あまでうす日記

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ジョン・チーヴァー著・村上春樹訳「巨大なラジオ/泳ぐ人」を読んで 

2019-02-14 14:56:53 | Weblog


照る日曇る日 第1200回


ジョン・チーヴァー(1912-1982)は50年代からニューヨーカーを拠点に数々の短編小説を書きまくったアメリカの作家だが、村上春樹がいうとおり、時代に流されない確固とした個性と骨格を保持し続けた、かけがえのない才能の持ち主だとおもった。

その大半が、NYらしき大都会からちょっと離れた高級住宅街のコミュニティを舞台に繰り広げられる人間悲喜劇なのだが、だからといって凡俗に陥ることはけっしてなく、1作1作がユニークな別乾坤としてすっくと聳え立ち、確かな読み応えが返ってくる。

バート・ランカスターの主演で映画にもなった表題の「泳ぐ人」は、ある朝主人公が河の代わりに隣人たちのプールを泳ぎ継いでいこうとする異色の物語である。

男があちこちのプールを訪ねるうちに、過ぎし日々の思い出が蘇り、流れゆく時間の中で、男は、恋も、若さも、名望も、財産も失っていき、夕方疲労困憊して帰りついた荒廃した自宅に人影はない。

わずか十数頁の間に、時間と人世は緩やかに巡り巡って、虚しい回想のロンドを奏でるのである。




  「団塊の世代」「巨人大鵬卵焼き」堺屋太一「油断」して死す 蝶人
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