今回見たのはNHK土曜ドラマの「ひきこもり先生シーズン2」。昨年夏に放映された全5回シリーズ一作目の続編。一作目の再放送を見て、今回シーズン2が放送されるということで楽しみにしていたが、2回シリーズの全編は見たものの、後編はクリスマスイブの12月24日放映。除雪の疲れと酒を飲み過ぎて放送開始の午後10時にはダウン。「NHKプラス」で見ることになる。
佐藤二朗の役柄は、11年間ひきこもりの経験があることを買われて、ある中学校の非常勤講師となった焼き鳥屋の店主。問題を抱え普通クラスで学習できない生徒を指導する「ステップルーム」という特別教室で、学校や親、子どもたちを相手に奮闘する教師役を演じる。
といっても、単なる学園ドラマではない。自分自身も対人恐怖症を抱えていることもあって、思ったことが口に出すことができず、正に悪戦苦闘の連続。ところが、その役が妙に彼の顔つきや話し方にピッタリ合ったドラマになっている。
最近いくつかのドラマにも出演していて、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では比企能員(ひき・よしかず)役の印象に残る。数々の野望を抱き陰謀や暗殺計画を企てる役柄もはまり役で、バラエティー番組出演時のギャップにも注目していたところ、今回ひきこもり先生を見ることになった。(「比企能員」と「ひきこもり先生」の「ひき」つながりか?やるな、NHK!)
ご本人には申し訳ないが、決して演技派という訳ではない。ただ、ぶっきらぼうな口調や視線をそらして難しそうな顔をするところ、唾を飛び散らしそうな力の入った激しいセリフのシーンなど、実際はそんな人はなかなかいないだろうが、いて欲しい、いてもおかしくない存在感を発揮している。
単なる学園ドラマではないというのも「ひきこもり」や「いじめ」など学校や子どもが抱える問題だけでなく、「ヤングケアラー」、「コロナ感染症」による「リストラ」、「ホームレス」などからくる「貧困」など、現在社会が抱える問題と強く向き合った内容になっている。そう社会派ドラマでもある。
脇を固める俳優もいい味を出している。鈴木保奈美、佐久間由衣、高橋克典、室井滋など、佐藤二朗演じる上嶋陽平をそれぞれの立場と思いで支える役柄にも好感が持てる。涙と感動なくしては見れない。ぜひ続編?続々編を望みたい。
しかし、佐藤二朗は調べてみるとまた魅力的です。信州大学卒業後、テレビ局入社を目指して就職活動をするも失敗の連続。それで就職した先がかのリクルートなのだが、入社式に違和感を覚え一日で退社。俳優養成所も入団試験に落ち、別の劇団に入団するも1年で退団。その後、広告代理店の営業で過酷な労働のなか営業トップの成績もやっぱり俳優がやりたいと、ようやく30代で役をもらったとか。
半ば「ひきこもり先生」は、佐藤自身の人生経験が糧になっている?それでも様々な役柄を演じていることも分かるし、映画監督、脚本家、吹き替え(声優)やナレーション、バラエティ番組やラジオDJ、執筆活動などなど、活動の幅は広い広い!ひきこもり先生とともに、ご本人の今後の活動にも注目していきたい。(写真は、NHKプラス(オンデマンド放送)から借用。)