照る日曇る日第1479回
今話題の、というか昔からずーーと話題の本を読む。「ぺてるの家」というのは北海道浦河にある精神障碍者の施設で、日高昆布などの海産物の加工販売を行うペてるの家という作業所や、いくつかの共同住居(生活ホームなど)や福祉ショップで構成され、傍には教会もあるようだ。
1958年に創立された浦河教会堂をベースに、1979年に牧師不在のまま住み込んだ向谷地生良氏がキーパーソンとなって、牧師夫妻や医師やアル中患者や看護婦や様々な障害者などが協同協力し合って、現代の奇跡のような交感交流の場を作り上げたようだ。
本書はこの「ぺてるの家」の立ち上げや発展に係った大勢の人々の「寄せ書き」と向谷地氏のエッセイによる薄いくて粗末な書籍であるが、読んでいるうちに突然瞳孔が開いたり心拍が劇動したり涙が迸ったりする不思議な書物である。
わいらあ確か高橋源チャンのラジオでこの「ぺてるの家」の存在を知りましたんや。
人世のあれやこれやで深くダメージを受けた人たちが、ここに来るとなぜか鎧兜を脱ぎ捨てて素裸の自分に還り、他人様との関係もこれまた自在に切り開かれていくという不可思議な場所だというので、もしかするとここに泉あり。
こここそ現代最後の聖なる隠遁所ではなかろうか、という気もするんであるが、20億欲しさに核のゴミ処理を引き受けようとする北の大地の一画に、ほんまにそんなユートピアもどきがあるんかいな。あるなら行ってみたいな。
と、きっと高橋源チャンなんかも思うたんやないやろか。
おっちゃんが出ないプレバトの詰まらなさ 蝶人