こんにちは。22期生の浅野です。
安倍首相が力を入れていたことの一つに地方創生があったという報道を聞いて思い出したことを書きます。日本の各地方にはさまざまな魅力があり、その強みを引き出し新しい価値を創造し地方を活性化する活動をされている方々がいます。そのような事業に取り組んでいる鎌田さんの話です。
鎌田由美子さんを知ったきっかけは大学院での講演です。今年6月のガイアの夜明けで取り上げられたのでご存じの方がいるかもしれません。鎌田さんはJR東日本でエキュートのプロジェクトを始めた方で、若くしてリーダーを任されました。JRの古い体質の中で女性が活躍するには苦労が多かったようですが、ご自身のバイタリティーと上司にも恵まれ、エキュート事業を成功裏に成し遂げられました。順風満帆なキャリアを歩んでいたものの、「地方を元気にする事業をしたい」というかねてからの思いを実現するために、キャリアチェンジをし、株式会社ONE・GLOCALを創業しました。「ひとつひとつ」というブランド名で、地方の特産で作った商品を販売しています。
講演では、エキュートの苦労話、シードルを勉強しに行った話、地方活性化への思いなどを語られました。青森のA-Factoryは鎌田さんが取り組んだ地方創生事業の一つ。青森特産のりんごを使いA-Factory工場で作り・販売しているシードルの話を聞きました。シードルとカルヴァドス、本場に勉強に行って本場から機材を取り寄せて作っている。これはどんなものかと強い興味をいだきました。
たまたま広尾の明治屋にイベント出店するのをネットで見つけたので、実際に飲んでみたいと思い買いに行きました。ところがシードルは売っておらず、ノンアルコールのスパークリングのみの販売でした。手ぶらで帰るのは残念なので「炭酸ジュースに1,700円はちょっと高いな」と思いつつ1本買って帰りました。
炭酸ジュースにしては高価なので、しばらく冷蔵庫に眠っていました。ある「お祝いの日だけど飲めない日」があり、夕食の時にワイングラスで飲んでみました。
フワッとりんごの香りが立ち上がり、しっかりとした酸味がありとても美味しい。ワインのように料理といただくのが良い。そんな飲み物であることに驚きました。これは炭酸ジュースではなく、やはり「りんごスパークリング」と呼ぶにふさわしいと思いました。
大変美味しいのに、買える店舗がない。ネット販売があるが送料が800円もかかる。ブランド戦略としてA-Factoryでの限定販売かもしれないが、PlaceとPromotionに関しては改善の余地がありそうです。京都でオーベルジュを経営している妻の友人に「りんごスパークリング」を紹介したところ、興味を示したので4本プレゼントしました。オーベルジュのオーナーも大変気に入り、取引ある酒屋経由で「りんごスパークリング」を取り寄せることに成功し、ドリンクメニューの一つとして提供しています。
授業で鎌田さんの話を聞かなければ、「りんごスパークリング」を知ることはなかったでしょう。鎌田さんの思いや商品の背景にあるストーリーが自分の琴線に触れ、わざわざ広尾に行き1,700円の飲み物を買ったのでしょう。さらにボランティアの販路開拓までしたのです。
他に印象に残ったのは、地方創生事業には行政の協力が必要な場合があり、その様な時に「計画に協力してください」だけでは行政は動いてくれない、「自分はここまでやったから行政にはこうしてほしい」と言うべきということです。また、行政の中には熱い人とクールな人がいるとおっしゃっていました。
経営コンサルは自分で事業を作り出すわけではないけれど、企業に眠っている強みを見つけ価値を高める支援をします。人を動かすには熱意が必要だし、熱い人を見つけることも重要でしょう。鎌田さんの取り組みから学ぶものがある気がしました。
いつか青森に行ってシードルを飲んでみたいと思います。
熱意の重要性は分かっているつもりですが、机上で考えるとどうしても抜け落ちる自覚があります。
どういった思いが紡がれて今自分の目の前にあるのか、それを捉えてより良い形で紡げる診断士になりたいです。
ところで、「オーベルジュ」知りませんでした。料理旅館のフレンチ版て感じでしょうか。直訳すると旅籠(はたご)となっていますね。こちらも行ってみたくなりました。京都のどこにあるのかまた教えてください。
そのような方の話はついつい引き込まれ、心を動かされてしまいます。
よいお話をありがとうございました。
小さいころ、たま~に両親に買ってもらった、炭酸リンゴジュースのアップルタイザーが好きだったのを思い出しました。