照る日曇る日 第1560回
ある夏の日、一人の少年が川の浅瀬に居る大きな魚を大格闘の末に手づかみにする。つかまえたその時の、心臓を直撃するほどの激烈な喜び!
「魚をだいて、魚にだかれる ゆめを」見ている間にぐったりとなった魚を生き返らせようとした少年は、もがく魚を川に逃がしてしまう。
いったん掌中にした魚は、再び大自然の中に帰って、少年にあっかんべえ!をするところがほろ苦くて素敵だ。
私はこの大きく躍動する大絵本を読みながら、息子が目の前の小川にずぶずぶと入って、石の下に隠れ棲んでいた巨大なウナギを手づかみにした日のことを思い出した。

「朝日」より「鎌倉朝日」が面白く毎月1日を楽しみに待つ 蝶人