照る日曇る日 第1198回
題名からして童話ではないかと想像していたら、そうではなくて短編小説集だったのであてが外れたが、どの作品も、ちょっと奇妙な味わいの大人の童話、というても差し支えないでしょう。
極力本邦伝統の私小説の趣から遠ざかり、独自の「乾いた新小説」の世界を築き上げようと努めているようだが、読んでそれほど面白くないのは、著者の文学観と感性がそれほど斬新なものではないのに、表現方法や構成法でなんとか21世紀先端派的な新奇さを演出しようとするその意欲が、かえってうわ滑りして裏目に出ているのでしょう。
あんまりぐあんばったりいきんだりせず、普通のことを普通に書いてもらった方が、読むほうとしては助かります。
大雪だあ大雪じゃあと騒いたが雨に変わりて今朝は快晴 蝶人