今晩は、才村です。
最近のゲーム業界の話題といえば、連日新聞で報道されているソーシャルゲームのコンプガチャ問題です。最近聞きに行ったコンサルティング会社の「可視化経営」セミナーでも、コンサルタントである社長が「息子がゲームにはまりこんでいる。私も研究のために遊んでみると、最初はやらされ感があっても、だんだんとのめり込んだ。ゲームで遊ぶのではなく、やるなと言われてもやるゲーム感覚を仕事に活かす」と言っていました。確かに、自社の商品であるバランススコアカードを組み込んだ「可視化経営システム」を取り上げても、聞いている人は、「宣伝か」と思うだけなので、旬の話題を自分の体験に結びつける話題提供の仕方が上手でした。コンサルタントの話らしく、「今回のゲーム業界のコンプガチャ問題に対する意志決定は早かった」と感心していました。
今まで、業界最大手のD社やG社は売上高を急成長させてきました。D社はプロ野球球団を買収するくらいですからキャッシュがたくさんありそうです。そこで、両社の有価証券報告書を参照し、最近数年のCFを調べ、比較してみました。単位:十億円、四捨五入。
D社(連結決算) 営業CF 投資CF 財務CF 現金残高 フリーCF CFマージン
(08年3月期) 9 -3 -0.4 22 7 31%
(09年3月期) 9 -4 -4 23 6 25%
(10年3月期) 14 -3 1 33 11 28%
(11年3月期) 48 -19 -1 63 29 43%
(12年3月期) 33 -19 -18 57 14 23%
G社 営業CF 投資CF 財務CF 現金残高 フリーCF CFマージン
(08年6月期単体) 1 -0.1 0 1 1 14%
(09年6月期単体) 6 -0.1 4 11 6 14%
(10年6月期単体) 12 -11 0 11 1 33%
(11年6月期連結) 16 -3 -1 22 12 24%
(12年6月期連結 16 -5 -2 32 12 23%
1Q~2Q)
⇒G社は営業CFの伸びが驚異的です。G社は途中から連結決算に変更していますが、08年6月期の11億円が、11年7月~12月だけで163億円と約30倍です。D社は昨年度、税引前純利益は16%増えているものの、法人税等の支払い336億円により、営業CFが落ち込みました。
D社はプロ野球球団を総額95億円で買収したので、12年3月期の投資CFが急伸したと推測したのですが、190億円と前期とほぼ同額でした。ただし、現金残高は51億円減少しています。なぜ、D社はプロ野球球団を買収したのでしょうか? 会長が横浜Bのファンというわけではなく、中年層の会員獲得です。中年のビジネスパーソンが帰宅の電車の中でゲームを楽しめば、わざわざパチンコ店に立ち寄らず、パチンコ業界がますます苦しくなるかもしれません。
G社は、T社長が04年に設立したSNS運営会社ですが、今年3月に世界中の会員数が2.3億人、うち日本人は約13%ともう日本企業とはいえないくらいです。それにしても、日本人の会員数が3000万人、4人に1人と、どこにそんな人がいるのかと調べると、息子・娘世代の20代、30代で6割を占めていました。
株価を見ると、両社とも今年に入って投資家が規制による業績悪化を恐れて評価を反転させていて、さすがに投資家は機を見るに敏な人たちです。
D社 09年3月約1000円、11年8月 約4300円、本日5月29日1747円(ピークの4割)
G社 09年3月約 400円、11年11月約2800円、本日5月29日1317円(ピークの5割弱)