女子はマイルに出場を止めて個人の200mに集中させる事にしました。4継で2走を走った選手、200mで中国大会に行けるかどうかのギリギリの所にいました。100mでは全く力を出せませんでした。簡単に気持ちを切り替える事ができなかったのだと思います。100mで決勝進出の可能性は十分あったのですがやはり失敗の後に自分の競技に集中する事はできなかったのだと思います。
予選終了後にキャプテンに話をして気持ちを切り替えるように伝えていました。かなり辛い事だと思っていますが、この1年間キャプテンとしてチームを引っ張ってきた存在が気丈に振る舞う事が出来れば周りの者は奮起するはずです。話をしてから表情をみて安心していました。この子に任せておけばここからの小さいエースへの対応とフォローは大丈夫だと。私は主任という事もあり部署を簡単に離れる事はできませんでしたからキャプテンに任せました。
宿舎に帰りキャプテンと小さなエースの二人を呼んで話をしました。小さなエースには中国大会に進んでもらいたい。力的には十分進める。しかし、今回のバトンの事を考え続けていたら絶対に無理です。考えてどうにかなる事であればひたすら考えれば良い。しかし、考えてももう二度とバトンをつなぐ事はできないのです。厳しいようですが現実を受け入れなければ行けません。
小さなエースにできる事は何か?まずは自分の種目に集中することです。そこで自分の力が出せないまま終わってしまったら1走を走ったキャプテンの「想い」はどこにもつないでいけません。いつも一緒にいた二人です。気持ちを共有する部分はかなりあったと思います。キャプテンの気持ちを感じてもらいたい。キャプテンの「想い」を中国につなぐことが出来るのは他の誰でもない小さなエースだけです。
これで小さなエースが力を出しきれなかったらキャプテンは間違いなく自分を責めます。4継がうまく行っていたらと考えるに違いありません。更に2走を走った小さなエースはもっと背負いこむでしょう。そうなると誰も救われなくなります。小さなエースがキャプテンの想いを背負って中国大会を決める事で今回の県総体が「次へとつながる大会」となると感じていました。だからこそきちんと力を出し切ってもらいたいと考えていました。
その事を二人には話しました。だからどんなことがあっても周りを気にしないで自分の事だけに集中をする。ここができるかどうかで200mの走りが決まってくるのです。どうにもならない過去を気にしないで前だけを見て走る。その事が今後の競技人生を大きく変えていく事になると思っていました。今回の失敗を飛躍のきっかけにしなければキャプテンやこれまでの卒業生の想いはつないでいく事ができなくなるからです。ここからのフォローはキャプテンに任せました。信頼をしていますから。
これまで何度か同一種目で中国に進んだ事があります。400m、800m、400mHです。しかし、短い距離、更にハイレベルな種目で複数が中国に進む事はありませんでした。簡単な事ではない。分かっています。大きなエースは100mで優勝をしています。力を出し切れば25秒2では走れるだろうと考えていました。小さなエースはこの大会前までのベストが26秒53。かなりギリギリのラインです。数年前なら問題なく中国に進めていた記録ですがここ最近は26秒前半が必要になっています。何とかそこまで持って行くことができるか?あとは本人の集中と想いの強さにかかってくると思っていました。間違いなく中国に行けるとは言い切れない記録です。自己ベストの更新が最低限の条件となります。
予選、大きなエースはこちらが求めていた通り26秒1で走りました。本当は予選から25秒台で走っておきたかったのですが少し抑えて26秒1を設定していました。小さなエースは力が上の選手と同じ組でしたからまずは着順でラウンドに進まなければいけません。ここに関しては問題はないと思っていました。予選は追風参考でしたが26秒6とほぼベスト記録と同じ。かなり走れていました。
準決勝、私は役員として200mのスタート地点にいました。まだレースが始まっていないので仕事はありません。気になるので様子を見ていましたが良く集中できていたと思います。途中他校の選手が騒がしいと感じたので小さなエースの所に行って「他の事は気にしないで自分の事だけに集中するように」とだけ指示をしました。周りの雰囲気に流されてしまったら集中が保てません。本当に大切な時間です。自分の集中力を切らさないように他の人を気にかけたしまったらダメなのです。
大きなエースは25秒83でトップ通過。チカラ的には抜けています。しかし、本当であればここを25秒5前後で通過できたらと考えていました。少しの向かい風があったとはいえもう少し力を出しておかなければいけなかったと思います。力的にはかなり上のはず。体力の温存というつもりは一切ありませんでした。もったいない展開ですね。
小さなエース、スタートからかなり良い動きをしていました。予選で負けた選手にずっと付いて行く事ができました。直線に入った時には少し前にいます。最後に抜き返されましたが記録はなんと26秒30。大幅ベストでした。見ていて鳥肌が立つ走りでした。かなり良い状態で着順で決勝に進みました。
決勝前は私はあえて声をかけませんでした。最後は選手の気持ちの強さだと思っていたからです。そして任せていたキャプテンがきちんと対応をしてくれると信じていたからです。通常であれば私が動きます。しかし、今回はキャプテンの想いをつなぐことができるかどうかの大きな場面です。信じたいと思いました。
決勝。その舞台に2人が残っています。大きなエースは100mとの二冠、小さなエースは個人で高校初の中国大会がかかっています。この緊張感というのは言葉では言い表し難いものがあります。それでも必ずやってくれると信じていました。
レースは大きなエースがカーブで遅れました。正確にいうとそれほど遅れてはいないのですがこの子がずっと目標にしていた県トップ選手に少し先行されました。普通考えたらここで前に出ておかなければいけない。最後の50mで差がありましたがそこからジワジワ追いついていったのですが間に合いませんでした。記録は25秒53の自己ベストでしたが悔しい2位。本人は悔し涙を流していました。12秒30で走っていますし、私は200mの方が全国で戦える可能性があると考えていましたから本人もこの敗北は悔しかったと思います。すごく大切な経験だと思います。確実に中国大会では本当の力を出してくれるはずです。悔しさは大きな力となります。24秒台を目指してもらいたいですね。
小さなエース9レーンでしたが最初からかなりのスピードで走っていました。最後の50mで6位圏内に入っていました。そこから更に一人抜き去り前を追います。一気に追いついて5位になりました。これは本当に感動しました。なんと記録は25秒95、今シーズンの最大目標にしていた25秒台に2年生で入りました。恐るべき集中力です。
少し話が前後しますが、ogawa先生がスタート前に小さなエースの表情を見たとき「これは中国大会に進むな」と感じたそうです。それほど良い表情していたのだと思います。あとで本人に聞くと「周りは一切見えなかった」とのこと。素晴らしい集中です。
フィニッシュ地点でキャプテンがこの二人を待ってくれていました。涙を流しながら喜んでいる姿を見て私はすごく嬉しかった。想いは形になったのです。中国まで行く事ができなかった悔しさ。力を出し切る前に終わってしまった4継の想いを全ての力を出し切ってつないでくれた小さなエースの200m。言葉にはできません。4継で中国に進んでいたら絶対にこの走りはなかったと思います。中国に進めるという安心感から本来の力を出しきれない部分があったと思います。そういう性格の子ですから。しかし、キャプテンの想いを引き継ぐのは自分しかいないという想いが本当の力を引き出しました。自分の力を出し切ってくれたのです。
大きなエースも同様。100mで走れた事は間違いなく4継の失敗からです。そこに少し安心していた部分もあるでしょう。決勝で負けたことはこの子の将来にとって本当に大きいと思います。次は同じ失敗はしないはずですから。これからチームを引っ張っていく2年生二人が覚醒しつつあると感じました。
これはキャプテンの想いであり、4継を走ることができなかった3年生の想いだと思います。それが二年生に大きな力を与えてくれた。人生を左右するかもしれない大きな衝撃を4継で受けたからこそ、自分たちの眠っている力を引き出せたのだと思います。3年生の存在はやはり大きかったと思います。特にキャプテンのサポートがあったからこそこの二人は力を出せたのだと思っています。自分の苦しさを押し殺して下級生を生かす事に専念してくれたキャプテンや3年生の存在があったからこそここまできたのだと思います。
長くなりました。高校生の力というのは時として信じられないくらいのものが引き出されるのだと改めて感じました。
また書きます。
予選終了後にキャプテンに話をして気持ちを切り替えるように伝えていました。かなり辛い事だと思っていますが、この1年間キャプテンとしてチームを引っ張ってきた存在が気丈に振る舞う事が出来れば周りの者は奮起するはずです。話をしてから表情をみて安心していました。この子に任せておけばここからの小さいエースへの対応とフォローは大丈夫だと。私は主任という事もあり部署を簡単に離れる事はできませんでしたからキャプテンに任せました。
宿舎に帰りキャプテンと小さなエースの二人を呼んで話をしました。小さなエースには中国大会に進んでもらいたい。力的には十分進める。しかし、今回のバトンの事を考え続けていたら絶対に無理です。考えてどうにかなる事であればひたすら考えれば良い。しかし、考えてももう二度とバトンをつなぐ事はできないのです。厳しいようですが現実を受け入れなければ行けません。
小さなエースにできる事は何か?まずは自分の種目に集中することです。そこで自分の力が出せないまま終わってしまったら1走を走ったキャプテンの「想い」はどこにもつないでいけません。いつも一緒にいた二人です。気持ちを共有する部分はかなりあったと思います。キャプテンの気持ちを感じてもらいたい。キャプテンの「想い」を中国につなぐことが出来るのは他の誰でもない小さなエースだけです。
これで小さなエースが力を出しきれなかったらキャプテンは間違いなく自分を責めます。4継がうまく行っていたらと考えるに違いありません。更に2走を走った小さなエースはもっと背負いこむでしょう。そうなると誰も救われなくなります。小さなエースがキャプテンの想いを背負って中国大会を決める事で今回の県総体が「次へとつながる大会」となると感じていました。だからこそきちんと力を出し切ってもらいたいと考えていました。
その事を二人には話しました。だからどんなことがあっても周りを気にしないで自分の事だけに集中をする。ここができるかどうかで200mの走りが決まってくるのです。どうにもならない過去を気にしないで前だけを見て走る。その事が今後の競技人生を大きく変えていく事になると思っていました。今回の失敗を飛躍のきっかけにしなければキャプテンやこれまでの卒業生の想いはつないでいく事ができなくなるからです。ここからのフォローはキャプテンに任せました。信頼をしていますから。
これまで何度か同一種目で中国に進んだ事があります。400m、800m、400mHです。しかし、短い距離、更にハイレベルな種目で複数が中国に進む事はありませんでした。簡単な事ではない。分かっています。大きなエースは100mで優勝をしています。力を出し切れば25秒2では走れるだろうと考えていました。小さなエースはこの大会前までのベストが26秒53。かなりギリギリのラインです。数年前なら問題なく中国に進めていた記録ですがここ最近は26秒前半が必要になっています。何とかそこまで持って行くことができるか?あとは本人の集中と想いの強さにかかってくると思っていました。間違いなく中国に行けるとは言い切れない記録です。自己ベストの更新が最低限の条件となります。
予選、大きなエースはこちらが求めていた通り26秒1で走りました。本当は予選から25秒台で走っておきたかったのですが少し抑えて26秒1を設定していました。小さなエースは力が上の選手と同じ組でしたからまずは着順でラウンドに進まなければいけません。ここに関しては問題はないと思っていました。予選は追風参考でしたが26秒6とほぼベスト記録と同じ。かなり走れていました。
準決勝、私は役員として200mのスタート地点にいました。まだレースが始まっていないので仕事はありません。気になるので様子を見ていましたが良く集中できていたと思います。途中他校の選手が騒がしいと感じたので小さなエースの所に行って「他の事は気にしないで自分の事だけに集中するように」とだけ指示をしました。周りの雰囲気に流されてしまったら集中が保てません。本当に大切な時間です。自分の集中力を切らさないように他の人を気にかけたしまったらダメなのです。
大きなエースは25秒83でトップ通過。チカラ的には抜けています。しかし、本当であればここを25秒5前後で通過できたらと考えていました。少しの向かい風があったとはいえもう少し力を出しておかなければいけなかったと思います。力的にはかなり上のはず。体力の温存というつもりは一切ありませんでした。もったいない展開ですね。
小さなエース、スタートからかなり良い動きをしていました。予選で負けた選手にずっと付いて行く事ができました。直線に入った時には少し前にいます。最後に抜き返されましたが記録はなんと26秒30。大幅ベストでした。見ていて鳥肌が立つ走りでした。かなり良い状態で着順で決勝に進みました。
決勝前は私はあえて声をかけませんでした。最後は選手の気持ちの強さだと思っていたからです。そして任せていたキャプテンがきちんと対応をしてくれると信じていたからです。通常であれば私が動きます。しかし、今回はキャプテンの想いをつなぐことができるかどうかの大きな場面です。信じたいと思いました。
決勝。その舞台に2人が残っています。大きなエースは100mとの二冠、小さなエースは個人で高校初の中国大会がかかっています。この緊張感というのは言葉では言い表し難いものがあります。それでも必ずやってくれると信じていました。
レースは大きなエースがカーブで遅れました。正確にいうとそれほど遅れてはいないのですがこの子がずっと目標にしていた県トップ選手に少し先行されました。普通考えたらここで前に出ておかなければいけない。最後の50mで差がありましたがそこからジワジワ追いついていったのですが間に合いませんでした。記録は25秒53の自己ベストでしたが悔しい2位。本人は悔し涙を流していました。12秒30で走っていますし、私は200mの方が全国で戦える可能性があると考えていましたから本人もこの敗北は悔しかったと思います。すごく大切な経験だと思います。確実に中国大会では本当の力を出してくれるはずです。悔しさは大きな力となります。24秒台を目指してもらいたいですね。
小さなエース9レーンでしたが最初からかなりのスピードで走っていました。最後の50mで6位圏内に入っていました。そこから更に一人抜き去り前を追います。一気に追いついて5位になりました。これは本当に感動しました。なんと記録は25秒95、今シーズンの最大目標にしていた25秒台に2年生で入りました。恐るべき集中力です。
少し話が前後しますが、ogawa先生がスタート前に小さなエースの表情を見たとき「これは中国大会に進むな」と感じたそうです。それほど良い表情していたのだと思います。あとで本人に聞くと「周りは一切見えなかった」とのこと。素晴らしい集中です。
フィニッシュ地点でキャプテンがこの二人を待ってくれていました。涙を流しながら喜んでいる姿を見て私はすごく嬉しかった。想いは形になったのです。中国まで行く事ができなかった悔しさ。力を出し切る前に終わってしまった4継の想いを全ての力を出し切ってつないでくれた小さなエースの200m。言葉にはできません。4継で中国に進んでいたら絶対にこの走りはなかったと思います。中国に進めるという安心感から本来の力を出しきれない部分があったと思います。そういう性格の子ですから。しかし、キャプテンの想いを引き継ぐのは自分しかいないという想いが本当の力を引き出しました。自分の力を出し切ってくれたのです。
大きなエースも同様。100mで走れた事は間違いなく4継の失敗からです。そこに少し安心していた部分もあるでしょう。決勝で負けたことはこの子の将来にとって本当に大きいと思います。次は同じ失敗はしないはずですから。これからチームを引っ張っていく2年生二人が覚醒しつつあると感じました。
これはキャプテンの想いであり、4継を走ることができなかった3年生の想いだと思います。それが二年生に大きな力を与えてくれた。人生を左右するかもしれない大きな衝撃を4継で受けたからこそ、自分たちの眠っている力を引き出せたのだと思います。3年生の存在はやはり大きかったと思います。特にキャプテンのサポートがあったからこそこの二人は力を出せたのだと思っています。自分の苦しさを押し殺して下級生を生かす事に専念してくれたキャプテンや3年生の存在があったからこそここまできたのだと思います。
長くなりました。高校生の力というのは時として信じられないくらいのものが引き出されるのだと改めて感じました。
また書きます。