あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2021年卯月蝶人映画劇場その2

2021-04-20 12:06:56 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2528~37

1)トアン・ミン・トウアン監督の「ベトナム激戦史1967」
ケサン861高地を巡る攻防を北の視点から描いた2005年製作のベトナム映画だが、さしたる急迫の度が伝わらないのは何故だろう。
2)マーク・フォスター監督の「チョコレート」
黒人への差別問題を描く2001年の米映画。父親同様強い差別と偏見にとりつかれていた元看守の主人公が息子の自殺以後、黒人女性によって認識を改めていくがほんとに2人がうまくいくかは予断を許さない。
3)ギオルギ・オヴァシュヴィリ監督の「とうもろこしの島」
戦争状態にあるジョージアとアブハジア自治共和国の間にある小さな島を舞台に、民草の生活と感情、大自然の慈悲と無慈悲を寡黙に描いて感銘を残す2014年の作品。
4)ロス・アダム監督の「将軍様、あなたのために映画を撮ります」
北朝鮮に拉致され金正日のために映画を撮った監督と女優の驚くべきおはなしを2016年製作のドキュメンタリーで。独裁者が「この国の映画は泣く映画ばかりだ。金はいくらでも出すから世界水準の映画を作ってほしい」と頼んだのは本心からだろう。
5)ポール・シュレイダー監督の「魂のゆくえ」
イーサン・ホーク扮する牧師が、現代社会の正しい生き方について深く苦悩し、激烈に行動しようとする様を、厳粛に描く2017年の宗教&社会映画ずら。
6)ザザ・ウルシャゼ監督の「みかんの丘」
アブハジア自治共和国のみかん村を舞台にした、アブハジアとジョージアの殺し合いを生々しく描きだし、戦争の虚しさを浮かび上がらせる2013年の傑作。
7)ノア・ホーリー原案「ファーゴ シーズン1」
インテリ殺し屋に扮するビリー・ボブ・ソーントンとその後を執拗に追う副署長アリソン・トルマンが、最高によろしい。2006年を舞台として2014年から製作された10本だが、さすがコーエン兄弟のプロデュースだ。
8)ノア・ホーリー原案「ファーゴ シーズン2」
1979年を舞台として2016年から製作された10本で、シーズン1の前史に当たる凄絶な連続殺人事件をスリリングに描く。ザーン・マクラーノンの先住民よりも、美容師のキルスティン・ダンストが不気味な存在ずら。
9)ノア・ホーリー原案「ファーゴ シーズン3」
2010年のミネソタ州を舞台にして描かれる17年製作のテレビドラマ。またしてもの連続殺人事件。婦警のキャリー・クーンも良いが、悪役のデヴィッド・シューリスの存在感が圧倒的で、シリーズの10本が終わってなお、その不気味な残像が後を曳いている。
10)ハラルド・ズワルト監督の「ザ・ハント ナチスに狙われた男」
2017年製作のナチス占領下のノルウエーにおける熾烈な脱走劇。極寒の海山、ブリザード、凍傷の足指を。痲酔なしでナイフで切り取る、ナチの拷問等々、実話だというのだが、あんなに都合よく助けのトナカイが出てきたのだろうか。

N響に入れば超エリートと錯覚しさらなる進歩はそこで止まるか 蝶人
コメント
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