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鉄道シリーズ その113。文化勲章作家の阿川弘之氏が94歳で亡くなった。氏は『米内光政』『雲の墓標』などの著作で知られ、吉行淳之介、遠藤周作、安岡章太郎氏らとともに第三の新人と呼ばれ、文壇に新しい風を吹き込んだことで有名である。
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しかし、そうした作品では無く、小生が阿川弘之氏を知った氏が文を書いた『きかんしゃやえもん』(岩波書店1959年)という童話があったからで、小学校入学前から好きだった。実は阿川弘之氏は大変な鉄道マニアであり、内容にもその片鱗があり、また、これがきっかけで小生が鉄道好きになったといっても過言ではない。
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話は『やえもん』という明治生まれの蒸気機関車が主人公でずっと働いてきたのに後輩の電気機関車やレールバス(いちろう、はなこという名前)に汚いとか黒い石炭を食べているとか言って馬鹿にされ、怒って煙突から火の粉を撒き散らし、田んぼを火事にする。
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これに『やえもん』は反省するが、周囲の人はスクラップにすることにする。しかし、鉄道博物館の人が珍しく古くから働いた機関車はスクラップにしないで博物館に展示することで余生を送るという中々考えさせられる内容である。
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もちろん、国鉄150型とも国鉄400型とも言われている機関車も好きであったが、当時新たに作られたレールバスに興味を持ったことをよく憶えている。
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皮肉なことに国鉄で閑散線用に作られたレールバスは通勤時には乗り切れず、トイレもないなど問題が多く、蒸気機関車より短命だったのではあるが。(1954年に登場したが、量産されず1960年代には姿を消した。)
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最近は機関車トーマスを見ると小生は『機関車やえもん』で育ったんだと今でも思い出す。因みに共通点は機関車の前に顔があることだが。長く愛読してきた本の作者である阿川弘之氏の冥福を祈りたい。