音楽千夜一夜第462回
クラシック音楽の鑑賞に飽きたとき、「ああそうだ、ハイドンを忘れていた」と思って、パパ・ハイドンの交響曲やピアノ曲を聴くと、なんだか懐かしい故郷に帰ってきたような気がしてほっとすることがある。
私の手元にあってよく聴くのはワルターオルベルツやジョン・マッケイブ、フォルテピアノのクリスティーヌ・スコルンシェイムなどだが、最近仲間入りしたのがこのルドルフ・ブフビンダーの10枚組のCDだあ。
技巧をおもてに出さず、炭酸を抜き去った純粋の蒸留水のような味わいは、ほとんど禅宗の坊主の悟達の境地を思わせるのだなあ。
中原の中也が死んだ病院で今年は受けぬ健康診断 蝶人