川崎洋編「教科書の詩をよみかえす」を読んで
照る日曇る日 第1902回
そういえば私が小学生や中学生のときには国語の教科書に詩が載っていたようだが、殆ど覚えていない。
例外は、大関松太郎という少年の、畑を鍬で掘り起こすと、いろんな虫がびっくりして飛び出してくる、というような所謂「生活綴り方」的な作品で、それ以外は今朝ドラでやっている牧野富太郎を東大で苛めた矢田部教授らが翻訳した「新体詩抄」しか記憶にない。
それで本書を手に取ると、石垣りんの「峠」から栗原貞子の「うましめんかな」、茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」など印象的な名詩がじゃんじゃん登場するではないか。
しかもそれらの作品を詩人の川崎選手の、かの異次元男のそれとは180度異なる懇切丁寧な解説で、未読することが出来る本書は、ほんとうは、私が半世紀以上も前に読むべかりし秀作の森だったのであったあ。
G7てんで興味はないけれど猿之助ならなんでも知りたい 蝶人