縁側に
ドンペリをまく
シングルは
口惜しく早
桜の季節
（折句「江戸仕草」短歌）
「何かうれしげね」
「そうかな」
「何を企んでいるんだか」
「マスクをつけてヨーロッパに行こうと思って」
「ちゃんと申請したの？」
「えっ？」
チャカチャンチャンチャン♪
「くださいと言わないと届かないのよ」
「そうなの」
「欲しい人は欲しいと声を上げる。いらないなら黙っておけばいい」
「知らなかった」
「もう、当たり前のことを言わせないで！」
チャカチャンチャンチャン♪
「急ぐなら小さなブティックか気の利いた商店街をあたるといいわ」
「高いんじゃない」
「時価よ」
「申請ならどこでするの？」
「区役所に決まってるでしょ」
「コンビニは？」
「コンビニは忙しいのよ」
チャカチャンチャンチャン♪
「オンラインでできないの？」
「無理ね」
「えーっ、今時？」
「できないのはあなたよ！」
「えーっ？」
「Wi-Fiはあるの？」
「なくなった」
「ほらごらん」
チャカチャンチャンチャン♪
「やっぱり商店街に行くよ」
「早くみつかるといいわね」
「うん。商店街にありそうな気がする」
チャカチャンチャンチャン♪
「あとヨーロッパは駄目よ」
「僕パスポート持ってないんだ」
「ね」
「どうしようかな」
「まずはその辺の公園からよ」
「では商店街に行ってきます！」
