよね(^^)/。
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変な日本語、その13、「煮詰まってるよ」。

2007-06-25 10:26:59 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                   正直、行き詰まってるよ
 テレビCMで聞こえてくるこのセリフ、「いやあ、正直、煮詰まってるよ」、これが間違いであることに気づいていますか。ここまで来るともうどうしようもない、そういう言葉がまた一つ、という感じですが、最後のあがきを聞いてください。会議などで、「この件は、もう少し煮詰めて、後日改めてご報告します」と言ったり聞いたりしたことはありませんか。お鍋の煮物、ことこと煮込むこと30分、「だいぶ煮詰まってきて、おいしそうですね」と言ったり聞いたりしたことはありませんか。「煮詰まる」って、悪い意味ですか?
 本来、「話が煮詰まる」というのは、議論を重ねて結論に近づくことを意味するのですが、どうにも結論が見えないという逆の意味、つまり、「行き詰まる」と同じイメージを持っている人が増えているようです。でも、実際の会話では、「もう少し煮詰めてから」「この線で煮詰めていって」「小委員会で煮詰めて報告します」「このまま弱火で30分ほど煮詰めていきます」など、「煮詰まる」ではなく、「煮詰める」と言うことのほうがずっと多いはずです。これは決して悪い意味ではありませんね。
 ものすごく不思議なのですが、「行き詰まる」と同じ意味のつもりで「煮詰まる」と言う人たちは、「煮詰める」については一体どういう意味だと思っているのでしょうか。「煮詰まる」は悪い意味、「煮詰める」はいい意味、って、そんなのあり? 一度聞いてみたいものです。
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変な日本語、その12、「~たり」。

2007-06-07 09:43:25 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                行ったり来たりしてにおいつけ
 並べて述べるときは「~たり~たり」、例として挙げるときは「~たり」なのですが、この区別をしない人たちが増えています。並列なのに「○○したり△△した人たち」というおかしな言い方がすっかりまん延し、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」とか、「病気になったりけがをしてしまったとき」とか、「迷子になったり逆走してしまう危険性がある」とか、「捨てたり売却する前に」とか、めちゃくちゃな言い方が毎日聞こえてきます。今、多くの人が基本を完全に忘れてしまっていますが、私はまだ忘れていないので、こういう言い方を聞くと脳みそがむずむずします。
 並列を示す接続助詞「たり」は、「行ったり来たりする」「売ったり買ったりする」「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものですから、「寝ている人を起こしたり邪魔したりしないように」が正しい言い方です。これ以外に考えられるのは、「寝ている人を起こしたりしないように」か、「寝ている人を起こしたりして邪魔することのないように」か、「~たり」は1回で、例を挙げる言い方になります。つまり、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」は、そのどちらでもない中途半端な言い方なのです。
 それでも、言いたいことは分かるからいいじゃないかって? 本当にそうですか、果たしてそれでいいのでしょうか。では、「糸が絡まったり、下糸の調節は要りません」はどうですか。毎週土曜日の朝、このセリフが聞こえてくるのですが、こうなるともう支離滅裂、とても日本人の日本語とは思えません。これは、「糸が絡まったりせず、下糸の調節も要りません」と言わなければならないところで、「~たり」のことを全く分かっていません。基本を無視していつもいいかげんな言い方をしているとこうなるよぉ~という実例です(´д`)。
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変な日本語、その11、「犯罪を犯す」。

2007-06-03 09:48:45 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                  排ガス
 毎日聞こえてくる「犯罪を犯す」や、「排気ガス」「いちばん最初」など、見ても聞いても明らかな重複なのに、聞き慣れてしまい、もう今更どうしようもないというところまで来ているような感じのする言葉がたくさんあります。でも、「犯罪を犯す」だけはちょっと違うので、『ちゃんとしゃべれ!』でも、「日本語としてちゃんと成立していない」という項目で取り上げ、ほかの言い方について考えてみています。
 どうしようもないといっても、みんながこれでいいと思っているわけではないようで、重複でおかしいと感じている人は、「犯罪を行う」「犯罪を起こす」など、何とか違う言い方をしようとしているのです。「罪を犯す」と素直に言えばいいのですが、「犯罪」があまりに多く使われ、つい「犯罪」と言ってしまいますから、なかなかすっきりした表現は聞かれません。アナウンサー以外で「罪を犯す」と言う人はたまにいて、いわゆる文化人や裁判で地道に闘っている一般の人の言葉だからということもあるでしょうが、非常に重みがあります。
 「犯罪」とは、法律に背く行いのこと、「犯す」は、規則や道徳に背いたことをする、という意味です。文字で見ても、「頭痛が痛い」と同じですね。「犯罪を行う」は、法律に背く行いを行う、これも「頭痛が痛い」のようです。「犯罪を起こす」は明らかな間違いです。「起こす」は発生させるという意味で、例えば、「犯罪を多く発生させる環境」というように、犯罪の温床といった話なら「発生させる」もなくはない・・・気持ちは分かるのですが、ある具体例について話しているのなら適切ではありません。「けんかを起こした人が捕まって」というのも聞いたことがありますが、正しくは、「けんかをした人が捕まって」もしくは「けんか騒ぎを起こした人が捕まって」です。
 では、「犯行を犯す」はどうでしょうか。これらはすべて実際に聞いた言い方ですよ、本当にいろいろありますね。「犯行」は「犯罪行為」を縮めた言葉ですから、「痴漢行為をする」のように「犯行をする」としか言いようがありません。どうですか、「犯罪を犯す」と言いたくないなら、やはり「罪を犯す」と言うしかないようなのですが・・・。
 さて、おまけです。「事件を犯す」、本当に聞いたことがあるんだってばーっ! しかも警察官! これは「事件を起こす」ですね。それでは、「失敗を犯す」はどうですか。「失敗」の意味は、やり方がまずくて思いどおりの結果にならないことであって、それは決して罪ではないのですから、「犯す」は言いすぎです。失敗にもいろいろあり、1度経験すればもうたくさんというものもありますが、何度経験してもいいものだってあるのですから、単に「失敗する」と言えばいいですよね。
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変な日本語、その10、変なアクセント。

2007-04-15 10:38:09 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                デーモン・・・
 このごろ、アクセントのおかしい人が急増していて、聞き取りにくさに拍車をかけています。でも、方言、いわゆるなまりのことを言っているのではありませんよ。標準語できちんと話している中で、ある単語だけアクセントがおかしい、しかも、同じアクセントの人がじわじわ増えている例もある、そういう妙な状況なのです。
 例えば、「入門」の「にゅー」と「もん」は同じ高さで発音するものですよね。ところが、NHK教育「○○入門」という番組では、「にゅー」が異常に高くて「もん」が下がる、つまり、「デーモン」のアクセントで「入門」と言う人が少なくとも3人います。なにもわざわざそんなことを調べるためにNHK教育を見ているわけではありませんよ、たまたま興味があって見たという範囲でさえこういう結果なのです。
 ほかにも、「質・量、ともに大変なもので」のはずなのに「質量ともに大変なもので」と聞こえるとか、「○○ファンド」と言うときのファンドと単に「ファンド」と言うときのファンドの区別ができていないとか、「選挙戦も佳境に入り」が「選挙戦も華僑に入り」と聞こえるとか、「前編は」なのに「全編は」、「核施設」なのに「各施設」、「ごみの減量」なのに「ごみの原料」、「船体」なのに「千体」、「縦軸」なのに「掛け軸」などなど、枚挙にいとまがありません。
 テレビに出て標準語であれこれしゃべる職業の人たち、アクセントぐらい正確にお願いします。そういう職業でなくても、しゃべる相手が親しい友人以外であれば、やはり注意しましょうね。え、私ですか、私のふだんしゃべっている言葉はいろいろミックスですが、入門とデーモンぐらいは区別できますよ。
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変な日本語、その9、「喧々諤々」。

2007-04-12 12:31:09 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                やかましいっ
 若いタレントが「一つ難しい言葉を覚えたんですよ」と言うので、ほおー、何だろうと思って聞いていたら「喧々諤々(けんけんがくがく)」などとぬかしおって、おっと失礼、言いました。(`з´) せっかく覚えるのなら正しい言葉を覚えてもらいたいものですが、なぜわざわざ変な言葉を覚えてくるのでしょうかね。自信を持って「喧々諤々というのは・・・」なんて彼女に教えた人がいたということでしょうか、それが間違いであるとも知らずに。
 これは非常に多くの人が間違えているのですが、正しくは「喧々囂々(けんけんごうごう)」です。大勢の人が勝手にそれぞれ意見を述べていてやかましいということで、政治家や評論家がワーワー言い合う某テレビ番組を想像すればいいでしょう。「けんけんごうごう」という音からもそういう場面が想像できます。「喧騒」、そうぞうしい様子、騒がしい様子、「喧伝」、やかましく言い伝えること、「囂々」、声や発言がやかましいほど高くなる様子、「非難囂々(ひなんごうごう)」というのもありますね。
 そして、こちらはあまり聞かない言葉ですが、「侃々諤々(かんかんがくがく)」、はっきり言う、正しいことを遠慮なく、権勢を恐れずに言うという意味で、ただやかましいのとは違います。「喧々諤々」は、「喧々囂々」と「侃々諤々」とが半分ずつミックスされたものなのです。意味の違う言葉なのに、響きやリズムが似ているせいでしょうか、いつの間にか交ざってしまったようで、大学の先生でも「喧々諤々」と言う人は多いので、若い人が間違いだと知らずに覚えてしまうのは無理ないことかもしれません。
 言葉から浮かぶ光景ということが共通理解には欠かせないと思うのですが、それがばらばらになるということは、見たことがないというのはもちろんですが、想像力が乏しいということもあるのかな? ひょっとして、「喧々諤々」はだれかがわざと作ったとか・・・?
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変な日本語、その8、「全然いいです」。

2007-04-05 10:59:43 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
               ノアの次男なのかぁ
 日常会話で若い人が「全然いい~」と言っているのを私はやや不快に感じます。でも、そんなに困りません。講演で中年以上の人が「全然いいです」などと言うのは腹が立ちます。そして、入力の手が止まり、削ろうかどうしようかしばらく考えます。否定ではない「全然」という言い方が出てきて、「全然ない」と言うと思ったら「全然ある」と言うのですから、話の流れが乱れてとても困ります。明治・大正時代は肯定でも「全然」と言っていたことは承知していますが、もうほとんどの人が昭和生まれであり、今は平成、すっかり否定でのみ使うようになっていたのに、なぜ今更また混乱させるのでしょうか。
 それに、これは自然に変化してきたというより、あまりにも急速で、一部の人たちの意図が裏にあるような感じがしてしょうがないのですが、気のせいでしょうか。あるいは、過去にも、例えば小説とか新聞とか、何かのきっかけでわっと広がって変化してしまったということはあったのでしょうけれども、今ほど急速ではないと思います。急速にすっかり変わってしまえばそれに従えばいい、かえっていいじゃないかという考え方もありますが、スピードだけではなく、なにしろ数が多いので大変です。私は変な日本語アレルギーだとしつこく何度も書いていますが、アレルゲンが日々増えていくのですからね。
 改まった雰囲気の講演で「全然いいです」などと言うのはやはり印象がよろしくないのでやめていただきたい。そんな変な言葉遣いは、親しい仲間が集まってわいわいおしゃべりといった場面だけにしてほしいと思います。ちなみに、いわゆる芸能人が、「全然」に限らず変な言葉を乱発するのは、逆ギレでもないのに「逆ギレ」という言葉を使いたいから言うというように、ただ単に流行の(流行させたい)キーワードを盛り込みたいだけなので、それはそれ、しょうがないですよ。でも、一般の人まで、言葉の意味を考えもせずに同じことをやっていていいのでしょうか。そうして言葉がどんどん乱れていっても、変化であると認めなければならないのでしょうか。私は認めたくありません。
 だって、ものすごく分かりづらいのですよ、こっちへ流れると思ったらあっちへ流れる、こういう意味だと思ったらああいう意味、言いたいことを理解するのに一苦労、多様性を通り越してばらばら、豊かさを通り越して支離滅裂、もしかして現代のバベル? 注)映画の「バベル」とは関係ありませんよ。
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変な日本語、その7、「いいことづくし」。

2007-03-09 11:35:20 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                 野菜は国産
 「おいしくてヘルシー、いいことづくしですねー」をおかしいと思いますか。正しくは「いいことずくめ」です。「規則ずくめの生活だ」「けっこうずくめですねぇ」というように、「○○ずくめ」で、○○ばかりになること。「づくし(尽くし)」は、「サザエにアワビ、ホタテにカキ、貝づくしの料理だ」というように、同類のものをあるだけみんな並べること。きちんと区別しましょうね。
 そもそも、これがどうしてヘルシーなのか分からないというようなものまで、何でもかんでもヘルシーと言いさえすればいいと思っているようなコメントがどうも気に入らないのですが、ヘルシーというのは一体どういう意味なのでしょうか。この場面では、カロリーも高そうで、栄養たっぷりのとってもおいしそうな具だくさんスープに春雨が入っていて、私はよだれを垂らしながら見ていたのですが、どうやらこの春雨ゆえに「ヘルシー」が出てきたようなのです。
 さらに、具の一つに白菜があったのですが、若い人が言うと「は・くっ・さい」と聞こえるのも気になります。「白米(はくまい)」や「菊の花(きくのはな)」の「く」が前に出すぎる、「く」がいちばん大きく聞こえて耳障りなのです。すんなり「白菜」と聞こえるように発音できない若い人が多すぎます。ただでさえ今年は暖冬で白菜がつらい状況になっているのに「は・くっ・さい」ですから・・・、「は・くっ・さい」って何やねん!?
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変な日本語、その6、「影響力を与える」。

2007-02-23 12:19:05 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                   ねお?
 このカテゴリーの記事は、電子書籍「ちゃんとしゃべれ! あなたの日本語 ここが変だから直してください」からほんの少し抜粋して関連したことを書いているのですが、今日はこれです。昨日、午後4時からのテレビ番組で、大物アナウンサー2世が「○○に影響力を与えている」と言ったのですが、これが、どうやら「○○に影響を及ぼしている」という意味で言ったようなのです。
 影響力を与えるのと影響を及ぼすのとではまるで意味が違いますね。「影響」は、他に変化を引き起こす力が及ぶこと、または、その結果、「影響力」は、他に変化を起こさせる力、ですから、○○に変化が起きた、影響があったということを「○○に影響力を与えている」と言うのは明らかな間違いです。間違いなのですが、やはりときどき耳にします。
 ところで、楽しみですねー、「サラリーマンNEO」がシーズン2として4月からまた始まるようです。NHK総合、毎週火曜日、夜11時から。これを見て大口開けて笑い、「顔の筋トレ」をしましょう、あはははは。
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変な日本語、その5、「役立つ」「役立てる」。

2007-02-22 12:50:43 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                 立てるよ
 「私の知識や経験がお役に立てると思います」をおかしいと思いますか。「私の知識や経験がお役に立つと思います」が正しいのですが、もう少し謙虚さが欲しいなら、「私の知識や経験を役に立てることができると思います」あるいは「私の知識や経験がお役に立つのではないかと思います」と言えばいいでしょう。
 では、「○○に募金を役立たせていただきます」はどうですか。「○○に募金を役立てさせていただきます」が正解なのですが、これをちゃんと言える人はあまりいません。「役立つ」は自動詞、「役立てる」が他動詞、「募金を役立てる」わけで、「役立てる」の使役表現は「役立てさせる」です。これを覚えていれば、いつかきっとお役に立つと思います。
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変な日本語、その4、「~ずに」。

2007-02-19 15:31:55 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                回し車なのに~
 「お役に立てずに申し訳ない」をおかしいと思いますか。例えば、「種類を区別せずに使う」「手紙を読まずに捨てた」、これは、「○○すべきなのに○○しないで△△する」といった意味、つまり、手紙を読まねばならなかったのに読まないで捨ててしまったということです。
 このごろ、「探したけれど見付からずにがっかりした」というパターンをよく耳にしますが、正しくは、「探したけれど見付からず、がっかりした」です。日常の話し言葉では「探したんだけど見付からなくてがっかりした」となるわけで、「見付からないで」ではありません。「風車がうまく回らずに電力を得られない」は、正しくは「風車がうまく回らず、電力を得られない」です。「注意力が足りずにミスを連発」も、「注意力が足りず、ミスを連発」です。
 「お役に立てずに申し訳ない」を話し言葉にすると「お役に立てないで申し訳ない」となりますが、明らかにおかしいですね、こういう言い方はしません。「お役に立てなくて申し訳ない」と言いますよね。よって、「お役に立てず、申し訳ない」が正しい表現です。ちょっと意識してみてください。
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変な日本語、その3、聞き手に甘えている。

2007-02-07 12:57:11 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
 「Aさんを来ていただいて」、これをおかしいと感じますか? 感じなかったら、あなたの日本語は相当大変なことになっていますよ。「Aさんをお招きして」と言うつもりだったのに、「お招きして」に抵抗を感じたのか、何か都合の悪いことを思い出したのか、急きょ「来ていただいて」に変えたようなのですが、すでに「Aさんを」と言ってしまったのだから「お招きして」と言えばいいのです。なぜ無理やり「来ていただいて」に変えるのでしょうか。とにかく何でもかんでも「いただいて」で、それならそれで「Aさんに」とすぐ言い直せばいいのですが、それもしません。
 助詞が間違っていても意味は通じるだろうという「聞き手に対する甘え」があります。今、多くの人は徹底して聞き手に甘える話し方をしています。聞こえるだろう、分かってくれるだろう、知っているだろう、これは甘えです。そして、日本人の言葉の丁寧さというのは、実に中途半端です。「大勢の人が来ていただいて」とは一体何なのでしょうか。来てくれたことを喜んでいるのなら、「大勢の人が来てくださって」が本来の言い方です。「来ていただいて」なら、「大勢の人に」です。必死で呼びかけて集まってもらったのなら、助詞は「に」です。
 私の場合、ストレスがたまっていても、かわいいハムスターが癒やしてくれます。ストレスがたまっているのにハムスターがちっとも顔を出さなかったら、ハムスターには悪いけれど、ハウスの屋根をどけて爆睡中のハムスターをつかみ出し、おなかに鼻を押し当て、半眠りのハムスターに癒やしてもらいます。ハムやん、ごめんな、我慢できんかったんや。
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変な日本語、その2、助詞がおかしい。

2007-01-27 10:41:48 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                 まいうー!
 今の日本人の話し方は、助詞をはっきり言わない、正しい助詞を使っていない、誤った助詞を言ってしまっても言い直さない、というように、完全に聞き手に甘えていて、それが話の流れを予測しにくくしています。日常会話ならそれでもいいですが、講演やプレゼンでこれは許されません。しかし、ふだん助詞に気をつけていないので、きちんと言わなければいけない場面でも言えないということになります。
 例えば、テープ起こしをしていて、「検討していくことを明確に位置づけられました」と聞こえ、「位置づけられました」が敬語だとすると「検討していくことを」もありえるので、とりあえずそのままにしておいて話を最後まで聞き、やはり「を」ではなく、「検討していくことが」だと分かり、そこへ戻って「を」を「が」に修正する、こんなことはしょっちゅうです。たかが助詞、されど助詞、正しくなければやはり困るのです。
 では、今日のお気に入りワード。料理を試食している人に感想を尋ねたら、いい大人が「普通においしい」と答えました。すると、司会者が少し慌てて「え? 普通ですか?」、これはちょっと笑えましたね、お気に入りワードです。若い人が「普通にうまいっす」と言ったのならそのまま聞き流されるのでしょうが、40歳を過ぎた人が言えば突っ込まれるのだな~と、妙に納得した面白いシーンでした。
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外国映画の日本語字幕について。

2007-01-20 11:28:56 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
 先月25日にでじたる書房から電子書籍を出し、同時にそこのライターズブログを書き始めたのですが、写真を載せたのは31日からで、スタートしたときは写真なしでした。写真を掲載できることに気づかなかったからです。「msnとYahooは写真も掲載できる」と書いたのはそういうわけで、掲載できることを知っていたら、「msnとYahooは」とは書きません。
 先日、あるテレビ番組に、外国映画の字幕でとても有名な人が出演して翻訳裏話を披露していらっしゃったのですが、各シーンぶつ切りで、必ずしも上映される順に来るわけではないということでした。そういうこともあるのかぁと思い、「ちゃんとしゃべれ!」の中で「彼女が中にいます」と「彼女は中にいます」の違いについて書いたことを思い出しました。
 「外に女性が倒れていて、彼女を助けに来たヒーローは敵と戦いながらその場から徐々に離れていく。その間に仲間が女性を中に連れて入り、介抱する。ヒーローが、ようやく敵を倒し、女性の倒れていた場所に戻ってくる。そこへ先ほどの仲間が駆け寄り、ヒーローに声をかける、『彼女が中にいます』・・・これはおかしい。『彼女は中にいます』でなければならない」。
 こう書いたのですが、ピンと来ましたか? 敵を倒したヒーローが戻ってきたところのフィルムが先に翻訳者の元に届き、ヒーローが、実は、その場にさっきまでいたのだけれども、敵と戦うために離れたのだということを知らなかったのかもしれないわけで、知らずに翻訳すれば「彼女が」で、「彼女は」とすることはできないでしょう。ふぅーむ。

 ばんざーい、年末にジョージアのキャンペーンがあり、私のラッキーナンバーで応募したら当たりました。懸賞に応募すること自体が随分久しぶりですが、当たるというのがすごい! 年賀状を早く出して郵便局からお肉をもらって以来だから、7~8年ぶりではないでしょうか。「治納由気」効果かなー。「ちゃんとしゃべれ! あなたの日本語 ここが変だから直してください」を出すに当たり、よい画数のペンネームを持とうと思い、画数を先に決めて漢字を選択したのですが、思わぬところで効果が出た!?
 それにしてもすごいですねぇ、本当に小さなテレビですよ。そして、うちはまだ地デジ対応ではないので、テレビより少し遅れるというところがまた面白いですねぇ。地デジも、地域によって受信するタイミングにずれがあり、そのせいで時報が放送できなくなったという話を聞きましたが、まさにそれを見たわけで、アナログがデジタルになっていろいろ便利になる反面、できなくなることもあるのだなぁと実感しました。
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