皆さん、こんにちは。稼プロ!18期性の小野澤です。先日、小惑星「いとかわ」への惑星探査を成功させたJAXAの「はやぶさ」エンジン開発チームのリーダーを務めた方とあるイベントのパーティーでお話する機会がありました。現在ミッションの最中の「はやぶさ2」プロジェクトでも第1ステージではプロジェクトマネージャーを担当されていた方でよくTVにも登場するのでご存知の方も多いかと思います。今日はその時、聞いたお話を少しご紹介したいと思います。
「はやぶさプロジェクト」と言うとすぐTV番組の「下町ロケット」が頭に浮かび、診断士としては何か中小企業にまつわる面白い話が聞けるかなと期待しましたが、残念ながらエンジンの製造は某大手電機メーカーが担当し、直接的に中小企業が関与することはなかったようです。それでもそのメーカーの傘下では多くの中小企業が参画されていたことと思います。
「はやぶさ」で使われたエンジンは、イオンエンジンと呼ばれる特殊な装置で、燃料のキセノンガスにマイクロ波を照射して、プラズマ状態にし、それに強い電場をかけてプラズマを加速、噴射させることで推進力を得ると言うしろものです。推進力は小さいものの非常に燃費が良いと言いう特長を持っています。宇宙空間を何年もかけて航行するため、燃費の良いイオンエンジンが相応しいとの結論に至り、世界に先駆けて採用したのだそうです。
しかし、このエンジン開発の過程では大変なご苦労があったようで、エンジンの耐久性テストのため真空チャンバーに入れて18000時間(約2年間)もの間連続燃焼試験をするらしいのです。この間正月もお盆休みもなくつきっきりで、エンジンのお守をしなければならないとかで涙ぐましい努力を続けられたようです。しかもその実験を2回も実施したそうですから驚きです。
でも、NASAなどに先駆けて、小惑星探査に世界で初めて成功するなど、世界的には日本の技術開発体制は高い水準にあるのではないかと思い、質問したところ、米国のNASAや中国に比べると予算規模などでは一けたも二ケタも差があり、とても真っ向勝負は無理とのことでした。しかし、逆にそのような彼我の差があるからこそ、足らない部分を何とか知恵で補おうと努力されているのではないかと思います。
例えば、「はやぶさ」は小惑星「いとかわ」に達するため、地球の周回軌道から「いとかわ」の太陽系の周回軌道に乗り移る必要がありますが、そのために地球スウィングバイと言うテクニックを採用しています。これはイオンエンジンの小さい推進力を補うため、地球の引力を利用して探査機を加速して小惑星の軌道に飛び移らせる難しいテクニックです。
またはやぶさは、7年ものミッションの間に、数々のトラブルにみまわれていますが、それらのトラブルに対処するため何億キロのかなたまで人間が出かけて行って修理すると言うわけにはいきません。トラブルは全て、予めビルトインされたソフトウェアを使って遠隔操作で対処することになります。それでよく想定外の様々なトラブルに対処できたものだと感心せずにはいられません。想定外と言いつつ、ありとあらゆる可能性を想定して、あらかじめ緊急対応プログラムを埋め込んでおくと言うものすごいコンティンジェンシープランです。
こうして話を聞いてみると、派手な報道の陰でプロジェクトスタッフの地道な努力があって初めてあのような偉業が達成されたのだなと改めて感じます。その点、資本力は劣るが、知恵でそれを補いつつ頑張る日本の中小企業の姿と二重写しになります。今まさに佳境を迎えている「はやぶさ2プロジェクト」ではこの方の後任が日夜寝ずの番をされているようですが、今回も実験を成功させて無事に探査機が地球に帰還できることを祈りたいと思います。
-----------------------------------------------------------
お知らせ
★稼げる!プロコン育成塾では、兄弟マスターコースと共同で、無料説明会を開催いたします★
来期、稼プロ!に入塾してみたい方は、お気軽に下記のページからどうぞ!
当塾では、塾の主旨や活動内容に共感していただいた方を歓迎しております。
http://kasepuro.com/LP/gouori/