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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

家族の肖像~親子の対話その41  

2019-02-11 15:03:25 | Weblog


ある晴れた日に 第551回


お母さん、イソウロウってなに?
何もしないでおうちに居続ける人のことよ。

ぼく、光触寺と報国寺好きですお。
そうなの。じゃあ行きましょうか?
いやですお。

ぼく、岡田准一になりました。
こんにちは、岡田准一さん。

お父さん、加藤の藤は、藤沢の藤でしょ?
そうだね。
ぼく、藤沢好きですお。
そうなんだ。

ぼく、ふじさん牧場、好きですお。
そうなの? そういう牧場があるの?
ありますよ。

明日は図書館行ってえ、西友行きますお。
分かりました。

どうぞお入りください、どうぞお入りください。
「どうぞお入りください」って誰に言われたの?
小児療育で。

ササキマサミ先生、なんで小児療育やめたの?
定年で、だよ。

ぼく、イクタナオヤ君、好きですお。
イクタ君、どうしてるんだろうね?
わかりませんお。

ぼくは、線香花火、好きですお。
そうか。今年の夏にやろうか。
やらなくていいですお。

太田胃酸、胃が痛いときでしょう?
そうだよ。耕君、胃が痛いの?
痛くないお。

ぼく、オオヤさん、好きですお。
そう、お母さんも。
オオヤさんが「お仕事がんばってね」と言ったお。
そう。良かったね。

お父さん、比嘉さん、泣いてたよ。
そう。「比嘉さん泣くなよ」と言ってあげなよ。

お母さん、おくれてるみたいって、どういうこと?
おくれてることよ。

お父さん、イグサ、水の中でしょう?
そうだね。

証明ってなに?
どうしたらこうなるかっていうことよ。

お母さん、なんとなくって、なに?
お母さん、なんとなく、耕君好きです。

お母さん、集金ってなに?
お金を集めることよ。

お母さん、われらって、なに?
わたしたち、ってことよ。

ぼく、学校、好きですお。
そうなんだ。どこの学校?
鎌倉の。

お父さん、ホームって、とまるところでしょ?
そうだね。
お父さん、ぼく八百屋さん、好きだお。
そうなんだ。

お母さん、お腹いっぱいって、なに?
お腹いっぱい食べることよ。

お父さん、うろついちゃダメでしょう?
そうねえ、うろついちゃダメだよ。

お母さん、髪の毛をバサっとしてください。
はいはい、分かりましたよ。

お母さん、今日トマトシチュウとサケご飯にしてね。
はい、分かりましたよ。


 虐待で殺された栗原「みあ」さんを勝手に「ゆあ」さんと呼ぶ安倍蚤糞 蝶人

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多和田葉子著「穴あきエフの初恋祭り」を読んで 

2019-02-10 13:29:18 | Weblog


照る日曇る日 第1198回



題名からして童話ではないかと想像していたら、そうではなくて短編小説集だったのであてが外れたが、どの作品も、ちょっと奇妙な味わいの大人の童話、というても差し支えないでしょう。

極力本邦伝統の私小説の趣から遠ざかり、独自の「乾いた新小説」の世界を築き上げようと努めているようだが、読んでそれほど面白くないのは、著者の文学観と感性がそれほど斬新なものではないのに、表現方法や構成法でなんとか21世紀先端派的な新奇さを演出しようとするその意欲が、かえってうわ滑りして裏目に出ているのでしょう。

あんまりぐあんばったりいきんだりせず、普通のことを普通に書いてもらった方が、読むほうとしては助かります。



  大雪だあ大雪じゃあと騒いたが雨に変わりて今朝は快晴 蝶人
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幸いなるかな 

2019-02-09 13:32:14 | Weblog


これでも詩かよ第253回


コウ君が笑うと、世界が輝く。
ケン君が笑うと、世界が揺れる。

私が笑うと、突然、世界が歪む。
そこで、ミエコさんが笑うと、世界が溶ける。

ああ、幸いなるかな、
まだ笑うことができる者たちよ。

幸いは、微笑みの中にある。
そのとき世界は、われらのものだ。


  「お母さん大好きですよ」「お母さんも耕君のこと大好きですよ」 蝶人
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自由律詩歌 その40 

2019-02-08 13:08:22 | Weblog


ある晴れた日に 第550回

ひきひきひき 
ひくひくひく
ひけひけひけ
ひこひこひこ
ひさひさひさ
ひしひしひし
ひすひすひす
ひせひせひせ
ひすひすひす
ひせひせひせ
ひそひそひそ
ひたひたひた
ひちひちひち
ひつひつひつ
ひてひてひて
ひとひとひと
ひなひなひな
ひにひにひに
ひぬひぬひぬ
ひねひねひね
ひのひのひの
ひはひはひは
ひひひひひひ
ひふひふひふ
ひへひへひへ
ひほひほひほ
ひまひまひま
ひみひみひみ
ひむひむひむ

筑波大に有無を言わさず呑みこまれ殲滅されし教育大文学部 蝶人
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大江健三郎著「大江健三郎全小説4」を読んで

2019-02-07 14:21:21 | Weblog

照る日曇る日 第1197回


2段組638頁の本巻には、「父あるいは天皇制」をテーマとした「父よ、あなたはどこへ行くのか?」、「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」「みずから我が涙をぬぐいたまう日」、「水死」を主軸に、60~70年頃に書かれた中短編「狩漁で暮したわれらの先祖」「生け贄男は必要か」「アトミック・エイジの守護神」「走れ、走りつづけよ」「月の男」「核時代の森の隠遁者」の10本の力作が収録されている。

やはりなんというても2009年に書かれた大長編たる「水死」が最高に読み応えがある。ここに収められたすべての小説が扇の根元である「水死」に還ってくるような印象を受けるくらいだ。

「水死」ではもちろん敗戦直後に謎の死を遂げた主人公の父親にまつわる詩と真実が中核となっているが、漱石の「こころ」の先生の死の謎、森と水の神話、国と郷、戦中と戦後、男と女、芸術と日常、健常と障害、政治と性などいくつもの主題が大河を流れゆく三椏の束のように点滅し、圧倒的なクライマクスと共にその奔流が永遠の一時停止状態に入る。

読者に向って投げられた問いかけは、小説の枠を飛び出してまるでナイフのように読者の胸にざくざくと突き刺さっている。私小説、死小説にして奇跡的な全体小説、これぞ大江文学の最高の到達点だろう。

蛇足ながら初読の際の感想をつけたしておきまする。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1419435341&owner_id=5501094


  千円のシャツを買いきて思うこと こいつは俺より長生きをする 蝶人
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「夢は第2の人生である」改め「夢は五臓の疲れである」 第68回 

2019-02-06 09:14:34 | Weblog


西暦2018年文月蝶人酔生夢死幾百夜


不思議なことだ。あんなに滅茶苦茶に汚れていた部屋が、私がベッドで眠っている間に、塵一つない整然としたピッカピカの部屋に、生まれ変わっていたのだ。7/1

さるアーチストから連絡が入って、開場寸前の展示会の出品商品を、急遽差し替えることになった。差し替え品には、赤いシールを張り付けることになったのだが、すでに全商品に貼ってあるので、どうしていいか分からず、スタッフは大混乱に陥った。7/2

ラフマニノフの8枚組CDの廉価盤が、タワーとHMⅤの両方から出ているのだが、どちらが安いのかが分からないので、どっちに発注しようかと、迷いに迷う愚かなわたし。7/3

私のライバルの辣腕女プロデューサーは、とても陰険な女性で、上司やスポンサーに、私の悪口をさんざん吹き込んだので、最近はさっぱり仕事もなくなった。このままでは、首を斬られてしまうにちがない。7/4

今夜は満月なので、ドビュッシーが「月の光」を弾いたり、「月光の会」の面々が、月に向って、なにやら叫んでいるようだ。7/5

モザールの「フィガロの結婚」の第4幕の演奏中に、突如R.シュトラウスの「薔薇の騎士」の第3幕が乱入してきたので、オペラハウスは大混乱に陥った。7/6

安倍蚤糞が、国民に薬品の売れ残りの在庫を買い上げるよう、町内会を通じて強制割り当てしてきたので、頭にきた一部の民草は、ついに武装蜂起して蚤糞夫妻を血祭りに上げた。7/7

岩波書店から、子規の3面立体漫画が発売された。1点を中心として3方向に展開される絵巻物なので、3人が同時に読めるが、1人の人が、全部を読み終わるのには、時間がかかる。7/8

その時、俄かに美しい旋律が、私の脳内に湧きおこったので、私はこのメロディを伴奏にしながら、キャメラがヴェネチアの浜辺で遊ぶ幼子の上を、アドリア海に向かって前進していく映像を思い浮かべ、恍惚となった。7/8

確かここら辺に、ワーナー映画の新社屋があるはずだと思って、ビルジングの裏表を歩き廻るのだが、第3次世界大戦後の銀座は、すっかり様子が変わってしまったので、なかなか試写室に辿りつけないでいる。7/8

一度語られた文章は、ただちに一枚の平面と化してしまう。それを、私の手を使ってぢかに修正することは無理なので、器具を用いて、周囲から削ったり、付け加えたりすることしかできない。7/9

ローマでは、(私はまだ行ったことがないのだが)、ホテルのレストランの有名シェフに懇意にしてもらったが、別れしなに「今度来るときは、パイオニアの営業マン抜きで、直接私のところに来なさい」と囁いた。7/9

ここ中国だか、アラビアだかのホテルでは、何を頼んでも、3羽の鶏を持ってくる。赤、青、白の鶏たちは、その3色の組み合わせを巧みに利用して、(私らのリクエストに応えたり応えなかったりしながら)、卵や、オムレツや、スープや、卵焼きなどを、産み落とすのだ。7/10

この魔法のホテルでは、お客が困ったときに備えつけの「アラジンランプ」を押すと、ただちにアラジンが出てきて、いかなるリクエストにも応える、というので、世界中にその名を知られていた。7/11

「どっちにしても、ナミさんは、ミチオについて行ったんですよね」と、その小説を読んだ生徒は、短い感想を述べた。7/12

「大声でしゃべると、それだけで爆発するおそれがある」、というので、わたしらは「ダイジョウブ、ダイジョウブ」とささやきながら、人質の全身に巻かれている爆弾爆発誘導ロープを、ゆっくりゆっくり解いていった。7/13

国民は、国の命令で、おおかたのデータを自発的に抹殺したが、ハメ撮りの生動画だけは残して、ひそかに天井や床下に隠匿した者が多かった。7/14

家族共同で制作した、手作り絵本のダミーを、らんか社のタカハシ社長のところへ持参しようか、それともやめようか、と、悩みながらまんじりともしない間に、夏の熱帯夜は明けていった。7/15

真夜中に物音がするので、階下に降りてみると、ケンの友達のタカギ、オオキ、ヒデポンなど数名が、捨て犬ともども、我が家のタタキに寝転んでいた。7/16

百貨店との取引の改善について、一知半解のうろんな言説を唱えたら、大勢の知人から反論が殺到して、冷汗三斗だった。7/17

韓国へ行った時に、赤い壺をお土産にして「これは、日帝が朝鮮半島を侵略したおりの、血染めの壺だよ」と説明したのだが、誰も喜ばなかった。7/18

私は、その超大物ⅤIPの殺害に失敗した。しかし、その後ある女が、そいつを見事に仕留めたのだが、官憲に逮捕され、裁判の結果、ただちに死刑に処されてしまった。7/19

こないだやっつけたはずの男が、まだ生きていて、ではたったひとつしかない、泉の水を飲ませろ、というたので、問答無用と、カノン砲で粉砕してやった。7/20

何とかして、その女の気を惹こうと、いろいろ働きかけたり、欲しいというものは何でも買い与えたが、それがすべて逆効果となり、彼女は、若い男の誘いに乗って、どこか遠いところへ逃げて行った。7/21

胸を張って、「私は、常に自分に嘘のない仕事をしてきたつもりです」と語るサクライ氏の背後の塀のブロックには、彼のこれまでの業績が、具体的かつカラフルに、一枚一枚表示してあった。7/22

わいらあ、すべてをみそなわす、在天の法王様の軍隊によって、ギタギタに粉砕されてしもうたんや。7/23

私が、早撃ち王であることを自覚したのは、たまたま出場した、村の早撃ち大会で、優勝してからのことだった。7/25

東京から大阪に出張したら、予想以上の暑さなので、熱中症になってしまい、白昼の太陽がくわっと照るつける御堂筋を、よろよろ歩いている。このままでは、死んでしまうに違いない、と思いつつ、それでも、よろよろ歩いている。7/26

東京駅からスカ線に乗って、鎌倉まで帰ってきた私は、網棚から荷物を降ろそうとしたのだが、同じような紙袋が、ぎっしり横一列に並んでいるので、どれが私のペーパーバッグなのか、てんで分からない。はてさて、困った困った。7/27

オペラハウスに入ると、座付きの管弦楽団が、マーラーの最後の交響曲を演奏していた。ただ私ひとりのために。7/28

世の中がだんだん不景気になってきたので、わが社では、請求書の金額欄を3行にして、1行目は本体価格、2行目は消費税、3行目はカンパ指定金額を書くことにした。7/29

あれから30年、僕はすっかり腐敗堕落したカメラマンになり下がってしまい、顧客がリクエストしたものを、そのとおりに撮影するだけの、ロボットのような存在になってしまった。7/30

あまりにも暑いので、これはもしかすると熱中症で死んでしまうぞ、と思いながら寝ていたら、誰かがエアコンのスイッチを入れたようで、部屋の片隅から涼風が入り込んできたので、一息つくことができた。7/31

  百両と千両の違いすら分からぬこの俺が金持ちなんかになれるはずない 蝶人


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ルイス・キャロル作・脇明子訳「鏡の国のアリス」を読んで 

2019-02-05 09:17:33 | Weblog


照る日曇る日 第1196回


「不思議の国のアリス」の続編であるが、正編と同様さほど面白いものではなく、まして世紀の傑作であるなどと泣いて喜ぶほどのファンタジーでもない。

「不思議の国のアリス」ではトランプが出てきたが、本書においてはナボコフの「ルージン・ディフェンス」同様、チェスとそのゲームの規則が出てきてちと鼻白む。かの国の人たちは、よっぽどこのゲームが好きなんだな。

でもアリスをとりまくキャラクターは相変わらず多士済々で、ハンプティ・ダンプティ、トゥイードルダムとトゥイードルディー、ライオンとユニコーンなどの登場は忘れがたいものがある。

  「愚か者」「慌て者」と「怠け者」三つのうちから一つを選べ 蝶人
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新潮日本古典集成新装版・小泉道校注「日本霊異記」を読んで

2019-02-04 17:21:49 | Weblog


照る日曇る日 第1195回



奈良時代の薬師寺の僧、景戒が主に聖武天皇の御代の事跡を中心にコレクトした多種多様な勧善懲悪譚であるが、その顕現の在りように霊異的な類例があるので、このようなタイトルになった。らしい。

正式には「大日本国現報善悪霊異記」と称するようだが、いわゆる「親の因果が子に報い」というやつを、己の実例も含めて上中下巻の合計116発も本気でぶちまけられたら、ダンテの「神曲」同様いささか動揺する。

その一例を挙げてみましょうか。

昔ひとりの比丘ありき。山に住みて座禅しき。食事の度に鳥に与えていたが、ある日石ころを庭に投げたら、鳥に当たって死んじゃって、それがイノシシに生まれ変わったが、ある日そのイノシシが、山の崖から落とした石が転がり落ちて、下にいた比丘に当たって死んじゃった。無意識に罪をなせば、無意識に報復されるのである。(下巻の冒頭より意訳)

閻魔様だって頻繁に登場するので、怖いなあ。

さりながら仔細に点検すれば眉唾物も三々五々紛れ込んでいて、かの悪辣な藤原氏に陥れられた長屋王とその息子を当時の権力者に忖度するかのように悪しざまに表記したり、母親に負担をかける障害児を深き淵に投げ入れよと行基が言うたのは、赤子が前世で取り損ねた借金をそうやって取り返していたのだ、と種明かししたりするのは、いかにも見え透いた作り話のようで、読むほどにシラケてしまう。

これでは長屋王も障害児も死んでも永久に浮かばれまい。

さりさりながら、おっぱいをベロっと出して児に乳をやる母親や、蛇に犯されてその虜になってしまう女、大船を曳いたり、相撲取りなんか軽く投げ飛ばしてしまう快力無比の大女など、奈良時代の多種多彩な女性像が生き生きと描き出されているのは、読んでいても楽しいのでしゅ。



 我のことを呼び捨てにする上司あり心の底でいたく憎みき 蝶人
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国立能楽堂で第28回能楽若手研究会をみききして

2019-02-03 10:55:44 | Weblog


蝶人物見遊山記第303回



今回の出し物は、舞囃子が観世流の「高砂」、金春流の「忠度」、喜多流の「唐船」、独吟が宝生流の「羅生門」、狂言が和泉流の「蚊相撲」、能が観世流の「胡蝶」と宝生流の「春日龍神」でした。

育成の会とはいえ、栗林祐輔選手の笛と喜多雅人選手の伸びやかな声音以外にさしたる注目の若手は不在の中、やはり、というか、かえって、というべきか、光彩を放ったのはベテラン勢の安定した芸格。とりわけ「忠度」のシテ金春安明の悠揚迫らぬ立ち居振る舞いはただ立って歩いているだけで涙が零れるくらいの至芸でした。

余談ながら「胡蝶」について一言。

詞によれば、この蝶はどうやらキチョウらしい。舞台には紅梅が飾ってありましたが、キチョウに限らず、本邦の蝶は紅梅には寄り付きません。稀にナミアゲハやモンシロチョウが白梅に飛来することはあるものの、食草とは程遠い無縁の樹木なので、蜜も吸わずにすぐに飛び去ってしまう。

あまつさえ、夜中まで前後左右を飛び回って朝霞と共にいずこともなく消えうせた、なんちゅう噺には、元昆虫少年にとっては金輪際受け入れられない不毛なる演目。せめて中入や衣装の着替えなしで演じてくれれば少しは冗長を免れるのにい、と思いつつ、晴天の千駄ヶ谷を後にしたことでした。


  妻・母・祖父みんな移民のトランプが声高に説く移民制限 蝶人



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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第65回

2019-02-02 08:50:50 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.303


年が明けたが、なんの感慨もない。徒に馬齢を重ねてやろうと思うのみ。去年と変わらない青空をきれぎれの白い雲が流れている。あ、そうだ元旦の朝の残んの月と金星は、殊のほか綺麗でしたね。1/3

モザールのピアノソナタの第3楽章は、快速調ではあっても、その前の楽章のテーマを再現したりすることが多く、いわば回遊式の庭園を逍遥しているような趣があるので、私はまったくさにあらざる前進的なアレグロを散文詩で表現したいと夢想した。1/4

「顔の輝かない人は決して星になることがない。」ウィリアム・ブレイク「地獄の格言」土居光居訳1/5

「自己の翼を以て飛ぶ鳥は、高く翔りすぎるということはない。」ウィリアム・ブレイク「地獄の格言」土居光居訳1/6

あんな悶え顔して差し伸べる「天城越え」なんてもう聞き飽きた。繰り返し唄う方も嫌になるだろうが、聞く方はもっと嫌だ。もういい加減にして欲しい。「アンコ椿は恋の花」と同様に、まそのお、ゆわゆる賞味期限が尽きたのだ。1/7

1968年、一艙の船で南米ブラジルに渡った日本人家族の軌跡を記録したETⅤ「乗船名簿AR29」は、これを見ずして何を見るのか!という至高のドキュメンタリー番組。半世紀に亘って取材し続けた元NHKディレクター相田洋氏の執念が乗り移っている。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259617/index.html 1/8

孔雀の高漫は神の光栄である。山羊の淫欲は神の寛容である。獅子の憤怒は神の知恵である。不仁の婦人の裸体は神の御業である。ウィリアム・ブレイク「地獄の格言」土居光居訳1/9

昨日ユニクロに行ってチノパンを買ったら値段が2千円も違っていたので返品しようと思って今日また行ったら昨日買って早速履いていたジーンズがずり落ちそうになったのでまずこいつから返品しようとトイレに行って当初返品しようと思っていたチノパンに履き替え売り場に行ったら値段はおらっちの勘違いでそのうえ「試着室で忘れ物ですよ」と鞄を持ってきてもらう始末。1/10

いくら「最終的かつ不可逆的」などと息巻いていても、ある政権のある政策や国際協定が、新たな民意を受けて誕生した新政権の新政策によって、突如卓袱台返しになるのは、古今東西よくある話。むしろ民意に耳を傾けない政権の存在こそが問題だ。1/11

この国で最大のリスクは安倍蚤糞であり、世界中で最大のリスクはトランプである。1/12

さらにいうなら、この国で最大のリスクは、安倍蚤糞を選んだ民草であり、世界中で最大のリスクは、トランプを選んだ民草である。1/13

またまた負けたキセノサト。怪我の治療に真面目に向き合わずに中途半端に休場を続け、出てくる度に平幕にコロコロ負ける弱い相撲取りを、なんで恋恋と横綱にしておくのかさっぱり分からない。1/14

パソコンが壊れ、洗濯機が壊れ、財布に入れていた歌舞伎のチケットが無くなった。新年早々碌でもないことばかりだ。1/15

籠池夫妻や村木厚子元厚生次官などの「小物日本人!?」だと平然と構えているが、偶々捕まえたのが超大物外人経営者で、海外マスコミや経団連会長までが「不法勾留」「人権侵害」「人質司法」などと騒ぎだすと、急にオタオタする検察。1/16

「勝負は、最後の最後まで捨ててはいけない」、ということを痛感させられた錦織選手の全豪オープン2回戦でした。1/17

安倍蚤糞忖度NHK報道番組ではなく、BS1の海外ドキュメンタリー番組で、中東紛争国や難民、ISの生きるか死ぬかの実態を知ると、この国の能天気なまでの平和に、胸を突かれるものがある。1/18

「最も手取早く言へば私は詩人といふ特殊なる人間の存在を否定する。詩を書く人を他の人が詩人と呼ぶのは差支ないが、其当人が自分は詩人であると思つては可けない、可けないと言つては妥当を欠くかも知れないが、さう思ふ事によつて其人の書く詩は堕落する。」石川啄木「食ふべき詩」11/19

「詩人たる資格は三つある。詩人は先第一に「人」でなければならぬ。第二に「人」でなければならぬ。第三に「人」でなければならぬ。さうして実に普通人の有つてゐる凡ての物を有つてゐるところの人でなければならぬ。」石川啄木「食ふべき詩」11/20

詩は所謂詩であっては可けない。人間の感情生活(もっと適当な言葉もあらうと思ふが)の変化の厳密なる報告、正直なる日記でなければならぬ。従って断片的でなければならぬ。―まとまりがあってはならぬ。石川啄木「食ふべき詩」11/21

全豪4回戦での錦織の粘り強いテニスに感動。2セットを先取されて諦めずに取り返し、最終セット5-8のタイブレークからの巻き返しは奇跡的だった。次は宿敵ジョコビッチとの対決だが、ここまでやったのだから以て瞑すべし。1/22

いったい誰が北方4島の2島への切り売り交渉を安倍蚤糞に許したというのだ。1/23

「今日は大和民族といふ好戦種族が、九州から東の方大和に都して居た蝦夷民族を侵撃して勝を制し、遂に日本嶋の中央を占領して、其酋張長が帝位に即き、神武天皇と名告つた紀念の日だ。」石川啄木明治41(1908)年2月11日紀元節の日記1/23

「与謝野氏の直した予の歌は、皆原作より悪い。感情が虚偽になつてゐる。所詮標準が違ふのであらうから仕方がないが、少し気持ちが悪い。」石川啄木明治41(1908)年4月27日の日記 1/24

全豪オープン、大坂なおみのファースト・サーブ。サッカーアジア杯、MF堂安のPK。ビデオ判定がなければ、試合はどうなっていたことやら。人間の眼なんて、当てにならないものだ。1/25

白鵬断トツで優勝と決め込んでいた初場所で、おもいもかけない3連敗。相撲もテニスもサッカーも政治も人世も、一寸先は闇だなあ。1/26

追いつかれた大坂なおみが、奇跡的に平常心を取り戻して優勝したのは素晴らしかったが、左手の怪我から立ち直って準優勝したペトラ・クビトバの感謝のスピーチが、まことに感動的だった。1/27

いつまでも続く泥濘の只中を、疲労困憊した心身を叱咤激励しながら、無明の彼方まで運び続けていくんだ。1/28

やまゆり園のようにいくら立派な福祉施設を作っても、障害者の世話をする人間の人間性が劣悪なら、一文の値打ちもない。利用者の身になれる人と、なれない人との人間性の差が、施設を地獄にもすれば、天国にもするのだ。1/29

「賛成」、「反対」は分かるが、「どちらでもない」というのはどういうことか?いくら考えてもどちらかに決め兼ねる?或いはどちらでもよい?或いはこの問題は複雑すぎてな自分の手に余るので、他人の判断に委ねる? 1/30

地道な調査なんか阿呆らしくてやってらんないというので、いつのまにか止めてしまう役所。それがバレタらやばいというので、ちゃんと調査していたというふりをする役所。そんな役人の監督をしていない大臣。そんな大臣を平気で任命する安倍蚤糞。1/31


METからキャスリーン・バトルを追い出したジェームズ・レヴァインが首になる 蝶人
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なにゆえに第60回~西暦2019年睦月蝶人狂歌三昧 

2019-02-01 10:51:12 | Weblog


ある晴れた日に 第549回


なにゆえに子供はどんどん大きくなる大人はだんだん縮んでいくのに

なにゆえに地震は熊本を何度も襲う満遍なく全国に散らばれ

なにゆえに年が明けても悪が蔓延るぶち壊さんとアカンかもしれん

なにゆえに時代は虚ろに進みゆく我らの幸を置き去りにして

なにゆえに10連休をでっちあげる選挙で自公に入れてもらうため

なにゆえに10連休をでっちあげる非正規労働者を餓死させるため

なにゆえにゴーンゴーンと騒いでる安倍夫妻を忖度元凶罪で起訴せよ

なにゆえにタカキュウとリーガルシューズはガラガラなのか眼鏡のゾフは千客万来

なにゆえに馬毛島を160億で購入する辺野古をここに移転すればよい

なにゆえに関東の冬は有難いふるさとの山陰は日が射さなかった

なにゆえに「平成最後」と大騒ぎする元号を最後にするならともかく

なにゆえに「平成最後」と大騒ぎするよく考えれれば君と関係がない

なにゆえにアリス=紗良・オットは弾きながら泣く「亡き王女のためのパヴァーヌ」は別に泣くような曲ではない

なにゆえに永田まりなは自民党の県議候補になった鎌倉市議会では反自民だったが

なにゆえに北方領土で拙速に走る安倍蚤糞は対ロ交渉から手を引け

なにゆえに永田まりなは自民に寝返った恩ある鎌倉市長を裏切って

なにゆえに「悔いはない」と断言する全国民が許したその嘘

なにゆえにもう一歩のところで白鵬は負けないそれがキセノサトとの違い

なにゆえに阿呆莫迦野郎は自民に引かれる現有権力に目がくらんで

なにゆえに石川啄木は早死にした母親の結核に感染したので

なにゆえに大河ドラマは詰まらないプロフェッショナルな演出家がいない

なにゆえに検察はゴーンを離さない勾留すべきは安倍蚤糞夫妻

なにゆえに厚労省はデータを改竄したか政府も役所も腐敗の極地

なにゆえに大坂なおみは可愛らしい「相手が睨むのが怖い」とコーチに訴えるので

なにゆえにスポーツ放送があると心楽しいトランプと安倍蚤糞を忘れられるので

なにゆえに「ブラタモリ」を見なくなったあの「お題」とやらがかったるいので

なにゆえに外から叩かれたらトイレを飛び出す耕君叩き返せばいいのよ

なにゆえに役人政治家が堕落する諸悪の根源安倍蚤糞

なにゆえに嵐がどうこうと騒いでる吹いて飛び去る嵐なのに

なにゆえに景気回復の実感がないそもそもデータが間違っているのよ

なにゆえになにもかもが嘘くさいじつはすべてが嘘なので

  全豪のテニスで優勝するよりもカツ丼を自由に食べたいこの私 蝶人

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