政治家は選挙が全てではないはずだ。気になるのは大阪維新の会をめぐる各政党の動きである。勝つためには手段を選ばないようで、民主党やみんなの党はさておいて、自民党までもが媚びているのは情けない。戦後レジームを打破するためにも、これまで私は「石原慎太郎が仲立ちとなって、自民党が大阪維新の会と手を結ぶべきだ」と主張してきた。しかし、あまりにも大阪維新の会の方向性が見えず、橋下徹の言動にも信頼性がおけない。自民党が無理して組んだとしても、振り回されるだけなのが目に見えている。議会制民主主義では、多数決で全てが決まる。私たちが行使する一票などはたかが知れている。ただ、それはあくまでも西洋流の民主主義だ。これに対して、東洋には孟子の政治思想というものがある。葦津珍彦は「一票を投ずる民主的多数決の政治を、第一原理として行くことに行きつまりを感ずる者は、もっとほかに考えてみるべきだろう。私は、ここで東洋の政治思想家として、西洋にもひろく知られる孟子について考えたい」(『近代民主主義の週末』)として、あの有名な「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば、千万人と雖(いえど)も吾往かん」との言葉を引いたのだった。今の自民党がなすべきは、選挙や政局に左右されるのではなく、「その千万人の心中ふかくには、必ずや天意を正しいとしてみとめる潜在意識が存するにちがいない」(『同』)と葦津が述べていたように、日本国民を信じて堂々と政策を訴えることなのである。
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