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秋あがりがうまくなって来ると行きたくなる店がある。市ヶ谷駅から靖国神社方向に歩くこと5分少し道から外れるので驚くほど静かな店である。店の名前は『あて』。酒のつまみの意味だが、まさにいい酒といいつまみの店である。初めてこの店に来てからもう5年近くなる。
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今日は6時半の予約だったが、運良くカウンターの右端。半ビールで乾杯後、お勧めの三品のうち、『牛スジの煮込み』『鰯の梅煮』を選択、さらに『刺し盛り(小盛り)』『鯵のなめろう』も注文。
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まず、お通しの平政の握り1貫と魚の佃煮が登場。空きっ腹にうまい。すぐ、日本酒を注文。まずは『秋鹿 ~霙もよう(みぞれもよう)』(大阪府)、濁り酒ながらスッキリしてうまい。
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なめろうはありがちな水っぽさがなく、味噌とよく絡み、ゴマの味がアクセントとなっている。刺し盛りはマグロの赤身が旨味があってよい。
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次にスジ煮込み登場。色の割りにはうす味で豆腐もうまく、汁まですっかり平らげる。鰯の梅煮は小生、梅干しは苦手ながら、この店の鰯は大好物、骨も標本のようにきれいに外れる。ここで秋茄子の胡麻和えを注文、あっさりの中にコクがある。
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酒は三千盛(岐阜県) 、写楽(福島県)とどんどん進む。次は飲んだことのない獅子の里(石川県)を注文、これが中々味わい深く好みのタイプ。ラベルの裏には『獅子』ならぬ『カメレオン』がかかれている面白い一升瓶。
つまみは豆腐の味噌漬、わさびコロッケ、蕎麦の実入り味噌焼き。特に蕎麦の実入り味噌焼きはプチプチした食感に加え、トマトと西京味噌の不思議なバランスがいい。最後に鯖の燻製と『満点星 諏訪泉』(鳥取県)で終了。まあ、よく食いよく飲んだ。
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ちなみにこの店は夢屋という会社が経営するチェーン店だが、全くそれを感じさせない独自性を持った店。スタッフのサービスもいい。昭和34年築の2階戸建住宅が店で、ビルの多く並ぶ中にあり、昔のお勝手で飲んでいるような、妙な安心感のある、あまり人に教えたくない店。ただ、難点はあまり冷房は期待できないところ。そのため、今が旬の店なのである。銅のちろりもあり、燗ももちろんいい。
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『あて』
千代田区九段南4ー8ー34
☎︎0332620044