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「海難1890」 田中光敏監督 日本トルコ合作 ◯
日本トルコ友好125年記念映画です。
1890年、オスマン帝国の軍艦「エルトゥールル号」が和歌山県串本町沖で座礁転覆し600名を超える乗組員が台風の海に投げ出されました。大島に流れ着いた乗組員を地元の住民が暗闇の中ひとりでも多く助けようと奮闘し、69名が助かりました。そして95年後イラン・イラク戦争中にテヘランに取り残されそうになった日本人をトルコの救援機が助けてくれたという「真心」の応酬という史実に基づいた美しいお話です。
漁業で暮らす大島の村民の健康をひとりの献身的な医師(内野聖陽)が守っていました。許嫁を海で亡くして以来話せなくなってしまったハル(忽那汐里)が看護師として助けていました。そんな折、台風が荒れる中爆音が続きその後たくさんの乗組員が打ち上げられてきたのです。「遭難者を救助するのは海に生きる者の掟」と村民たちと医師が夜を徹して救助します。見返りを求めない「真心」の対応はその後もトルコ社会で語り継がれ親日的な国民性の基礎のひとつともなりました。そして95年後、イランイラク戦争で置き去りにされた日本人をトルコの救援機が救出したのです。
大島とトルコ、遊郭で遊ぶ華やかな場面と沈没しかけた軍艦で懸命に働く兵隊たちの対象的な場面の展開が巧みで、「美談」は別にして、一つの作品として面白く出来ています。
「積極的平和主義」という言葉で軍隊を派遣するよりは、「真心の外交」の方がずっと「実質的平和」に繋がるようです。
タバコは、なし。無煙です。