照る日曇る日 第2141回
最新刊だというので勢い込んでページを開いたら、なんとまあ帝国ホテルのPR誌の連載をまとめて無理やり1冊の書籍にしたものだった。
PR誌を貶めるつもりはないけれど、それはギャラはうんと高くとも作家の生活費の足しにするために書くのだし、なまじ特定のスポンサーが厳然と存在しているためにホテル周辺から話柄が逸らされないし、なにかと不自由な「お題」になってしまわざるを得ない。
そんな苦しい制約の中でも、さすがに冒頭と掉尾の挿話だけはうんとこさ力が籠っていたように思われる奇妙なアンソロジーだった。
広告を出したい人と消したい人その両方からふんだくる奴 蝶人