無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

北の桜守

2018-03-11 | 2018日本語映画評


「北の桜守」 滝田洋二郎監督 ◯ ☆☆

 吉永小百合出演作120本目、「北の零年」「北のカナリアたち」に続く北の三部作の締めの作品です。樺太からの引揚者の辛苦と親子の愛情を描きました。
 1945年、樺太ではソ連が攻撃を開始し、多くの日本人が命からがら北海道へ向かいました。てつ(吉永小百合)は出征した夫(阿部寛)を残し息子二人を連れ、なんとか引揚船に乗ることができましたが・・・。
 70年代になり次男修二郎(堺雅人)はアメリカから帰国し札幌で日本初の24時間営業の店をオープンします。多忙を極めていましたが網走市役所から母親の件で連絡が入ります。15年ぶりに故郷に戻ると相変わらずの小屋住まいで少し老けたてつが彼を迎えました。そして、息子と母親の久しぶりの時間が流れるのですが、アメリカ育ちの妻(篠原涼子)は戸惑いを隠せないのでした。
 映画の中に舞台劇を取り入れた斬新な演出が大変効果的です。舞台経験がないという吉永でしたがケラリーノ・サンドロヴィッチの世界に溶け込んでいました。(☆)
 テーマの社会性、歴史性、親子や男女の人情など、さまざまな要素が取り入れられているだけでなく、「桜」を効果的に使い、美しく描きました。脇役の一人ひとりがそれぞれ名演技を見せています。その上、小椋佳の音楽が叙情感たっぷりに盛り上げました。サユリストだけでなく多くの人に観てほしい名作です。(☆)
 タバコは、手にする場面はありましたが、口にするまでは行かず、無煙でした。俳優の健康被害はありませんでした。
「たばこ」の看板が出ましたが、この時代の作品を無煙で演出した監督の力量に敬意を表しおまけの(◯)です。

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