こんにちは。塾長の鴨志田栄子です。
17期生最後のブログ投稿をご指名いただきました。有難うございます。卒塾される17期生に、以下のメッセージをお贈りいたします。
独立2年目のことでした。初めてベトナムでセミナー講師として仕事をする機会を頂きました。
テーマは「マーケティング」。行ったことが無い国です。産業も文化も、まったくイメージできません。現地のオープンセミナー、すなわち、ベトナムの企業の方々が受講生です。現地の方々とコミュニケーションがとれるのだろうか???
仕事を依頼者してくださった方とは、日本で1度だけ、お目にかかったことがある、大先輩の診断士の方でした。
現地とのコミュニケーションは、e-mailのみ。ここで、コミュニケーションギャップが生じました。書き手の意図と、受け手の解釈がかみ合わないのです。そもそも、その方とは、名刺交換をしただけで、それ以上のコミュニケーションをとったことがありません。どのような方なのかもわからずに仕事を受けてしまったのです。その結果、当初なかった指示が次々と届きました。私は、精神的に追い詰められました。普通に飲んでいたお酒が飲めなくなりました。缶ビールを開けても、一口飲んだら、ギブアップ……という状況まで、プレッシャーがかかっていたのです。今思うと、その方も、私がどのような人なのか分かっていなかったので、私同様、大丈夫だろうかという不安の日々だったのだと思います。(誤解を招かないように補足しますが、依頼してくださった方には、とても感謝しています。今では、当時の自分の至らなさを痛感・反省しています。)
毎日、PCを開けて、今日は、どんなe-mailが届いているのだろうかという不安とストレスの日々。ついに私は、初代塾長に、相談をしました。
・この仕事は、もう断りたい、賠償金を請求されたら払ってもよい覚悟ができている
・その理由は、最初にいただいた仕事の内容と、話しが違う、次々と新しい要求が届く
その時に初代塾長からいただいた言葉は、今の私の仕事に対する原点となっています。
「鴨志田さん、自分が言っていることがたとえ正しくても、一度受けた仕事を最後まで全うしない人の言葉に、耳を傾ける人はいないよ。言いたいことがあるなら、最後まで責任をはたしてから、言いなさい。仕事先で、罵声をあびようが、最後まで、任務を遂行する。仕事とは、約束したことを責任をもって遂行することであり、自分の評価を高めるためにするものではない。三意をもって遂行すれば、評価は必ずついてくる」
今では、当時、若かった?自分の甘さがあったと痛感しています。今振り返ると、依頼してくださった方は、私を育てるお気持ちで、「社会」知らずの私にいろいろな指示をくださったと受け止めています。当時の私は、自分の主張は正しいという理屈で仕事に向き合っていました。大事なことを全く見ていなかったのです。この時の初代塾長の教えがなければ、プロコンとしての今日までの16年と3カ月の日々は無かったと思います。
私が相談をした時、初代塾長は、「僕が手伝えることがあれば、手伝うから、仕事は断わらずに最後まで全うしなさい」ともおっしゃってくださいました。その愛情の深さも弟子として身に沁みました。「塾長に甘えていてはいけない」、そう実感したことを今でも覚えています。
最初の都市、ハノイでのセミナーが終わりました。この時から、仕事を依頼してくださった方との関係が変わりました。後半は、ホーチミンでのセミナーです。私は、1人で移動、ホーチミンでのセミナーも無事終わった頃、ハノイにいる仕事の依頼者から電話が入りました。「無事に終わり、お疲れさま。気をつけて帰国するように。そして、次の専門家にも推薦しておくから」という主旨でした。この時、苦しかったけど、最後まで、仕事をやり遂げてよかった、初代塾長に相談してよかったという気持ちがからだ中にあふれたことを今でも覚えています。
私は、この初めてのベトナムでの仕事がきっかけで、毎年のように、海外での活動機会をいただいています。もし、あのとき、初代塾長に相談せず、仕事を断っていたら、海外での仕事というキャリアは私にはありえなかったことです。国際部長という経験もしていなかったでしょう。来週もまた海外に行きますが、この仕事もなかったでしょう。いや、海外だけでなく、国内での仕事ももっともっと少なかったでしょう。
今、私が塾長として、塾生の皆様方に、初代塾長のような大きな包容力とプロとしての厳しさをもって向き合っているだろうか? 正直、反省の日々です。
最後にもう一度、卒塾される皆様に、初代塾長からいただいた言葉を贈ります。
「プロとは、一度、約束したことは、最後まで、責任をもって行うことである。評価されるこが目的になってはいけない。三意をもって仕事をすれば、評価は必ずついてくる」
17期生の皆様、卒塾、おめでとうございます。そして、1年間、稼プロ!で共に学びの時間を共有できたこと、心から感謝申し上げます。今日からは、塾長と塾生の関係ではなく、プロコンどうしパートナーの関係です。新しい始まり、今後とも、永いお付き合いをお願い申し上げます。