八十路徒然なるままに

春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず、春はやがて夏の気をもよほしーーー。徒然草より

九十六歳のばあちゃんの感謝

2010年05月08日 13時28分32秒 | Weblog
左手足にマヒが残り、ベットで暮らしているばあちゃんが、時々口にする。介護でヘルパーさんが、看護師さんが、お風呂サービスさんが、お医者さんが帰る時、頭をもたげて礼を言っている。遠い遠くの昔の、子どものころを、思い出しているのか。「めんごい、めんごいって育てられたんだぁ」とか。ばあちゃんは五人兄姉の末っ子。「待ってろよぉ、待ってろよぉっていっても、ずんずんずんって行ってしまったんだぁ」って云う。二人の兄も、二人の姉も、もう遠うの昔に死んでしまっているのはわかっている。「淋しいぃんだぁ」って、右手のパジャマの袖で、涙を拭いている。夢の中でのことか、「みいぃぃちやぁぁ-ん」って、呼ばれたんだが、「誰だかわかんねぇがった、あんちやゃ-んだったと思うよぉ。追っかけたんだがぁ、わがぁんねぇがった」っと。淋しげに話す。ちょっと介助して「またねぇ」って言うと「ありがとありがとありがと」って、「どういたしまして」って言って、その場を離れる。身につまされるおもいがする。

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