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『メトロに乗って』その110、不忍池を回っていると不忍通りの先に煉瓦塀が見えてきた。池からはわずかな距離であるため、歩いて行くと煉瓦塀に沿ってゆるい坂道となっている。
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これをしばらく上ると坂の標識があり、『無縁坂』とある。無縁坂は坂の上に無縁寺という寺があったために付いた名前だが、その後に森鴎外の小説『雁(がん)』の主人公岡田青年が散歩したことから有名となった。さだまさしの歌の『無縁坂』もこの坂を歌ったものである。
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この煉瓦塀は旧岩崎邸のものであり、そちらに回る。100mほど行くと入口があるが、そこからまた150mほどゆるい坂道を登ってようやく洋館の前に出る。日がだんだんきつくなり、汗が滴る。
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この邸は現在は都営の公園となっていて建物も重要文化財となっているが、岩崎弥太郎から数えて3代目の岩崎久弥がイギリス人の建築家コンドルに明治29年に建てさせたもの。洋館の部分と和館の部分に分かれていて、和館はその一部のみが残されている。
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現在、外壁工事中のため、半分しか見えないが左右非対称のイギリス・ジャコビアン様式を基調にバルコニーなどはコロニアル様式も用いた建築であり、中を見ることができる。中に入ると階段や柱、壁紙など重厚かつ華麗な姿に驚かされる。
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特に木材を多用して作られたため、石で作られた海外の建物とは違う柔らかみがある。しかし、木製の建物を100年以上維持する難しさも感じる。
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2階を巡り、渡り廊下で和館に入るが、急な変化に驚く。大広間しか残されていないが、橋本雅邦が描いた富士の壁紙を見る。また、襖の戸や金具にも岩崎家の文様が使われていてその徹底ぶりにも関心した。
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庭は大きな灯篭がある以外は芝生だけで、先日、大河ドラマで見た『いだてん』の中で三島家が開いたガーデンパーティの会場のような場所だったのかなあと想像された。また、スイス風の山小屋のような造りの撞球場が作られていて本館から地下道で繋がっているらしい。
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これだけのものが全て残されていることだけで感銘を受けることができた。外装工事が終わった姿を是非見たい建物である。
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