こんにちは。19期の遠藤孔仁です。
先日、診断士の勉強会にて商店街について学ぶ機会があり、その後の懇親会で東京・経堂にある「居酒屋楽」を訪れました。この「居酒屋楽」は、現在の居酒屋文化を築いた宇野隆史氏が創業した店舗で、以前は経堂駅前で屋台を営んでいたそうです。
居酒屋といえば、養老乃瀧や村さ来を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、そのような居酒屋文化を築いた代表的な存在として、「鮒忠」や「つぼ八」があります。
1946年に創業された「鮒忠」は、日本に焼き鳥文化を定着させた先駆者として知られています。創業者の根本忠雄は、「鰻屋として培った技術を活かし、庶民にも手頃な価格で美味しい焼き鳥を提供する」ことを信念としました。こだわりは、品質の高い鶏肉の仕入れと、職人技を活かした焼き方にありました。その結果、戦後の復興期において、庶民が手軽に楽しめる焼き鳥文化を築き上げ、現在の居酒屋メニューにも大きな影響を与えています。
1973年には、横山清が8坪の店舗で「つぼ八」を創業し、チェーン居酒屋の先駆けとなりました。「安くても質の高い料理とサービスを提供する」ことを哲学とし、統一されたメニューと均一価格を導入。さらに、どの店舗でも同じクオリティの料理と接客を提供できるようにマニュアル化を徹底しました。これにより、居酒屋が単なる個人経営の飲み屋ではなく、全国展開できるビジネスモデルへと進化しました。
また、「居酒屋楽」の名物である炙りしめ鯖は、この店が最初に提供した料理の一つだそうです。目の前でバーナーでしめ鯖を炙り、炙り終えた直後にレモンを絞るという演出が、お店と客が一体となる体験を生み出し、居酒屋の魅力をさらに引き立てています。
このような体験をすると、日本の居酒屋文化は単なる飲食の場ではなく、食事、交流、くつろぎの場であることを改めて実感します。
参加した勉強会では、商売の基本として「フィロソフィーを持つこと」「商品に対する深い理解とストーリーを持つこと」「売る人の愛情と理解」「お客様への約束」が大切だと学びました。それらの姿勢は昭和の居酒屋文化を築いた名経営者たちの考えに通じており、時代が変わっても変わらず、人々の心をつかみ続けているのだと体感することができました。