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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西部劇4本立てずら

2017-09-15 17:27:00 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1239、1240、1241、1242


1)サム・ペキンパー監督の「ダンディー少佐」をみて

1965年製作の若きペキンパーの秀作西部劇。ヘストン演じる少佐とリチャード・ハリスの大尉の相克を柱に、アパッチ、北軍兵、南軍兵、フランス軍、自由メキシコ軍が三つ巴、四つ巴になって織りなす正義と復讐、男女の愛憎と友情の物語はじつに見ごたえがある。

2)カルヴィン・ジャクソン・パジェット監督の「荒野の1ドル銀貨」をみて

殺されたはずのジュリアンーノ・ジェンマ選手が、胸ポケットの銀貨のおかげで生き延びて悪者どもに復讐していく。

3)ドゥッチョ・テッサリ監督の「続荒野の1ドル銀貨」をみて

南北戦争を終え郷里に戻ったジュリアンーノ・ジェンマ選手が右腕を潰されながら左拳銃で妻子を奪った悪者に復讐するお話で、続編ではないが「荒野の1ドル銀貨」と似ている。違いは二人の美女が出演していること。

4)ジョン・スタージェス監督の「シノーラ」をみて

クリント・イーストウッドとロバート・デュヴァルが対決する西部劇だが、スタージェスの演出とは思えない。あんまり盛り上がらない短時間の映画です。

    6回目のミサイル発射をらあらあと朝から騒ぐ気違いテレビ 蝶人

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西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧 補遺その4

2017-09-14 14:41:29 | Weblog


ある晴れた日に 第478回


立冬や高速走る駝鳥かな

翡翠一羽天啓の如く閃きぬ

幼児語の介護に耐える老婆かな

ジョーカーが行きつ戻りつ終盤戦

その柿をもごうとせしがためらいぬ

帰化人は我田引水渡来人と呼ぶべし

つつがなく一生を終えるは大事業

○○宮の葬儀代のおよそ二円が私の負担

またしてもパスワードを忘れてしまい自分のアクセス侵犯を試みる電脳スパイ

人間も生きているうちは資源だけれど死ねばやっぱりゴミになるんだ

「耕君って自閉症なの」と尋ねたら「分かりませんお」と答えし長男

生きてれば年金もらえるもらえれば息子の年金がはらえるだから生きてる

19人を殺し26人を傷つけし元職員は生活保護を受く

包丁で何度も首や胸を刺すあに安楽死というべけんや

金輪際虫も殺せぬ19人をウエマツサトシは刺し殺したり

はじめこそ大衝撃なりしがいつの間にかトランプ大統領にも慣れていく

七十歳の大統領が説く未来七十二の我は冷やかに聞く

沖縄よヤマトンチューより離脱せよかのセボルガ公国のごとく

弘明寺の観音通りの坂道の袂にありしレコードショップ

かたばみの花に憩えるヤマトシジミ私の好きな日本はここ

「しっかり乾燥させなさいよ」と洗濯機に言い聞かせている私の奥さん


  不惑過ぎなお無垢にして幼児なり障ぐあい者こそ天の賜物 蝶人

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鎌倉国宝館で特別展「国宝鶴岡八幡宮古神宝」をみて

2017-09-13 11:59:01 | Weblog


蝶人物見遊山記 第255回


毎年のように開催されている鶴岡八幡宮古神宝展であるが、毎年思うのはこれらの弓とか矢と太刀がなんで国宝なのか、ということ。まあ鎌倉時代の現物はほとんどないからなのかしら。

「源頼朝像」は大英博物館にある本物ではないが、これが本当に頼朝の顔かというとその確度が著しく揺らいできた今日この頃である。

また毎度のことながらせっかく北条政子が御白河法皇からもらったのにパリ万博に海を渡っている途中で海没した螺鈿蒔絵硯箱が口惜しい。そもそも鎌倉は京に比べたら超田舎なので、平安時代の名品なんてほとんど存在しないのである。

頼朝が上京した折におそらく奈良のお寺からもらってきた舞楽面も素晴らしい出来栄えで、これがどうして重文に甘んじているのかと訝しく思われる。

そうそう、あと毎回眼を皿のようにして見つめるのは巨福呂坂町内会が所有している「歓喜天立像」。象の頭を持つ怪人が下半身をぴたりとくっつけて向き合っている奇怪な像である。

なお本展は来る10月15日まで同館にて開催ちうだよーーん。


    無患子の梢に止まったクマゼミが大阪弁で突如鳴き出す 蝶人


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中上健次著インスクリプト版「中上健次集十」を読んで

2017-09-12 13:46:47 | Weblog


照る日曇る日第990回


インスクリプト社が総力を挙げて出版してきたこのシリーズもいよいよ大詰めを迎えたが、「野性の火炎樹」と「熱風」を二本柱に収めた本巻には、文字通り中上文学の「火」と「熱」が炎をあて燃え盛っているというても過言ではない。

遼作とも主人公はナカモトの一統の黒い血が入った若者の無謀無意味上京青春燃焼破滅冒険譚であるが、1985年出版の「野性の火炎樹」は主人公の活動がまだ全面展開されない段階で物語が終わっているだけに、いささか欲求不満を覚える。しかしそれが果たされようとした著者最晩年の1992年初頭の「熱風」も、著者の早世によって残念ながら未完に終わった。

両作の主題とは、紀州の被差別の別称である「路地」の問題を、日本から全世界へ拡大し、「路地から路地への往環」の過程で、新しい世界とその人間関係の構築を目指そうとしたものではないだろうか。

その「熱風」では、南米から高価なエメラルド3個を携えて来日した黒い主人公タケオが、やはり中本の血を引き、「かい人21面相」を名乗る毒味男を頭にする「超過激、超反動」の怪しい一味と知り合って、悪徳資本家や権力者、天皇制に挑もうとするのだが、その行動は反権力闘争といえるような理論的なものではなく、刹那的な盲動と痙攣的な殺人を繰り返しているにすぎない。

文学というよりは漫画的なプロットを、作者は主人公たちに憑依しながらひたすら熱情的に文字にする。すると物語の登場人物がおぞましい存在感を備えて白昼堂々とその怪異な姿を露にする。
定見も理性もない出たとこ勝負の能天気で脳たりんの愚かな馬鹿者が、地上では存在したこともない稀有の聖なる存在のような相貌を湛えて屹立する瞬間があるのだ。

それは職人が泥を捏ねまわし、唾を吹きかけ、ふいごで加熱しているうちに、泥人形が見事な武者人形に変身する魔術に似ていなくもない。
それはまた、小川の面をちろちろ上下している背びれの下に、赤黒白の巨大な錦鯉のうごめきを見出した時の驚きに似ている。

中上文学では、すべての物語は破綻する。しかし物語の登場人物は生き生きと生きているのだ。
中上はいささか早すぎる死を死んだし、読者の我々もまもなく他界するだろうが、彼らの存在は不滅である。


  北朝鮮などはほおっておけばそれでいいそのうち対話を呼び掛けてくる 蝶人

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鎌倉小町通りの鏑木清方美術館で「手元で愛でる卓上芸術展」をみる

2017-09-11 14:35:59 | Weblog


蝶人物見遊山記 第254回


「卓上芸術」という魅力的な言葉に惹かれて、まだ暑い盛りで世界中からの観光客や車曳き屋、さしたる根拠もなく延々と並んでいるお客がうじゃうじゃしている小町通りを、「ええい糞たったれ、邪魔だ、邪魔だ」とかきわけるように突進し、左折しました.

例によってガラガラの館内には、かの有名な「一葉女史の墓」をはじめ、いつものように情趣豊かな日本画が並んでいましたが、「注文帖画譜」や大正元年制作の「夏の思い出」という小振りの絵巻物のほかには「卓上芸術」らしき作品は展示されておらず、これは多少看板に偽りありかもしれません。

清方選手によれば、満員の肩越しに絵画を鑑賞する「会場芸術」ではなく、画帖や色紙、挿絵などの印刷物を手元で心ゆくまで鑑賞できるのが「卓上芸術」だあ、ということらしいのですが、そう種明かしされても驚くようなことはなにもありませんでした。

私見では「卓上芸術」の名にもっともふさわしいのは、お気に入りの詩集と盆栽の鑑賞ではないかと思うのですが、この場に結集された全国の学友諸君、さあていかがなもんでしょうか。

なお本展は来る10月25日まで同館にてさびしく開催ちう。


   北朝鮮にどんどん圧力加えれば屈伏するとでも思っているのか 蝶人


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西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧 補遺その3

2017-09-10 13:15:37 | Weblog


ある晴れた日に 第476回


凡庸な我にしあれば凡庸な詩を書き凡庸な歌詠む

即決せよ即決せよと迫りくるお前は何者ヤフーオークション

なんだよ結局降らないのか天気予報って当たらないな

下肢をピント空に立て雄を待受けている雌紋白蝶

テポドンが東京に落ちても人々は安倍蚤糞支持を止めないだろうな

故知らず電信柱傾きたればいつもの鳶頂きにとまらず

最後まで諦めなかった横綱を神も仏も見捨てなかった

食草を根絶やしにした人たちが蝶が減ったとみな寂しがる

現実に少しも向きあわぬあなたにははっきり言って失望したよと息子は嘆く

見る夢にだんだん粘りが無くなって来た寄る年並みのせいなのかどうか

困ったらとりあえず第3者委員会に丸投げてしばらく様子を見ることにする

できるだけ自我を離れて作歌するという君の主張は謎めいている

肝心の財布を忘れて街に出る我の阿呆よ阿呆の我よ

障がい児を持ちたることの喜びはどちらか死ぬまで一緒に暮らせる


   猛烈な勢いで死に向かってるなぜだかそれをいつも忘れて 蝶人
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新潮日本古典集成版「源氏物語五」を読んで

2017-09-09 15:49:04 | Weblog


照る日曇る日第989回


「若菜上下」「柏木」「「横笛」「鈴虫」を収めた本巻では、朱雀院の委託を受けた源氏が、紫の上の悲嘆を無視して女三の宮を正妻に迎え入れる。

これは丸谷才一氏がつとに指摘しているように、ギャルへの色恋ではなく、彼女が父朱雀院から寄贈された巨大な財産目当ての結婚だった。当時はまだ母権制の時代だったから親の遺産を娘も継承したのである。

院政時代に帝よりも財産と裏権力とを掌握しているのは上皇だし、制約だらけの帝時代と違って自由な生活も満喫できるから、みな帝位を譲っておいしい院に早くなりたがった。

朱雀院がどれくらいの荘園、牧場、宝物を持ち、それを愛する三女に譲っていたかについては「柏木」と「鈴虫」に詳しく触れてある。

膨大な遺産と栄耀栄華に目がくらみ、いつのまにか周囲への目配りを怠っていた源氏は、新婚時代から紫の上への気兼ねもあってろくろく女三の宮を抱いていない。そこに柏木が付け込んで彼女を強姦してしまった。昔々源氏が桐壺帝にやったことを今度は目をかけていた若造(昔々の頭中将、元太政大臣の息子)にやられてしまったのである。天網恢恢、天罰覿面とはこのことか。

病勝ちで出家しようとする朱雀院が、あまたの候補者(その中には柏木も源氏の息子の夕霧も弟の蛍宮もいた)の中から、眼の中に入れても痛くないほど可愛がっている愛娘を託したのは源氏だったが、我らが主人公はその信頼と委託に応えられなかった。

源氏の怒りに直撃された柏木はあわれ窮死し、女三の宮はあろうことか妊娠して薫を産む。六条の御息所の源氏への怨念はとどまるところを知らず、紫の上を重体に陥れ、女三の宮を唐突に出家させる。そんな母親の怨霊を鎮めようとこれまた出家を願う秋好中宮を、源氏は懸命にとどめる。


しかしてまさしくこの時点から、源氏の栄光の輝きは無明の闇に向かって暗溶してゆくのであったあ。


 ねうねうといとらうたげに鳴く猫を女三の宮の誘いと見做す柏木 蝶人

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西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧 補遺その2

2017-09-08 11:28:56 | Weblog


ある晴れた日に 第475回



その外人by thewayと言いて後我には分からぬジョークを言えり

大切なものをが捨ててしまったり重いウンチをトイレで流して

1冊の歌詩集のためにことごとく退職金を投じたる人

朝ドラはマクロで見ればみな同じ数年経てばみんな忘れ去る

新聞歌壇では天皇制の歌などは載せないだろうと自粛してしまう虚しさ 

遂に来た万人が万人の敵となるホッブスの夜がついにきた

京急の弘明寺公園の桜咲きプールに漂うわたしの屍体

小津映画では小津映画だけの喋りなり原節子も笠智衆も

我が為に72年働きし20の指は有難きかな

なにゆえに安倍蚤糞夫人を証人喚問しない極右夫婦の共謀を暴け
 
けふもまた脳科学者ちゃんがコメントすどおってことない普通のコメント

二番勝ち絶対優勝してやると心に誓いし一人の男

働けど働けど暮らし楽に成らず手を見ることもなくまた働く

核持たず原発持たず戰せず楽しく生きた愛犬ムクちゃん


 大いなるふぐりを2つぶら下げて天に向かってバレリーナは飛ぶ 蝶人

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西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧 補遺その1

2017-09-07 15:34:21 | Weblog


ある晴れた日に 第475回


ミネズオウてふニックネームの友人がおるミネズオウは妙なる高山ツツジ

赤信号で停まるたんびにエンジン止める新人運転手の律儀を愛す

ベランダより飛んだタオルが空に舞い躊躇してから木立に消えた

政策の是非はともかくさておき人々は義理人情で投票するらし

大統領が変わればこんなに変わるのかアメリカ日本世界全部が

本当にトランプは北を先制攻撃するのだろうかおらっちはまだ信じられない

明らかに特定の投稿者を贔屓にしている歌壇の選者よ我を贔屓せよ

シウマイという文字見ればシュウマイをすぐに食べたくなってしまう

この国では憲法よりも閣議決定が上の法律

ほんとうはみな「自分ファースト」なんだけど浅ましくて口に出してはいわないだけさ

1日に2食にすればスリムになり食糧危機にも貢献するだろう

洗濯物干しハサミが6カ国入り乱れ

風説に堪えて地獄に墜ちる人

風雪に耐えて嵐を呼ぶ男

「捨てればゴミ、捨てなければ資源」人間も

ただひとつ今日嬉しかったのは快尿でしたね

この人が有識者なのかと怪しみてその経歴を幾たびも読む

「お母さん治れ治れと言いましたよ」と私に告げる愛しき息子

自分さえ良ければいいと言いだした餓鬼大将を叱るのは誰

第一に考えるのは私ですその次に考えるのも私です

障害を持つ長男を丸投げにしないでほしいと次男は訴う


    好きな人より嫌いな人が増えていくやや憂鬱な私の晩年 蝶人


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最果タヒ著「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を読んで

2017-09-06 13:47:07 | Weblog


照る日曇る日第988回


本書を初めて読んでの感想は、これはかつてかの折口信夫が言うておりました唱導文学、説教文学の現代版ではなかろうか、というものでした。

わが国には中世末からの語り物文芸の伝統がありまして、その流れを汲む「説教節」は明治大正にかけてかの有名な添田唖蝉坊の「ノンキ節」や「新トンヤレ節」を産出しましたが、その平成版がこの詩人のこの詩篇に該当するような気がいたします。

「生きている人がきみにできるのは、裏切りだけかもしれないね」(「水野しずの詩」)

「死んでしまうことを不幸だと思うなら、生きていくこともできない」(「とあるCUTE」)

「孤独な人ほど、きれいな人生」(「きれいな人生」)

などという「お筆先箴言」風のフレーズは、人世の因果律を説く説教詩、唱導詩であり、添田唖蝉坊が女性に生まれ変わった最果タヒという宣教師は、かつて昭和に尾崎豊がそうしたように、平成最晩年の若者たちに向って壇上から道学者風の真摯な生き方を歌い、教え、諭しているのです。

けれども詩はついに人世案内の呪文ではなく、詩人は悩める羊たちに対する牧者ではないのです。


 ゴーストバスター鳴り響くメッツ球場大暴れする大リーガー青木 蝶人

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ジョン・アーヴィング著・小竹由美子訳「神秘大通り 下」を読んで

2017-09-05 11:52:14 | Weblog


照る日曇る日第987回



アーヴィング最新刊の特色は、今までにもよくあったことだが、読者の心にしっくりと馴染んだ登場人物をあっけなく殺してしまうことだが、それは本巻においても例外ではない。

あんまり頻繁かつ効果的にそれがやらかされると、なんか文学形式の定番か作家の個人的趣味ではないかと疑いたくなるときもあるが、そうではなくてアーヴィングの死生観、それもなんとなくアーヴィング一流の諸行無常色即是空万物流転転生的仏教的宗教観によるものではないだろうか。

この作品ではカトリックの老神父や修道士、神学生が活躍するばかりか、南米特有の「黒い聖処女マリア」がとりわけ重要な役割を演じており、登場人物の遺灰をめぐる悲喜劇や、マリアの「奇跡」が物語の核心を構成している。

もちろんアーヴィングは、冷徹な無神論者である医師を登場させて、カトリックの非化学的な教義や儀式、法王庁の形骸化に対して批判的な言辞を弄してはいるのだが、医師はどうやら奇跡そのものを否定していないようにみえるし、この小説の主人公が、夢と現実、主観と客観、此岸と彼岸を混淆した多元的人世世界を瞬間ごとに往環する超自然的なあり方を人間の「真正な生き方」として是認しているようにみえる。

作家は、悪くするとスピリチュアルやオカルトになだれ込む一歩手前で踏みとどまり、現代社会にあって宗教の果たす役割、現代人の神との新しい付き合い方についてもういちど深く考えようとしている。

本作の構成が、時系列に従わず、時間の階梯を(しかも終わりに近づくにつれて頻繁に)螺旋状に飛ぶように設計されているのはその証左ではなかろうか。

とまあそんな胡乱な解釈は明後日の方角にうっちゃって、私たちはこの小説の登場人物の大半が、精神や肉体の障がい者やLGBTの人々であることに注目するべきだろう。

この作家は、すべての健常者は障がい者であり、すべての障がい者は健常者であると知っているのである。


 ナチス大好きの副総理てふきちがいが選挙大好ききちがいをきちがいといふ 蝶人

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自由律詩歌その26

2017-09-04 11:30:11 | Weblog


ある晴れた日に第474回



こあこあこあ

こいこいこい

こうこうこう

こえこえこえ

こおこおこお

こかこかこか

こきこきこき

こくこくこく

こけこけこけ

ここここここ

こさこさこさ

こしこしこし

こすこすこす

こせこせこせ

こそこそこそ

こたこたこた

こちこちこち

こつこつこつ

こてこてこて

ことことこと

こなこなこな

こにこにこに

こぬこぬこぬ

こねこねこね

このこのこの

こはこはこは

こひこひこひ

こふこふこふ

こへこへこへ

こほこほこほ


  この男そもそもよからぬ奴なので民草の支持どんどん離れる 蝶人

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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第50回

2017-09-03 10:58:36 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 257


ジャンヌ・モローよりも級友の突然の訃報に驚く。スロープ下の03部室で「経哲草稿」読みながら、05部室で「軽薄なミュージカル」にうつつを抜かしている彼を軽蔑していたものだが、思えばあれから半世紀の歳月が流れ去ったのだ。8/1

朝ドラ「ひよっこ」では、お父さんが記憶喪失だというので娘が泣いているし、「やすらぎの郷」では、戦争責任を問うルポライターが、往年の大女優を泣かせている。トランプや安倍蚤糞騒動がドラマチック過ぎるので、ドラマは絵空事の世界に徹することに決めたらしい。8/2

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。木曜ドラマ「黒革の手帖」の武井咲の小股の切れあがった着物姿が最高に美しい。「徹子の部屋」や「やすらぎの郷」に出てくるばあさん連中とは、月とスッポン、雲泥の差だ。8/3

その資質も能力も理想も理念もない連中が、富と権力を求めて政権党の政治家を目指し、たまたま大臣や役員や宰相になると、たちまち馬脚を現わして民草に多大なダメージを与えるのだが、恬として恥じることもない。8/4

連続ドラマの「ダウントン・アビー」に続いてサラ・リース役のレイチェル・ディピロが出る「シカゴ・メッド」が終わって悲しいな。同じシカゴ話で、私の大好きな大リーグの「シカゴ・カブス」のジョー・マッドン監督は素晴らしい。ブリュワーズを抜いてトップに立った。8/5

問題閣僚の首をすげ変え、ちょっと毛色の変わった外相や総務相を任命しただけで、安倍蚤糞内閣支持率を9ポイント上昇させるとは、なんと愚かな人たちだろう。8/6

野党が臨時国会の開催を要求しているにもかかわらず、「何事も謙虚に反省して丁寧に説明することにした」安倍蚤糞は無視しているが、憲法に定められた義務を放棄する者は直ちに投獄すべきではないだろうか。8/7
名前がつけられなければ、存在しない。byローラ・ウイング
(スティーブ・シルバーマン「自閉症の世界」より)8/8

「ドストエフスキーのなかには、トルストイのなかで花開くことになるものが、いまだ緊張して不満げな形ではあるけれど、うんと詰め込まれているんだ。ドストエフスキーには、やがて弟子たちが明るいものとするプリミチフ派のような先駆的陰鬱さが見られるのだよ」プルースト「失われた時を求めて11」8/9

衆参両院で閉会中審査を行っているというのに、NHKは悠然と高校野球を放送している。こういう姿勢のいったいどこが公共放送なのか教えてもらいたい。8/10

大阪で橋下を、東京で石原や小池を熱狂的に支持した日本大衆の心性の奥には、かつてヒトラーやムッソリーニや東条に捧げたものと同質の狂信的なファナチズム、盲目的なポピュリズムがあやしく息づいている。8/11

くるくるぱーのくせに向こう意気だけは強い大統領と北朝鮮の首領のとばっちりで、史上最悪の災厄に見舞われるのだけは勘弁してほしいずら。8/12

それにしても気狂い独裁者に盲導されているとはいえ、吹けば飛ぶようなアジアの小国が、ポチのご主人様とサシで相撲を取っている点だけは見習ってもよいだろう。8/13

短歌は文語体で書く人が多いようだが、なんかそうせねばらならない理由や理屈でもあるのだろうか? 旧来の日本文化を死守せねばらなぬとかの。しかし文語体の短歌の多くは、旧カナを使っていても旧漢字は使わないものが多い。なぜだろう?8/14

小説やエッセイと同様に、短歌の主語を我とするか私とするか、はたまたわたくし、あたし、僕、自分の姓名に据えるかによって短歌全体の骨格が変わってくる。主語を隠すか無きものにした場合はもっと変容してくる。8/15

私は短歌については素養もなく、秘密結社での研鑽も積まなかったので、はじめから口語体で詠んでいるのだが、そのスタイルの中にあってはじめて自分が自分であり、自然体で歌うことができるようだ。8/16

偶に短歌を文語体で詠んでみると、自分が平安時代の俄か貴族や歌人どころか、エスペラント語を駆使する怪しい人、偽の自分になったような気がして、どうにも落ち着かない。でも普段から文語をたしなむ歌人は、それが楽しくて病みつきになるのかもしれない。8/17

子供の頃の戦争ごっこは楽しいものだったが、あまりにも楽しすぎて、大人になってもやめられない連中がいるようだ。8/18

テレ朝の「やすらぎの郷」は、倉本聡のやりたい放題。ついに過激老人たちによる「金玉潰し」が登場した。婦女暴行したならずどもに対するお仕置きをテレビで映像化したのは、はじめてではないだろうか。8/19

「大きくなったら何になりたいですか?」「仮面ライダー」。
「本当になりたいのはなんですか?」「ゴレンジャー」by寺島眞秀くん4歳。8/20

遠からずトランプは自壊して政権を投げ出すだろうが、そんな史上最低の阿呆莫迦野郎に地獄の底まで追従していくのが世にも哀れな安倍蚤糞なのである。8/21

口を開けば日米同盟の強化狂化とほざいているが、狂犬トランプのお供をして吠えずらをかく前に米国から離脱、独立してすべての国との等距離外交を開始する心準備をするべきではないだろうか。8/21

今季のテレビドラマでは「やすらぎの郷」を別にすると「セシルのもくろみ」と「黒革の手帖」が面白いなあ。と思っていたら、昨夜は「直虎」が、嫌われ者政次を「愛の槍」で刺し殺した。凄いなあ、まるでキリストの受難劇のようやったねえ。8/21

安倍蚤糞を筆頭に、アサド、トランプ、プーチン、エルドアン、金、習、ドゥトルテ、バグダディなどの、全人類の中でもとっておきの屑が有名国の指導者だというのだから、トンデモナイ話だ。8/22

ドイツのヒューゴー・ボスがヒトラーに心酔し、ナチの親衛隊や突撃隊の制服をデザインした故事を思えば、いっけんイデオロギーとは無関係にみえるデザイナーにも、政治責任があることがよく分かる。8/23

1928年のドイツ総選挙ではマルクス主義政党が軒並み票を落とし、ワイマール共和制を主導する社会民主党が第一党となったが、ナチ党はわずか2%・12議席しか得票がなかった。ヒトラーが世界恐慌で107議席を得て第2党に大躍進するのは、その次の1930年の総選挙である。8/24

憲法、安保、原発、消費税のいずれをとっても各人各様、てんでばらばらな民進党。自民と同じくらい右翼的な前原より枝野の方がはるかにまともな政治家だが、どちらが党首になっても、いまと同様どちらの方向にも進めないだろう。8/25

小池都知事とそのファシズム御用達政党がだんだんその地金を現わしてきた。彼らの右翼的な本性は、朝鮮人学校への補助金打ち切り、関東大震災の朝鮮人犠牲者への追悼文中止などを皮切りに、ますます露骨になってくるだろう。8/26

時々NHKの 『TOKYOディープ!』などで、生方ななえという背の高いモデルを見かけるのだが、なかなかいいなあ。ほかの人はどうでもいいから、もっと彼女を出演させてほしいものだ。8/27

私の個人的な評価では、金正恩の気狂い度は98だが、トランプのそれは99とワンポイント上回っており、彼奴が早まって核ミサイルのボタンを誤って押しちまう確率は、関東大震災が再来する確率より少し高い。8/28

「あれもいい。これもいい。みんないい」というチャンプラリズムの元祖、照屋林助は1990年に「コザ独立国」を宣言、みずから終身大統領に就任したが2005年3月、75歳で逝去、同年5月に国葬が行われた。8/29

北朝鮮のミサイルが飛んでくるたびに無様に右往左往するのではなく、あらかじめそれが飛んでこないように、安保政策、日米同盟の見直しを含めて、ありとあらゆる外交手段を駆使するのが自立した政府の仕事なのである。こら、聞いているのか安倍蚤糞。8/30

夏には大勢人が死ぬ。大女優のジャンヌ・モローに比すべくもないが、ミレーユ・ダルクという女優、というよりアラン・ドロンの元愛人も死んでしまった。どことなく愛くるしい顔立ちだったなあ。8/31


   戦争をするのかどうか問われても明言避けて手札見つめる 蝶人


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なにゆえに第42回~西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2017-09-02 12:30:47 | Weblog


ある晴れた日に第473回


なにゆえに井出隆夫の訃報が出ないジャンヌ・モローは大きく出たが

なにゆえに夜中の地震に恐怖がつのるカタストロフは遠からず来る

なにゆえにエイコさんは余のケータイ・トラブルを解決黒頭巾心優しい理系だから

なにゆえに急にペコペコご機嫌をとる安倍内閣の寿命は尽きてる

なにゆえに内閣支持率が9%も上がったあな素晴らしや内閣改造

なにゆえに人気者も下降する高安稀勢の里錦織圭

なにゆえに日本の政治は変わらないこれでもいいとみな思っている

なにゆえに河野外相に期待する大臣病患者の単なる党員

なにゆえに核兵器禁止に賛同できない相合傘を出られない

なにゆえに「国民ファースト」ならぬ「日本ファースト」極右の正体露骨に見せて

なにゆえにチキンゲームをもてあそぶ「理由なき反抗」を地で行く2人

なにゆえに夏の盛りに雨が降るこれでは耕君と海に行けない

なにゆえに「初五」といわれてわかんない俳句なんか詠まないからな

なにゆえに白人至上主義を非難しないトランプ自身がそうだからな

なにゆえにお盆休みの天気が悪い全国の家族連れが可哀想ではないか

なにゆえに侵略の事実を忘れたがる次回の侵略に備えるために

なにゆえに平地に乱を巻き起こすトランプは敵がなければ生きられない

なにゆえに雨の中でもセミは鳴く生きている間に子作りするべく

なにゆえに糖尿病の疑いが出る耕君は甘いジュースを飲み過ぎる

なにゆえに甲子園で凹み帽がはやるスポーツセンスがまるでないのに

なにゆえにささいなことで不機嫌になるお互い不出来な人間なので

なにゆえにお盆過ぎてのカンカン照りそもそもお天気はお天気屋さん

なにゆえにまだ臨時国会を開かない憲法に逆らう悪辣猪八戒

なにゆえに原田選手は身罷ったまだ58の働き盛りにして

なにゆえに夜の小川で舞い踊る生きてるだけでウナサブローは楽しい

なにゆえにウナサブロウは現れた亡き原田選手の身代わりとして

なにゆえに「愛と感動」を叩き売る視聴率を24時間叩き出すべく

なにゆえにアマゾンのタイムセールで衝動買い900円のランプが800円になる

なにゆえに何匹も何匹も犬猫を飼う1匹だけを熱愛しなさい

なにゆえに青木をあっさり解雇するイチローなんかより活躍していたのに

なにゆえに米朝の戦争ごっこに悪乗りする空襲警報なんか出しやがって

なにゆえに北朝鮮ミサイルでらあらあ騒ぐ安倍蚤糞の最後のあがき

なにゆえに舗道に栗が落ちている今日から9月になったからだね


なにゆえに師団長は司令官に請け合う「5千人殺せばインパールは陥ちる」と 蝶人


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西暦2017年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2017-09-01 10:56:57 | Weblog


ある晴れた日に第472回


くねくねと天然ウナギは踊ってるウナサブロウよ人に食わるな

ベートーベンて誰のことだいとルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェンがいう

教会の階段を降りてくる洒落たコート瀟洒な口髭の男は本当にプルーストだろうか?

長女死しまもなく病で斃れたり絵描きの野蛮人萬鐡五郎

モーレツに宣伝しているが私にはさっぱり効かないサントリーのセサミン

どの山も同じように見えてくるNHKの「日本百名山」

美しいデザインとして完成しているが誰一人読まないエンドクレジット

コイノサシミなどはどこへ行ってしまったのかあちこちさすらう「やすらぎの郷」

野際陽子が「やすらぎの郷」に出ている限り野際陽子は生きている

今月のお薦め品を頼んだら生協の兄ちゃん嬉しそうに笑う

私が短歌をひねるその間家内はせっせとトイレを掃除す

ヤマカガシを首にぐるぐる巻きつけて遊んでいたのは我が家のケンちゃん

健ちゃんが帰ってきたさかいわいらあみなほんまにうれしゅうてかなわんわ

健ちゃんが帰ってしもうたさかいわいらあみなほんまにかなしゅうてかなわんわ

米国のリトルボーイに殺されしヒロシマの民みな立ち上がる朝

米国のファットマンに殺されしナガサキの民立ちて歩めよ

「ファースト」てふ名辞だけで成立している世にも不思議な政治団体

どうしたらミサイル発射止めてくれるか金正恩に電話してみろ安倍蚤糞

トランプと金正恩の2人だけで死ぬまでやりなよ地球場外プロレス

安倍、アサド、トランプ、プーチン、エルドアン、金、習、ドゥトルテ、バグダディ屑

誰一人見る者もなく散り果てし月下美人のひともとの花

肺がんで72歳で亡くなりし友を偲びて「ありがとう・さようなら」

最後まで守ってくれるはずの人物に刺し殺されし子の驚きと悲しみ

死ぬときはわいらあたった一人やたのんまっせみすてんといて

死ぬときはわいらあたった一人なんやたった一人で死んでいくんや

葬式も火葬納骨供養なき「無葬」てふ最期になぜか惹かれる

とりあえず必要なのはやはり金それと喪服に香典袋

喨々と油蝉鳴く真昼かな 

心頭は滅却したがそれでも暑い
 
長崎の少年帰天し葉月尽 

          今宵だけは涙惜しまず葉月尽 蝶人

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