
「マザー」 PG12 大森立嗣(おおもりたつし)監督 ☓☓
実際に起きた17歳の少年による祖父母殺害事件から着想を得て制作されました。
シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は、仕事もろくにしないでパチンコに溺れ、借金の積み重ねで実家の家族からも見放されていました。行きずりの男を部屋に連れ込むだけでなく子供をほったらかしで男と泊まり遊んだりするのでした。息子の周平はそんな母親の無理難題に従って学校にも行かずガスも電気も切られた部屋で待っていました。二人目の子供が生まれ、いよいよホームレス状態になったときやっと救いの手が差し伸べられるのですが・・・。
実際に似たような母親が起こす事件はメディアを賑わし、また、最近起きた某俳優の自殺の影にも母親の姿がちらつき(週刊誌報道ですが)、ある意味ではよくある話なのかもしれません。ただ、常に母親だけがメディアの糾弾を受けますが、父親はお咎めなし、というのもおかしな話です。
長澤、阿部サダヲ、秋子の手玉に取られる男たち、そして新人の周平役奥平大兼(おくだいら だいけん)が好演しました。特に周平が箸や鉛筆をきちんと持てない、という細やかな演出が大変効果的でした。
タバコは、母親が度々喫煙しました。(☓)子役の前でも喫煙し映画出演による健康被害が心配です。(☓)演出上必要だったのかもしれませんが、実際に吸わずそれらしく伝わる演出も工夫してほしいものです。電気ガスが止まっても、タバコは買うという依存性の恐ろしさは伝わっています。
依存症といえば、パチンコの依存性についてもかなり警鐘を鳴らしている作品です。