稼プロの関係者の皆様。18期の市原です。
今回は大晦日というタイミングでもあるため、棚卸シリーズではなく、企業破たんで一年を振り返りたいと思います。元ネタは、TSRの速報です。
- 今年は、「はれのひ」から始まりました。設立10年未満の会社です。身近な商材で、取材しやすかったことから、メディアで大きく取り上げられました。TSRも「成人の日に晴れ着届かず」と紹介しています。「ハレの日に晴れ着届かず」の方が、より良いコピーでしょうか。
- 2月は、「ジャパンライフ」です。負債総額は2405億円の大型破綻です。聞いたことがあると思ったら、過去にマルチまがい商法で、国会でも取り上げられた会社でした。
- 3月は、「ケージェイ(旧キネマ旬報社)」です。歴史ある企業も、環境変化には抗えません。なお、キネマ旬報自体は、別会社で継続されています。
- 4月は、「スマートデイズ」です。設立10年未満の会社です。今年、不動産業界を激震させた「かぼちゃの馬車」ですね。スルガ銀行さんの激震は年を超えそうです。また、シェアハウスは今後望まれる住形態ですが、前例・実績主義のわが国では、名に傷が付きました。
- 5月は、「福老(旧イデアクエスト)」、慶応大発で、画像センシング技術をコアとする医療ベンチャーです。設立後は、新商品開発や代理店網の整備が進まなかったようです。設立10年未満の会社です。
- 6月は、「MTGOX」です。ここは少し毛色の変わった紹介で、破産から一転、民事再生開始決定との話。これは、同社保管のビットコイン価格が破産時の約5万円から100万円を超え、破産債権の100%配当が見通せる状況となったためです。神風ですが、いまは?です。
ここで半年。
- 7月は、「特殊精砿」です。社名から想像できないですが、ホテル木曽路の運営会社です。採掘などのセラミック関連の同社で、木曽の採掘跡地から温泉が湧いたことで、温泉リゾートの運営が始まりました。セラミック関連からの撤退が上手くいかなかったようです。
- 8月は、「福島電力」、原発事故後に設立された新電力会社です。事業の拡大スピードに請求事務等が追い付かない等で、トラブルが相次いでいたようです。自身の提案で常に心がけることは、提案後の確実な運営です。企業経営も同じですね。設立10年未満の会社です。
- 9月は、「ケフィア事業振興会」などの関連グループが破綻しました。負債総額は1000億超、債権者が3万人超の大型破綻です。食品の通信販売が中核事業ですが、会員から高利で資金を調達し、自転車操業の果て、です。
- 10月は、「五島産業汽船」です。長崎・佐世保と五島列島を結ぶライフラインです。幸い従業員が一部航路を引き継ぎ、断絶は免れました。過疎化が進む中、公共交通網の維持は、より深刻な問題となります。
- 11月は、「翔洋会」です。医療法人も時々倒産が見られます。多くが積極投資による資金繰りの悪化です。医療業界は、固定費が高い一方、患者が作れず、収入含め規制がある難しい業界ですね。
- 12月は、「エイタロウソフト」です。スマートフォン版のソシャゲの開発・運営会社です。ゲームの開発・育成が上手くいかなかったようです。
という一年。
目に付いたものは、順法意識が希薄なものは論外として、若い会社や老舗の事業環境の変化の破たん等です。やはり、販売/マーケティング、投資などの計画が適切であったのか、そしてこれらが適切に管理されていたのか、が気になります。これらをサポートする役割が我々診断士です。適切な企業成長に向け、できることを磨いていきたいと思います。
2019年も皆様にとって幸多からんことをお祈り申します。