吉祥寺のカレーの名店という場合に外してはいけない店がいくつかあるが、その一つが今回お邪魔した『武蔵野文庫』という喫茶店である。実は昨年にNHKのサラメシという番組で斎藤晴彦氏がお気に入りであった店と紹介されている。
少し横道にそれるが、斎藤晴彦氏は数年前から何回も吉祥寺でお見かけした。『吉祥寺砂場(移転前)』『ル・ボン・ビボン』『ピッコロモンド(ペスケリアの時代)』、お話をした訳ではないがいつも1人楽しそうに食事をされていたのが急逝されてしまった。
その斎藤晴彦氏が好きだったと聞いて店を探すと東急百貨店の2本裏の通りに発見、静かなお店でご主人が九州のご出身なのか、器は小石原焼を使っている。
店に入ると『お好きなお席にどうぞ』と言われて奥から2番目のボックスに座る。メニューをもらうが、オーダーはカレーセット(1200円)をお願いする。
するとお冷、水の入ったポット、おしぼり。さらに薬味が3種入った小さな皿、ラッキョ・生姜は普通だが、高菜が入っているのはやはり九州の匂いがする。
そしてすぐにサラダが登場。千切りキャベツの上にプチトマト、ゴマドレッシングがかかっている。食べ進めると千切りキャベツの下から玉ねぎやレタスが現れ、中々凝っている。
7、8分後にカレーライス、大きめの小石原焼に乗せられている。名物のゴロッとしたジャガイモと大きな皮つき鶏肉。まずはルーを一口、まずは旨さ、しかし、辛さもじきにやってきて、合わせてスパイスが複雑に混じり合いながら主張する。ジャガイモも鶏肉も大きいのでスプーンで割りながら食べるが、柔らかいのですぐにほぐれたり割れたりする。肉とライス、そしてルー、次はジャガイモとライス。
よく見ると一切れだけ人参。量もかなり多く、その上辛味がだんだん強くなり、ポットでお冷がくる理由が分かる。しかし、食べ終わるまでは水を飲まない主義の私は黙々と食べ続ける。この風味は紅花で食べたスリランカ風カレーに少し似ている。
辛いのをこらえながらも旨さを噛み締めて食べ終わる。そして少し苦目のコーヒー、名物らしい焼きリンゴまでは手が回らなかったのが残念。それにしても美味しかった、御馳走様。
茶房 武蔵野文庫
武蔵野市吉祥寺本町2ー13ー4
0422229107