稼プロ!事務局の佐々木(晋)です。こんにちは。ついに私が勤める会社でも、生成AIの活用が拡大してきました。メディアでもAI関連のニュースがない日はありませんね。新しいAI活用が紹介されると、「AIによってなくなる仕事」が話題になります。当初は人ごとのように感じていましたが、活用の拡大を目の当たりにすると現実感が強まってきました。自分の仕事でAIに取られない分野はなんであろうか?
そのうちの一つと願望している分野が“交渉”です。私はB2Bのアライアンスに従事していますので、パートナー企業と様々な交渉を行っています。その自分の仕事を見つめ直すべく、「本物の交渉術」(ロジャー・ドーソン著 KADOKAWA)という本を読んでみました。著者のロジャー・ドーソン氏は、米国で約40年間に渡って活躍している交渉術のプロ講師です。
私が本書でポイントだと感じた点は以下の3点です。
①パワーネゴシエーターの定義は、自分も相手も「勝利した」と思って交渉を終えること
②相手に「勝った」と思わせるサービスが本物の交渉術
③交渉術を適切に実践するためには、相手をよく理解することが不可欠
ビジネスを長く継続するためには、取引先と良い関係性を持続することが重要。そのため取引先と行う交渉は、相互利益を生むことが必要。相手をよく理解することで、互いに譲歩できるところを見出すことができ、双方が利益を獲得可能。これらが上記ポイントの理由です。 でも、交渉を行う双方が「勝った」と思うことなどできるのでしょうか?どちらか一方が利益を得るということは、もう一方が損をしているはずです。
ドーソン氏は、「交渉の当事者が求めている利益は必ずしも一致しないので、それぞれが相手の求めているものを譲りあえば、互いに“勝った”と思うことができる」と述べています。双方の取りたいところと譲れるところを明らかにするためには、相手をよく理解することが欠かせません。お互いを理解して交換できるカードをたくさん作ることで、交渉を進めやすくすることができます。本書ではこのような交渉を可能にする以下のような対応を学ぶことができます。
- 最初のオファーに飛ぶつかない
- 期待以上のものを求める
- 相手の提案にひるむ
- 対決を避ける
- 消極的な買い手、消極的な売り手を演じる
- バイスキャンビットを使う
- 高次権威やグッドガイ・バッドガイを使う
- 差額の折半を自分から提案しない
- 袋小路の問題を脇に置く
- 常にトレードオフを求める
- 譲歩の度合いを徐々に先細りする
- 相手が受け入れ容易なポジショニング
私はパートナー企業と交渉を行うなかで、「常にWin-Winになる点を追求しろ」と教えられてきました。そのためには相手先の担当者と良い関係性を築き、協力して合意案を作り上げていく必要があります。当然妥協して譲歩することもあり、社内の関係部門から批判されることも少なくありません。昔の上司からは、「外交は、内部を調整することが一番大変」と言われたことがありました。社内のステークホルダーを納得させるために、「勝った」と感じさせるストーリーを作ることが交渉の要諦だと感じています。そういった経験から本書に書かれている「相互利益を生み出す交渉」という点にはとても共感し、自分がこれまでやってきたことについて自信を持つことができました。
交渉は私のような仕事をしていなくても、誰でも関わることがあると思います。車や不動産を買う時、関係部門と協業する時、子供の要求を聞く時。本書の交渉術はそういった場でも活用できますので、ぜひ読んでみてください!