あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

多和田葉子著「穴あきエフの初恋祭り」を読んで 

2019-02-10 13:29:18 | Weblog


照る日曇る日 第1198回



題名からして童話ではないかと想像していたら、そうではなくて短編小説集だったのであてが外れたが、どの作品も、ちょっと奇妙な味わいの大人の童話、というても差し支えないでしょう。

極力本邦伝統の私小説の趣から遠ざかり、独自の「乾いた新小説」の世界を築き上げようと努めているようだが、読んでそれほど面白くないのは、著者の文学観と感性がそれほど斬新なものではないのに、表現方法や構成法でなんとか21世紀先端派的な新奇さを演出しようとするその意欲が、かえってうわ滑りして裏目に出ているのでしょう。

あんまりぐあんばったりいきんだりせず、普通のことを普通に書いてもらった方が、読むほうとしては助かります。



  大雪だあ大雪じゃあと騒いたが雨に変わりて今朝は快晴 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする