◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「しきりに聴いているのは」って?

2019-03-24 09:43:34 | 言葉についてあれこれ
                                  じっくり味わう

 何で見たのか忘れたのですが、「ヘッドホンをつけてしきりに聴いているのはクラシック音楽」という文が目に入り、次に目に入ってきたのは、椅子に座り、目を閉じ、ヘッドホンでクラシック音楽を聴くことに集中している人で、何か変だなぁと思いました。「しきりに」は、切れ目なしに、熱心に、何度も繰り返し、という意味で、「しきりに鏡を見る」「しきりに購入を勧める」「しきりに電話が鳴る」というふうに使いますから、クラシック音楽のように長い曲は「じっくり聴いている」でしょ!
 ドラマの宣伝で「破天荒な注文をたくさん投げ掛ける」と言った岩田剛典。それは「無茶な注文」「想定外の注文」「面倒な注文」だったのですが、「型破り」とか「思い切った」とか、明るめのイメージで言いたかったのだろうと思います。それでも「破天荒な注文」とは言いません。言葉の意味を知っているのか、知らないのか・・・、使うべき言葉をちゃんと選んで使えるのでしょうか?
 テレビで紹介された一般の人のメールに「それがこまめに起こる」という文があって、何が起こるのかというと子どもが夜中に起きて泣くということで、それは「こまめに」なんて言いませんね、「頻繁に」です。この人が育児をすごく楽しんでいて、夜泣きをも楽しんでいるというなら・・・、いや、ない、ない!
 「私もあまり得意な義理母ではありませんでしたが」も一般の人が書いたものですが、ちょっとねぇ ┐( ̄д ̄)г。義理のお母さんが苦手だったようで、あまり好きじゃないという意味で「○○は得意じゃない」と言う人はいますが、「義理のお母さん」ですよ、やはり「私も義理の母がちょっと苦手でしたが」でしょ! 「得意じゃない」なら、せめて「私もあまり義理の母が得意ではありませんでしたが」と書けないかな?
 「突然、人々がこぞって一方向に走りだします」は「Nスタ ニューズアイ」で聞いたナレーションで、トルコの空港で起きたテロに関するニュースでした。「こぞって」は、残らず、みんな、という意味ですが、人々が全て“参加する”様子を言うわけで、身に迫る危険から慌てて逃げ出すことを「こぞって」なんて言いません。これは「一斉に」「我先に」でしょ! 報道番組でこんなお粗末なナレーションを聞くとは ┐( ̄д ̄)г。
 「○さんは我先に母親を引き取ることに決めたのですが」(2018/11/21 9:00配信 現代ビジネス)は、これだけを読むと、母親を引き取ると莫大な財産が付いてくるから、○さんは“我先に”引き取ろうとした、なぁんて想像してしまいますが、そうではなく、また、引き取ろうとしている人がほかにいたわけでもないのです。単純に「○さんはすぐに母親を引き取ることに決めたのですが」と書けばいい話でした。
 「数々と打ち出していったリーダーがいました」は「先人たちの底力 知恵泉 島津斉彬」で聞いたナレーションで、ナレーターは新井秀和アナです。NHKは本当に言葉を大切にしていませんね、アナウンサーなのに「数々と」だなんて( ̄д ̄)! 「数々の○○を打ち出していった」ならいいのですが、この場合は「次々に打ち出していった」でしょ! あるいは、単に数が多いという意味なら「数多く」とでも言えば?
 「世界ふしぎ発見!」(2018年11月24日放送)で、ミステリーハンターの依吹怜が「チーズがぎっしり並べられている」と言ったので画面を見ると、ナチュラルチーズ専門店のショーケースにいろいろなチーズが“おしゃれ”に“ゆったり”並べられていて、それは「ぎっしり」で想像した量の3割ほどでしたから、なぜ「ぎっしり」と言ったのか、不思議 <( ̄д ̄)>。
コメント
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