みなさん、こんにちは。23期 柴田 純一です。
連休中も歴史的な円安がメディアを賑わしていました。
なんだかんだ言って円安は日本経済にはプラスに働く、日経平均も4万円超えている。海外旅行は行きづらくなったが、株や外貨預金の評価額が上がってニンマリ。と、あまり深刻に捉えていない人もいるかもしれません。
しかし、そろそろ楽観視できないレベルになっていると思います。
日本経済は以前とは構造が変化しています。
国内で作った最終製品を海外に売って稼ぐ国ではなく、お金を海外に投資して稼ぐ国になっています。
海外投資で収益を上げている会社は、円安で外貨建ての収益・資産の評価額が高まり、連結ベースでは好業績になります。
決して企業の「稼ぐ力」が上がっているわけではありません。
そんなに悲観的にならなくても大丈夫。長期的には、為替相場も「神の見えざる手」で修正されるはず。
これも注意が必要です。
円安で輸入品の価格が高くなれば、輸入が減り、国産品の需要が増える。
完全競争状態の財であれば、この調整は働きますが、日本が輸入に依存しているエネルギー・食糧等の輸入は減らすことができません。
円安で輸出が伸びる。これも一筋縄ではいきません。
日本からの完成品の輸出は、以前は自動車以外にも白物家電等があり、割合が高かったですが、現在はほぼ自動車のみの一本足打法。現在は海外工場で使用する部品類の構成比が増えています。
円安でコストが高くなれば、現地工場側での内製化圧力が高まり、輸出が減る方向に働くこともあります。
たとえ国産品の需要が高まったとしても、簡単に生産を増やせない事情もあります。
既に海外に生産拠点をシフトしてしまった日本の製造業も多いです。また、人手不足などの足かせもあります。
極端な円安は、報道で言われている通り、中小企業と一般家庭への負担が大きいです。
エネルギーコスト、物価高の影響によるコスト増のスピードに、値上げ・賃上げによる収入増が追い付かず、苦しい状況におかれています。
日本商工会議所が昨年11月中旬に中小企業に行ったアンケート調査によれば、「円安基調が業績に与える影響」について、「メリットが大きい」は3.3%にとどまり、「デメリットが大きい」が47.8%と約5割に迫っています。
また、東京商工リサーチの調査では、円安倒産(負債額1000万円超)は2022年7月から22ヶ月連続で発生しており、2023年度の円安倒産の発生件数は57件と、前年比1.5倍に増えています。
机上で考えれば、円安は観光・インバウンド需要の拡大、国産品回帰などのチャンスもありますが、実際にこのメリットを享受来ている企業は僅かです。
我々中小企業診断士に求められているものは大きいですね。
以上
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