あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ヤコブス・デ・ウォラギネ著「黄金伝説1」を読んで

2019-12-26 13:00:05 | Weblog


照る日曇る日 第1329回


ヤコブス・デ・ウォラギネ(1230頃-98)はジェノヴァ近郊生まれの福者で、中世において聖書と並んで最も多くの人々に読まれたこの聖者列伝をあらわした。

本日は聖夜につき、第50章の「主の(マリア)お告げ」を読んでみると、「新訳外典のひとつ「偽マタイ福音書」の記述が引用されていて興味深い。

不安に駆られる処女マリアを「あなたの親戚のエリサベトも児を宿しています」というて、天使が力づける。

エリサベトはイエスに先行して神が地上に下ろした洗者ヨハネの父で大祭司のザカリアの妻なのだが、不妊といわれ、しかも老年なのに6か月の男児が胎内に居るというのである。

するマリアは立ちあがって山に急ぎ、エリサベトの元に至り、彼女に挨拶をした途端、エリサベトの胎内で「子供のヨハネがおどった」と書いてある。のちにヨルダン川でイエスを洗礼する、あのヨハネが、である。

そして「マリアはエリサベトの元に滞在し、ヨハネが生まれるまで3カ月の間彼女の世話をして、自らの手でヨハネを抱き上げた」というのだが、このような前振りがあれば、福音書のイエスの誕生も、いっそう迫真の度を加えたのではなかろうか。


 緒方さんも中村さんも居なくなり暗くて寒い日本の冬です 蝶人
コメント
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