12時近くなって友達はやって来た、かれは水産関係者
お土産は獲れたてのノドグロ(アカムツ)
魚から離れて1年8ケ月、現役の時は自らセリに参加して、毎日魚市場直送の魚を見てきた
今は魚が食べたくなるとスーパーで買うしかない
魚の鮮度の目利きは50年以上やって来たから確かだが、パックに入っていては手に取ることもできず時に見誤ることも。
それに魚市場で跳ねている魚を見ているから、器用貧乏みたいなもので、もうスーパーの魚で満足できない口になっている。
そんな時、この超新鮮な、しかも高級魚ノドグロだ、感激した。
高すぎて地元の一般客はもちろん、料理店でもなかなか使えないノドグロは、漁獲量の95%は、この町からセリと同時に都市部の魚市場へ出ていく。
地元の魚だから地元消費という時代は、数十年前に終わっている、特に高級魚は。
彼は1時間くらいあれこれ世間話をして帰っていった
それから私はノドグロの下ごしらえにかかった
A級品は氷の中に置いておけば良いが、B級品は時間との戦いだ
鱗をひき、頭を切り、腹を開ける、幸いにノドグロは海藻食なのか胃袋は無いに等しく内臓は小さくてきれいだ。
B級品はセリにかからない規格外品だから、調理もたいへん、鮮度は抜群だが時間がかかる。
内臓を処理したら、今度は三枚おろし、ごみ処理も大変だし、調理後の保存方法にも時間がかかる
なんやかんや3時間立ちっぱなしで調理した、その後も、骨でスープを作り
卵は酒と塩とだし汁で酒の肴用に作った。
他にも小バイ3ケ、サバ一匹、小さなカレイ2枚、バイとカレイは煮物
サバは大きいので塩サバに作った。
これでようやく終わったら5時だった、それから夕食の準備
今日は私が、ノドグロだけの超贅沢丼を作る。
それとノドグロの塩焼き、ノドグロ吸い物、ノドグロの卵煮とノドグロ尽くし
2年間、新鮮魚に飢えていた魂を思い切り開放する今夜。
ノドグロの刺身は皮をひいても良いが、それでは旨さの50%が減少する。
ノドグロの旨さは皮にある、正確に言えば皮と身の間の皮下脂肪が旨いのだ
皮下脂肪は私にもあるが、邪魔なだけで旨くもなんともないだろう。
これを引き出すには、バーナーで皮をあぶり焼きにする、焼き物ではないから皮が少し焦げて、脂が表面に出てきて薄黄色の油膜が現れたらOKである
氷水に離して、冷めたらすぐにタオルなどで水気を取る、それから刺身などに切るのである。
ところがバーナーが無い、それでチャッカマンでやって見たが火力と温度が違いすぎて何の役にも立たないのであきらめた。
しかたなくフライパンに皮目を下にして素焼きしたら、まずまずの成果があった。
酢飯を茶碗2.5杯分、その上にノドグロ1.5匹分を並べた超贅沢すぎる丼
金沢の近江町で食べたら、最低でも5000円は請求されそうなノドグロあぶり丼(正確にはフライパン焼き丼)
今年中の贅沢を、この一食で使い果たした気分
持つべきものは友達だ、2年間一度もあったことが無かったが、暑中見舞い一枚で思い出してくれて、今日があった。
人との付き合いは、その場限りでなく、真心でつき合っていれば、こんなこともあるのだと思った。
スープ 上品で濃厚 昆布、塩、しょうゆ(甘口の越中醤油)だけで味付け
魚卵の酒塩煮
一尾350gの獲れたてノドグロ
しかし2年ぶりの4時間にわたる立ち仕事、包丁仕事
まだまだやれる。