これでも詩かよ 第271回
ヨハン・シュトラウスⅡ世の「無窮動」op257を振りながら、カール・べームは「いつまでも」というた。
京都府綾部市西本町25番地の履物店に「品良くて、値段が安くて、履きやすい、買うならここと、下駄はてらこ」と書かれた看板があったので、フマ君が「まだ営業してますか?」と尋ねたら、セイザブロウさんとアイコさんとマコっちゃんとゼンちゃんとミワちゃんは、口を揃えて「いつまでも」というた。
夕方、鎌倉市十二所の光触寺の山門に可愛いコダヌキが目を光らせていたので、「お前さん、いつまでそんなとこで油を売っているんだね」と尋ねると、「いつまでも」というた。
「我が家の太陽は誰ですか?」と尋ねたら、コウ君が「お母さんですお」というので、さらに「太陽はいつまで輝くの?」と尋ねたら、「いつまでも」と答えた。
緒方貞子、中村哲、今井和也、柴田駿、今年も忘れがたい多くの人々がこの世を去った。
荒れ果てた不毛の地で懸命に生きる私たちを、どうか温かく見守っていてください。
いつまでも。
佐々木家の紋付の柄も忘れ去り下駄のてらこは店を閉じたり 蝶人