皆様こんにちは、14期生 木村です。いつの間にか6巡目ですね。しばしお付き合いいただければ幸いです。
6次産業化や、農商工連携など、農家や中小企業の 「食」 に関する取り組みが話題となっています。
実際に取り組んでいる方は、既にご経験があるかもしれませんが、場合によってはかなりハードルが高い状況も存在します。
以前こんな例を聞いたことがあります。小規模ながら美味しいと評判の自家製菓子店が、大手小売チェーンのギフトカタログを
企画・制作している会社の目に止まったとのことです。この制作会社は、「街で評判の限定ギフト」としてカタログに掲載しようと、
交渉を試みたようで、菓子店側からすればビジネスチャンスですし、制作会社としても大手菓子メーカーでは得られないストーリー性を
期待したわけです。
ところが、品質面や衛生面での管理について折り合いがつかず、結局採用には至らなかったとのことです。
ある程度の規模の食品工場では、工程上で様々なチェック項目を設け、検査・記録・管理を行っている上、
製品の抜き取り検査により品質を維持しています。服装や身の回り品にしても、「ネット付帽子着用」「ゴム手袋着用」
「作業服のごみ取りローラーの設置」「ペーパータオルの使用」「長靴の使用とそのアルコール消毒」など、
様々な備品や運用の規則が存在します。
それどころか、ある大手ボランタリーチェーンでは、PBを製造するメーカーには、「HACCP」又は「ISO9001」の取得を義務付けています。
このような大がかりな品質・衛生管理まではいかなくても、作る側に一定のレベルの管理基準やその運用が求められていることは事実です。
先ほどの菓子店の話にもどりますが、結局この菓子店の奥さんが「今までは、これでやってきて事故も起こしていないのに、
何で今さら細かく管理しないといけないのか?」とヘソを曲げてしまったのがオチの様です。
確かに、菓子店側としては、地元保健所の指導の範囲で衛生管理をしてさえいれば、事故でもない限り、
問題なく製造・販売はできるわけです。一方、制作会社側から見れば「毛髪1本たりとも混入を許さない生産体制の担保」が出来なければ、
カタログ掲載は不可能というスタンスにならざるを得ないわけです。両者とも法律に抵触していないので、互いの言い分としては、
間違えではありません。規模が小さいため管理体制の構築が難しい一方、要求が厳しいのが現実です。
ご紹介した例は少々極端ですが、食品は食材や加工度合いによって、それに見合ったレベルの管理が必要となります。
保健所など公的な機関も巻き込み、作る側、売る側の十分なすり合わせと理解、ビジネスの規模に見合った品質管理への投資、
などが必要になるのではないでしょうか?
そこで、中小企業診断士としては、このような場面での、国の施策の活用と豊富な人脈による支援が期待されるところかと思います。
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。